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洗浄剤・洗浄方法別の特徴と注意点

洗浄剤や洗浄方法は、得意な汚れや苦手な汚れ、被洗浄物への影響の有無など、それぞれ異なる特徴を持っています。安全かつ効率的に汚れを取り除くには、各特徴や注意点を把握しておかなくてはなりません。洗浄システムを設計する前に、こちらをチェックしておきましょう。

洗浄剤別特徴と注意点

一般的な工場や工事現場で使用される水系洗浄剤は、成分によって「アルカリ性」「中性」「酸性」に分けられます。その特徴と留意点についてまとめました。

【アルカリ性】

アルカリ効果・キレート効果による中和・ケン化と界面活性剤による油分の乳化を利用した洗浄剤です。そのため油性汚れ(特に動物系・植物系)や、切削粉やカーボンなどの粒子汚れに高い効果を発揮します。 ただし、金属を腐食しやすいという難点があるため、洗浄対象は鉄やステンレスなど、腐食しにくい金属部品が主です。銅板、伸線、ガラスにも用いられます。

アルカリ性の洗浄剤は刺激が強いため、取り扱いには注意が必要です。使用にあたってはゴム手袋やゴーグルを着用し、液剤が残らないよう充分にすすぎましょう。塩素ガス発生の恐れがあるため、酸性洗剤との併用は厳禁です。

【中性】

界面活性剤の作用によって油分が乳化することをメインとした洗浄剤です。そのため油性汚れやワックスの除去に適しています。他の洗浄剤に比べて安全性が高く、取り扱いが容易である点が大きなメリットです。

また、金属の腐食リスクが低く、アルミや鋼、真鍮などの非鉄金属にも使用できます。ただ、他の洗浄剤に比べるとやや効果が劣るかもしれません。主に精密部品や光学レンズ、液晶パネルなどに使われます。

【酸性】

酸で、錆やスケールといった汚れそのものを分解する化学反応を利用した洗浄剤です。そのため、金属表面やパイプなどのスケール落とし、鉄サビや酸化膜の除去などに使用されます。主な洗浄対象になるのは配管、熱交換器などです。

金属の腐食や素材の損傷のリスクがある点と、人体の安全性に懸念がある点がデメリットでしょう。塩素ガス発生の恐れがあるため、塩素系漂白剤との併用はできません。

【化学反応で汚れを分解する】

既にサビが発生しているケースでは、酸が酸化物を分解する化学変化を利用します。洗浄槽に水溶液を入れ、対象物をひたすことで金属表面の酸化膜を取り除くことが可能です。

洗浄方法別特徴と注意点

洗浄方法も多種多様。方法によって汚れの落ち方や対象物への影響、設備の大きさなどが異なります。代表的な洗浄方法について、特徴と注意点をまとめました。

【浸漬洗浄】

洗浄槽に洗浄液を入れ、対象物を浸す方法です。ICチップをはじめ、純銀・純アルミなど、超音波洗浄やシャワー洗浄が難しいデリケートな部品に使用されるほか、本洗浄の予備洗浄として行われることもあります。均一に洗浄することができますが、時間がかかる点や、洗浄剤のみの洗浄力しか得られない点がデメリットです。

【超音波洗浄】

洗浄液内に超音波による振動を起こし、油汚れや固形汚れを物理的に落とす方法です。洗浄効果が高く、しかも短時間で完了するのが大きなメリット。さまざまな汚れに対応可能で、細部まで洗浄することができます。ただし、超音波の当たる部分・当たらない部分によって効果に差が出るため、対象物を揺動させるなどの工夫が必要です。 また、超音波は液体の温度を上げるため、引火性の洗浄液を使用する場合は冷却しなくてはなりません。

【ジェット洗浄】

高圧洗浄機を使用し、ポンプによって加圧した洗浄液をノズルから噴出することで物理的に汚れを落とす方法です。洗浄力が高く、壁や床の塗料や土砂などの汚れを一気に落とすことができます。逆に、デリケートな対象物には適していません。 製品に使用する場合は水圧によって部品の飛び出しやズレが発生しないよう注意してください。また、引火性の洗浄液にも向いていません。

【スプレー洗浄・シャワー洗浄】

ノズルから、洗浄液をスプレー状、シャワー状に噴出させる方法です。ジェット洗浄よりも威力は劣りますが、デリケートな部品にも使用することができます。 製品の塗装前の洗浄や仕上げにも使用されることが多いでしょう。ただスプレー・シャワーが当たらない部分ができないよう、ノズルの種類、圧力、数や位置をよく検討しなくてはなりません。

洗浄システムを設計するうえでの検討事項

洗浄システムは「洗浄剤+洗浄装置・乾燥装置+周辺装置」によって構成されます。システムの構成にあたり、以下の事項を検討しましょう。

1.対象の汚れは何か

洗浄剤によって被洗浄物が影響を受けないようにしなくてはなりません。金属が錆びたり、プラスチックにヒビが入ったりしないように、被洗浄物の化学組成や耐食性、耐薬品性、乾燥可能温度などを確認しておきましょう。

2.洗浄する対象は何か

洗浄液内に超音波による振動を起こし、油汚れや固形汚れを物理的に落とす方法です。洗浄効果が高く、しかも短時間で完了するのが大きなメリット。さまざまな汚れに対応可能で、細部まで洗浄することができます。ただし、超音波の当たる部分・当たらない部分によって効果に差が出るため、対象物を揺動させるなどの工夫が必要です。 また、超音波は液体の温度を上げるため、引火性の洗浄液を使用する場合は冷却しなくてはなりません。

3.設備はどうするか

1と2を踏まえ、超音波洗浄はできるのか、それとも浸漬洗浄だけに留めるのかなど、具体的な洗浄方法や洗浄剤を決めていきます。乾燥方法や排水処理の方法、設置する場所、面積、ランニングコストなどを考慮して設計を進めましょう。

4.関係法令の遵守

洗浄設備の設置にあたり、労働安全衛生法や消防法、下水道法、水質汚濁防止法など、遵守しなければならない法令についても確認が必要です。特に、界面活性剤を使用した洗浄後の廃液処理には厳密な排水基準が定められています。よく確認し、排水処理方法を決定しましょう。

まとめ

洗浄剤や洗浄方法の選択によっては、人体や被洗浄物に悪影響を与える可能性があります。取り扱いに注意するとともに、それぞれの特性を理解し、注意点を頭に入れたうえで洗浄システムを構築しましょう。