工具の通販モノタロウ 砥石 切削工具の基礎講座 普通研削といしの形直しと目直し(ツルーイングとドレッシング)

切削工具の基礎講座

ものづくりに欠かせない「切削工具」。切削工具にはどのような種類があるのか?購入する時に気を付けることは?使い方は? 本連載では、切削工具の正しい知識について、ご紹介していきます。
第5章 研削砥石

5-7 普通研削といしの形直しと目直し(ツルーイングとドレッシング)

バランス調整を行ったフランジ付き研削といしは研削盤のといし軸に取り付けた後、すぐに使用できるわけではありません。研削加工を行う前に、「形直し・目直し」を行う必要があります。形直しはツルーイング、目直しはドレッシングと言われることもあります。

形直し(ツルーイング)は回転させた研削といしの外周面をダイヤモンド(ドレッサ)で削り、研削といしを真円にする作業です。研削といしの形を成形する(形を直す)ので形直しといいます。形直しのイメージを図に示します。研削といしは「と粒」と「結合剤」を混ぜたものを型(かた)に入れ、炉で焼いてつくられます。つくられ方はお茶碗と同じです。このため、研削といしは全体を均一な組織にすることは難しく、必ずムラが発生し、一見、真円のように見えますが、精密に見ると歪な形状になっています。歪な形状のままでは良い加工はできませんので、形直しが必要になります。

ツルーイングのイメージ図

形直しが終わった後は引き続き、目直しが必要です。目直しは「と粒」をダイヤモンド(ドレッサ)で微小に削り、と粒に鋭利な凸凹を付ける作業です。目直しのイメージを図に示します。ドレッシングを行うことにより、研削といし(と粒)の切れ味がよくなり、精密な研削加工ができるようになります。目直しはダイヤモンドドレッサの送り速度を変えることにより、「と粒」の凹凸を調整することができます(図参照)。荒研削を行うときには、「と粒」の凹凸が大きい方がよいので、ダイヤモンドドレッサの送り速度を大きくし、一方、精密研削(仕上げ研削)を行うときには、「と粒」の凹凸が小さい方がよいので、ダイヤモンドドレッサの送り速度を小さくします。

ドレッシングのイメージ図

ドレッサの送り量と「と粒」の形状

「形直し」と「目直し」は同じ作業ですが、上記の通り、目的が違います。したがって、目的意識を明確にし、それぞれの作業を正確に行うことが大切です。具体的には、研削といしの回転数、ダイヤモンド(ドレッサ)の切込み深さ、送り速度を調整し、「形直し」と「目直し」を区別します。なお、形直しおよび目直しは湿式で行う(研削油剤をかけながら行う)のがよいです。ダイヤモンドは熱に弱い(600°以上で軟化する)ため、乾式(研削油剤をかけない)ではダイヤモンドの寿命が短くなります。

執筆: 芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科 澤 武一 准教授

『切削工具の基礎講座』の目次

第1章 切削工具とは?

第2章 穴あけ加工と穴仕上げ加工

第3章 旋盤用の切削工具

第4章 フライス加工用の切削工具

第5章 研削砥石

第6章 特徴的な切削工具

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