工具の通販モノタロウ 照明 照明のことが分かる講座 LEDランプ、その進化プロセス

照明のことが分かる講座

照明とは人々の生活に役立つ光の仕事のことを言います。 照明の主光源がLEDに変わりつつあるなか、照明を知ることで生活はより豊かに変わります。 そこで本連載では照明の基礎知識から光源や照明器具の種類、照明方式、照明がもたらす心理・ 生理効果を分かりやすくご紹介していきます。
第2章 光源の種類と特徴

2-6 LEDランプ、その進化プロセス

LEDとは

今、照明=LED(発光ダイオード)と言われるほど、LEDがあらゆる空間の照明に注目されています。照明メーカのカタログを見てもLEDランプ、もしくはLEDを使用した照明器具がページの大半を占めるほどです。

そもそもLEDとはどのような光源なのでしょうか。一般には電気を通すことで光る半導体のことで、英語の「Light Emitting Diode」の頭文字をとってLEDと呼んでいます。

赤色LEDから始まって白色LEDまで

さてこのLEDが登場したのはいつ頃からでしょうか?それは今から55年前の1962年まで遡ります。アメリカで赤色に発光するLEDが発明され、その後黄緑、黄色が開発されると、身近では家電製品の表示用や交通機関の案内表示などに応用されてきました。 1989-1993年には20世紀中の開発が難しいとされていた青色LEDと実用化に向けた高輝度青色LED が3人の日本人学者によって発明され、ご存知のようにこの方々は2015年のノーベル賞受賞者として話題になりました。

青色(B)の後に緑色(G)LEDが作られ、以前からある赤色(R)との混色(R,G,B)で無限の色光が作り出され、カラー照明としてビルの外壁や室内の演出照明に大きな影響を与えてきました。(写真1、2)

  • 写真1 カラーLEDの展示コーナー
    (2006年、フランクフルト国際照明展より)
  • 写真2 カラー照明による外壁照明

RGBの色光が均等なバランスでミックスされると白色光にもなります。この白色光は演色性に劣るため一般照明用には適しませんでした。

1995以降、青色光のLED発光素子(以下LED素子)に黄色蛍光体を使うことで、一般照明用として使える白色光を実現しました。これを白色LEDと言っています。初期のものは平均演色評価数Raが70前後で決して高くはありませんでしたが、今日では蛍光体の改善などで、ほとんどRa80を超えています。

LED光源の特徴

LEDは他の光源に比べ特に優れている点が幾つかありますので下記に紹介いたします。

1:超長寿命

従来光源で一般に普及していたランプは短くて1000時間、長くとも12000時間程度でした。しかしLEDは40000時間前後が多く、この特徴がLEDの大きな魅力になっています。

2:省エネルギー

少ない電力で明るさが得られることです。例えば白熱電球が1W(ワット)あたり15lm(ルーメン)前後に対して、今日のLED電球は高いもので1Wあたり100lmを超えます。原子力発電が思うように稼働できない今日では、まさしく日本のエネルギー政策における救世主的存在になっています。

3:細部にわたる波長制御

LEDチップの種類と蛍光体の組み合わせで、波長(スペクトル)のコントロールが可能になっています。このことで演色性を高めることはもちろん、光色も今まで以上に細部にわたって作り出すことができます。(図2)

また特別な波長設計により農作物の人工育成や漁業に応用され、また人の健康と波長の関係が研究の対象になって医学にも応用されようとしています。

4:瞬時の点滅と調光調色が容易

例えば無線制御対応のLED器具であれば器具の一つ一つに「アドレス」を設定し、個別やグループ単位で調光調色をスマートフォンやタブレットで制御でき、生活場面にあわせて必要な照明シーンの表現が容易になっています。 このような照明は住宅・店舗空間から都市景観のスケールまで応用でき、今までにない照明演出を可能にします。

以上の他にもLEDの優れた特徴は幾つかあり、さらに技術的に進化する余地が残されています。したがってそう遠くない日にLEDはOLED(有機ELでLEDの一部)と共に電球や蛍光ランプ・HIDランプの代替として、世界の照明の中心的存在になると考えられます。

図2 世界おける照明光源・器具の市場予測

執筆: 中島龍興照明デザイン研究所 中島龍興

『照明のことが分かる講座』の目次

第1章 照明の基礎知識

第2章 光源の種類と特徴

第3章 LED照明器具の選び方

第4章 照明方式

第5章 照明の視覚心理・生理

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