工具の通販モノタロウ 砥石 切削工具の基礎講座 研削といしの保管と取り扱い、使用前の品質検査

切削工具の基礎講座

ものづくりに欠かせない「切削工具」。切削工具にはどのような種類があるのか?購入する時に気を付けることは?使い方は? 本連載では、切削工具の正しい知識について、ご紹介していきます。
第5章 研削砥石

5-9 研削といしの保管と取り扱い、使用前の品質検査

研削といしは立てた状態で保管します。研削といしは外周方向から掛かる力には非常に強いですが、側面からの力には非常に弱いです。そのため、平積みをしては絶対にいけません。また、研削といしは湿度に弱いので、できる限り風通しの良い場所で保管します。図に示すような、研削といしハンガーを使用するのもよいでしょう。

研削といしハンガー

研削といしを使用する際には必ず品質検査を行わなければいけません。検査の種類は(1)外観検査、(2)打音検査、(3)試運転検査の3種類です。

(1)外観検査は目視で、研削といしに割れ、ひび、欠け、傷がないことを確認します。

(2)打音検査は研削といしの内径に指を通して持ち、研削といしの外周から約20mm~50mmのところを4ヶ所、木製ハンマで軽く叩きます。結合剤の種類により若干音が変化しますが、結合剤がビトリファイドの場合には、「キンキン」と澄んだ金属音がすれば正常です。また、レジノイドの場合には、ビトリファイドよりも鈍い音がしますが、澄んだ金属音であれば正常です。一方、「ギンギン」と濁った音がする場合や叩く場所によって音が違う場合には、研削といしの内部にヒビや欠けがある可能性が考えられるので使用してはいけません。レジノイドは異常がなくても打撃音が鈍いので、正常かどうかの判別がなかなか難しいです。

打音検査

なお、外径が大きく重い研削といしは手で持つことができませんから、クレーンで吊るか、地面に厚いダンボールやゴムを敷き、その上で打音検査しても構いません。なお、打音検査は切断といしのような薄いといしや外径が100mm未満の小型のといしには有効ではありません。切断といしのような薄いといしは叩く力が大き過ぎると割れてしまいます。

(3)試運転検査は最終検査で、実際に研削加工を行う回転数で研削といしを3分間以上回転させ、異常がないことを確認します。試運転検査中は研削といしが割れることも考えられるので、回転方向には立たず、十分に注意し、砥石カバーは必ず閉めておきます。試運転検査は労働安全衛生法規則に記載されており、労働安全衛生法規則では「研削といしは、その日の作業を開始する前には1分間以上、研削といしを取り替えたときには3分間以上試運転をしなければならない」と定められています。

研削といしは茶碗と同じ焼き物です。衝撃に弱いので、取り扱いには十分に注意が必要です。

切削砥石の取扱三原則

執筆: 芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科 澤 武一 准教授

『切削工具の基礎講座』の目次

第1章 切削工具とは?

第2章 穴あけ加工と穴仕上げ加工

第3章 旋盤用の切削工具

第4章 フライス加工用の切削工具

第5章 研削砥石

第6章 特徴的な切削工具

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