電線管の種類と特長

使用環境や使用部位によって、電線管に求められる性能はまちまちです。適切な状態で電線を保護するためには、多種多様な電線管の製品バリエーションの中から要求条件に適合した製品を選択することが第一条件となります。電線管の種類や用途、特長などについてご紹介しますので、製品選択の際にお役立てください。

電線管とは

電線管とは、金属または合成樹脂等の非金属製の素材で作られた電線被覆用のパイプです。

電線管は、屋内・屋外、露出・土中埋設、不燃性・耐食性・可とう性(折り曲げ可能であること)の有無など、あらゆる使用環境に適合できるよう、多様な種類の製品が販売されています。

電線管の役割には次のようなものがあります。

  • 電線の保護
  • 電線の隠蔽による美観向上
  • 機材劣化や損傷による漏電リスクの軽減
  • 電線に対する電磁遮蔽(金属製の製品)
  • 火災による燃焼防止(耐燃性のある製品)
  • 電線交換の簡便化(隠蔽配線の場合)

電線管の種類

電線管には、素材や機能によってさまざまな製品があります。

形状・・・直管電線管/可とう電線管

電線管の形状には、直線状の筒形となった直管電線管と、任意の角度に曲げることができる蛇腹状の可とう電線管の二種があります。直管電線管は高い強度により外圧や衝撃から電線を守るのが特徴で、可とう電線管は自由に形状を変化させてさまざまな部位に施工できるため使い勝手が良いのが特徴です。

材質・・・金属/非金属/合成樹脂被覆鋼管

電線管の素材は主に金属と、合成樹脂などの非金属に大別できます。金属製のものは強度に優れていますが、加工コストが高く、設置工事を必要とするのがデメリットです。一方で合成樹脂製のものは、加工が容易で、設置工事不要のため施工も迅速に行うことができ、さらに耐食性にも優れるなど色々なメリットがありますが、反面、強度面では金属製のものに劣ります。しかし、なかには、金属製の鋼管に樹脂コーティングを施すことで両者の長所を併せ持った製品も存在しています。

これらの特徴を勘案し、場面に応じた適切な電線管を選択することが大切です。以下に、代表的な電線管の種類を材質別にご紹介します。

材質:金属
形状 直管電線管 直管電線管 直管電線管 可とう電線管 可とう電線管
電線管 薄鋼電線管(C管) 厚鋼電線管(G管) ねじなし電線管(E管) 第二種金属製可とう電線管 第二種金属製可とう電線管
主な用途 屋内の露出場所や天井裏 屋外 屋内の露出場所や天井裏 屋内 屋外
特長 肉薄な金属電線管。屋内露出配管用として使用。 電線管の内外面に溶融亜鉛メッキを施した肉厚な金属電線管。 薄鋼電線管よりも肉厚が薄い。薄鋼より、若干電線を多く入線することが可能。 金属の堅牢さ・金属部が不燃である点と可とう性を併せ持つが、重量や接地の必要性も金属同様あり、価格も高価。 金属の堅牢さ・金属部が不燃である点と可とう性を併せ持つが、重量や接地の必要性も金属同様あり、価格も高価。
薄鋼電線管(C管) 薄鋼電線管(C管) ねじなし電線管(E管) 第二種金属製可とう電線管 第二種金属製可とう電線管
薄銅電線管(C管)

金属製で直管の電線管です。肉厚は薄めで、屋内の露出部位の配線に使用します。

厚銅電線管(G管)

金属製の直管電線管です。内面および外面が溶融亜鉛めっき加工となっており、肉厚の素材となっています。屋外環境で使用可能です。

ねじなし電線管(E管)

金属製で直管の電線管です。

肉厚はごく薄く、薄鋼電線管(C管)よりさらに肉薄です。内部の空洞部に余裕があるため、やや多めの電線を入線できます。屋内の露出部位、または天井裏などの配線に使用可能です。

第二種金属製可とう電線管

金属製の可とう電線管です。堅牢かつ不燃という金属特有のメリットを持ち、可とう性を有する形状となっています。ただし、樹脂製のものに比べて重量がある・設置工事を必要とする・高コストなどの難点もあります。屋内用として使用するプリカチューブ、屋外環境で使用できる防水プリカ・ハイフレックススルーなどの製品が代表的です。

材質:合成樹脂被覆鋼管
形状 直管電線管 可とう電線管
電線管 ポリエチライニング電線管 フレキシブル電線管
主な用途 屋外・地中埋設 屋内・屋外
特長 外面2層・内面1層をコーティングしているため、防食性が高い。 軽量、かつ、優れた湾曲性がある。ビニル被覆しているので防水性・耐油性に優れている。
ポリエチライニング電線管 フレキシブル電線管
ポリエチライニング電線管

鋼管に合成樹脂被覆を施した直管電線管です。外面に2層、内面に1層の樹脂製コーティング層を持ち、鋼管の高強度と樹脂による高防食性を併せ持っています。高防食性を活かし、屋外環境下や地中埋設での利用が可能です。

フレキシブル電線管

合成樹脂被覆鋼管製の可とう電線管です。軽量かつ柔軟な湾曲性を持ち、ビニル被覆のため防水性・耐油性に優れています。屋内外問わず多様な環境での使用が可能です。

材質:合成樹脂
形状 直管電線管 可とう電線管 可とう電線管 可とう電線管
電線管 VE管 PF管 CD管 FEP管 (波付硬質合成樹脂電線管)
主な用途 屋内・屋外 屋内・屋外 コンクリート埋設 地中埋設
特長 金属管より耐食性・加工性に優れるが、物理的な圧力に弱く可燃である。 耐食性・加工性に優れ、自消性があるので露出配管が可能。VE管同様物理的な圧力に弱い。 自消性が無いので基本的に隠蔽・埋設用。色は国際規格で定められている。 大口径(~φ200)の樹脂製可とう管。地中埋設工事の規格に準じた製品で呼び線入り。
VE管 PF管 CD管 FEP管 (波付硬質合成樹脂電線管)
VE管

合成樹脂製の直管電線管です。金属製のものより耐食性・加工性に優れているメリットを持つ反面、物理的圧力には弱く、可燃性があるといった難点があります。屋内外の両方で使用可能です。

PF管/CD管

合成樹脂製の可とう電線管です。自消性があり屋内・屋外環境下で使用するPF管、自消性のないコンクリート埋設用のCD管の2種類があります。

波付硬質合成樹脂管(FEP管)

合成樹脂製で~φ200の大口径の可とう電線管です。地中埋設で使用するための製品であり、地中埋設工事の規格を満たしています。呼び線が入っており施工が容易です。

まとめ

電線管にはさまざまな製品バリエーションがあるため、使用環境や状況によって適切な製品を選択することが重要です。施工難易度・コスト・強度・防食性や耐燃性など各種性能を十分に検討しながら製品選択を行ってください。

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