工具の通販モノタロウ ラップ ラップの材質別特徴

ラップの材質別特徴

飲食店・スーパーでの食品保存や管理、出前をはじめ、製菓店、食品調理工場、給食・病院食の厨房など、「食」の現場に欠かせないアイテムが食品用ラップフィルムです。ただラップと一口に言っても、材質によって性質は様々。こちらでは、ラップの材質別特徴に加え業務用・家庭用の違いについて解説していきます。

ラップの材質別特徴

飲食店・スーパーでの食品保存や管理、出前をはじめ、製菓店、食品調理工場、給食・病院食の厨房など、「食」の現場に欠かせないアイテムが食品用ラップフィルムです。ただラップと一口に言っても、材質によって性質は様々。こちらでは、ラップの材質別特徴に加え業務用・家庭用の違いについて解説していきます。

ラップの材質の種類

食品用のラップの原材料は、大きく分けて4種類あります。それぞれの性能やメリットを把握し、目的に応じて使い分けると良いでしょう。

ポリ塩化ビニリデン(PVDC)

タイプ:塩素系

分子間の隙間が小さく、バリア性に優れたタイプです。そのためニオイ・水分(湿気)・酸素を通しにくいという特長があります。空気に触れることで劣化しやすい肉・魚などの生鮮食品や、ニオイの強いキムチ・チーズなどの発酵食品などの保存に最適です。また分子間に働く力が大きいため密着性も高く、耐熱性、透過性、引張弾性、カット性にも優れています。

ただし、やや値段が高く、また添加物も含まれており燃焼時には塩素ガスが発生するリスクがあるといった点がデメリットです。

  • 粘着性…◎
  • カット性…◎
  • ガスバリア性…◎
  • 鮮度保持…◎
  • 安全性…△
  • 燃焼時の塩素ガス有無…あり
  • 食品への添加物移行…あり

ポリ塩化ビニル(PVC)

タイプ:塩素系

伸縮性と耐久性に優れており、業務用ラップによく使用されています。器などへの密着性が高く、ぴったりと貼りついて中身を零さないため、ラーメンの出前などにもおすすめです。ただポリ塩化ビニリデンに比べて酸素や水分を通しやすく、長期保存用の使用にはあまり向きません。反対に通気性が必要な野菜や果物を一時的に包むには向いています。

塩化ビニリデンと同様に塩素を含んでいるため、廃棄する際は自治体の指定する方法での分別が必要です。

  • 粘着性…◎
  • カット性…◎
  • ガスバリア性…○
  • 鮮度保持…○
  • 安全性…△
  • 燃焼時の塩素ガス有無…あり
  • 食品への添加物移行…あり

ポリエチレン(PE)(単層)

タイプ:非塩素系

「価格が安い」のが大きな特長です。また水分は通しにくいですが酸素はポリ塩化ビニルと同様に通しやすいため、野菜や果物など空気を必要とする素材を包むと良いでしょう。

無添加であり、燃焼しても塩素ガスが発生せず、環境に優しいというメリットもあります。ただ性能は全体的に低めで、ニオイ移りもしやすいのがデメリットです。耐熱温度も低く、電子レンジの使用は負荷なので気を付けましょう。

  • 粘着性…△
  • カット性…△
  • ガスバリア性…△
  • 鮮度保持…◎
  • 安全性…◎
  • 燃焼時の塩素ガス有無…なし
  • 食品への添加物移行…なし

ポリオレフィン(PO)(多層)

タイプ:非塩素系

ポリエチレンと同様に無添加で作られているため、環境に優しく燃焼時に塩素ガスが発生しません。フィルムが多層構造になっており、単層と比べてバリア性や粘着性がアップしています。耐熱性も上がり、電子レンジの使用も可能です。

  • 粘着性…○
  • カット性…△
  • ガスバリア性…△
  • 鮮度保持…○
  • 安全性…○
  • 燃焼時の塩素ガス有無…なし
  • 食品への添加物移行…なし
業務用ラップと家庭用ラップの違い

業務用ラップには、伸び縮みしやすく適度な耐熱性・密着性を持つ「ポリ塩化ビニル」が多く採用されています。また近年では環境保護の観点から、「ポリオレフィン」などの非塩素系の素材も注目されるようになってきました。

家庭用ラップには、冷蔵庫の中でニオイ移りを起こしにくい「ポリ塩化ビニリデン」やコストパフォーマンスの良い「ポリエチレン」などの原材料がよく使われています。

業務用ラップの特長は、やはり伸縮性に優れ強度が高い点にあるでしょう。強度が高いということは、裂けにくいということ。強度の低い家庭用ラップは、一度破れるとそのままどんどん避けていってしまいます。しかし業務用ラップは、破れた場所だけでとどまり、広がりません。この特長は食品への異物混入の防止にもなり、食品衛生管理の徹底にも繋がります。

また粘着性に優れ、容器にくっつきやすいのも業務用ラップの特長のひとつ。どんな材質の器にもしっかり密着し、よく伸びてフィットします。家庭用ラップだとイマイチ容器を密閉できずに中身を零してしまいがちですが、業務用の場合は零しにくいので出前などにも使われます。さらにラップ同士がくっついても容易に剥がすことが可能です。扱いやすく機能性に優れていると言えるでしょう。

ただ、業務用ラップは基本的に長期保存には向いていません。酸素を通す素材のものが多いため、生鮮食品などを包んで冷蔵庫に入れたりすると食材の傷みを早めてしまいます。飲食店などは基本的にすぐに食材を使いきることを前提としており、ラップの使用もあくまで一時的な保存と考えられているためです。

逆に家庭用ラップは酸素や水分、ニオイを通さないものが多く、冷蔵庫内での保管にも向いています。業務用と家庭用を併用したり、重ねて使ったりするのも良いでしょう。

その他、業務用ラップはカッター部がケースの下側についている、家庭用ラップはカッターがケースの上側についている、という違いもあります。さらに業務用ラップは、異物混入のリスクを下げるためにフィルムに色がついているタイプもあり、保存期間ごとに色で仕分けるなど様々な使い方ができるのも特徴です。

まとめ

ラップは材質によって、保存に適した食材や保存方法、値段などメリット・デメリットが異なります。食品関係の現場では、ラップが衛生管理を大きく左右するものです。用途や重視するポイントに合わせて、最適な原材料を選びましょう。