潤滑油の種類

金属同士が接触する際に起こる摩擦を低減する役割として重要な「油」。安全な機械の稼働に潤滑油の存在は欠かせません。ここでは、さまざまな性能や特徴を持っていることから、用途ごとに効果を発揮する潤滑油の種類についてご紹介します。

潤滑油の種類とは

潤滑油には、機械の回転速度をはじめ、機械の接触圧力などによって、さまざまな種類があります。また、使用する場所によって適した種類が決められています。最適な「油」を最適な方法で使用しないと、潤滑油本来の効果が発揮されませんので、注意して選定するようにしましょう。

油の種類

種類によって性質や性能が異なる潤滑油。使用する機械の部分や用途に応じて、さまざまな種類がありますので、ここでは代表的なラインアップをご紹介します。

マシン油

マシン油は、潤滑油の中でも使用の用途が幅広く、添加剤が一切含まれていないのが特徴です。さまざまな機械の軸受や回転摩擦部分の潤滑油として用いられるのが一般的。原油の種類によって、品質が異なるのも特徴のひとつです。潤滑油の分類としては、並級潤滑油に分けられます。

タービン油

タービン油は、蒸気タービンをはじめ、水力タービン、ターボ形送風機など、各種タービンの高速軸受部分の潤滑に用いられます。また、圧縮機など、各種機械油圧作動部分の潤滑にも用いられます。タービン油の種類は、無添加タービン油と添加タービン油の2種類。無添加のタービン油は、水との分離性に優れているのが特徴。一方、添加タービン油は、酸化の安定性や消泡性、防錆性、水分離性に優れているのが特徴とされています。

スピンドル油

スピンドル油は、主に軽荷重高速機や小型の電動機、紡績機械などの高速で回転する部分に使用されるのが一般的です。粘度・荷重ともに低い潤滑油である点が、スピンドル油の特徴です。

ダイナモ油

ダイナモ油は主に、高速で回転する大型の電動機や発電機、送風機、通風機などに使用されます。

シリンダー油

シリンダー油は主に、蒸気機関のシリンダーや弁に用いられます。また、シリンダー油は、高粘度の性質を持っており、温度や荷重の高い部分に用いられる油として活用されています。

軸受油

軸受油はその名の通り、機械の軸受の潤滑に用いられます。サビを防ぐ性質である防錆性が備わっています。

冷凍機油

冷凍機油は主に、冷凍機の潤滑に用いられます。鉱油系の潤滑油を冷却した際に、流動する最低温度が低いため、アンモニアなどの冷媒への安定性が良いことが特徴。また、冷凍機油は、鉱油系とアルキルベンゼンなどの合成油系に分けられます。

油圧作動油

油圧作動油には、タービン油を基油とし、添加剤が加えられています。油圧装置の圧力媒体や油圧ポンプなどの作動油として用いられています。一般的に油圧作動油は、粘度が低いのが特徴。また、酸化安定性や水分離性、消泡性、防錆性に優れているのも特徴とされています。その他、粘度や温度特性、耐摩耗性、耐火性などを発揮する種類もあるため、油圧ポンプの形式や使用条件によって使い分けることができます。油圧作動油の種類は、R&O形の一般作動油、高粘度指数の低流動点作動油、耐摩耗作動油、難燃性作動油などが挙げられます。

ギヤ油

ギヤ油は主に、一般的な機械や圧延機など減速歯車の摩擦軽減と冷却用の潤滑剤として、各種ギアに使用されています。極圧剤を添加したものと、無添加の種類があります。極圧剤添加タイプは耐摩耗性や耐焼きつき性が特徴として加えられます。一方、極圧剤無添加タイプの特徴としては、酸化安定性や水分離性、消泡性、防錆性に優れている点が挙げられます。

圧縮機油

圧縮機油は、圧縮機のシリンダーや軸受などの潤滑に活用されます。種類は往復動形とスクリュー形用に分けられます。カーボン生成が極めて少なく、酸化安定性や防錆性に優れている点が特徴。スクリュー形用は、同じく酸化安定性や防錆性、水分離性に優れている点が特徴とされています。

しゅう動面油

しゅう動面油は一般的に、工作機械のすべり案内面の潤滑に用いられます。しゅう動面油の種類は、案内面専用のものと油圧作動油と兼用のタイプとに分けられます。滑り面で発生する振動現象への耐性や防錆性、酸化安定性に優れているのが特徴。

『スプレー・オイル・グリス』に関連するカテゴリ

『防錆スプレー/潤滑剤スプレー』に関連するカテゴリ