工具の通販モノタロウ エンドミル 切削工具の基礎講座 エンドミルの構造と材質

切削工具の基礎講座

ものづくりに欠かせない「切削工具」。切削工具にはどのような種類があるのか?購入する時に気を付けることは?使い方は? 本連載では、切削工具の正しい知識について、ご紹介していきます。
第4章 フライス加工用の切削工具

4-6 エンドミルの構造と材質

エンドミルの構造は刃部とシャンクが一体で、1本の円筒丸棒からつくられた構造の「ソリッドタイプ(むくタイプ)」と、ねじなどの機械的な締結方法でチップをボデーに締め付ける構造の「スローアウェイタイプ(クランプタイプ)」の2種類に大別されます。刃が摩耗した場合、ソリッドタイプはグラインダで研ぐ必要がありますが、スローアウェイタイプはチップを交換するだけでよいので便利です。エンドミルの刃の再研削は一定の技量が必要です。

構造の異なるエンドミル

構造の異なるエンドミル



ソリッドタイプのエンドミルの材質は「高速度工具鋼」と「超硬合金」の2種類があり、スローアウェイタイプのエンドミルに使われるチップの材質は主として「超硬合金」です。

高速度工具鋼製と超硬合金製のエンドミルは外観上ほとんど差異がないため目視で区別することは難しいですが、手に持つと判別することができます。高速度工具鋼の比重は8。0前後に対し、超硬合金の比重は14。0前後であるため、同じサイズのエンドミルであれば、超硬合金製は高速度工具鋼製よりも重いです。

高速度工具鋼は超硬合金よりも安価で、購入しやすいのが利点ですが、高速度工具鋼は超硬合金よりも熱に弱く、たわみやすいので、摩耗が早く、加工精度が幾分劣ることが欠点ですが、DIYなどで機械加工を行う場合には、価格的にも、実用的にも高速度工具鋼製のエンドミルで十分です。また、超硬合金は高速度工具鋼に比べて欠けやすいので、卓上のフライス盤で使用すると振動によって刃先が欠けてしまい使えなくなることがあります。

ローアウェイタイプのエンドミルは刃が摩耗した際、チップを交換するだけで使用でき便利ですが、外径は10mm程度が下限で、それよりも小さいものは一般に流通していません。また、外径が小さくてもシャンクとチップの価格は高いため、小径のエンドミルの場合には通常ソリッドエンドミルを使用するのがよいでしょう。一方、スローアウェイタイプのエンドミルは外径が20mm以上の大径の場合に選択するのが価格的にも、実用的にも有効です。

最近では、ソリッドエンドミルもチップもコーティングされたものが多く、コーティングは母材の性能を補うために施されています。コーティング膜の種類は多く、耐摩耗性(硬さ)、耐熱性、耐溶着性(低摩擦)など目的に応じて選択することが大切です。

執筆: 芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科 澤 武一 准教授

『切削工具の基礎講座』の目次

第1章 切削工具とは?

第2章 穴あけ加工と穴仕上げ加工

第3章 旋盤用の切削工具

第4章 フライス加工用の切削工具

第5章 研削砥石

第6章 特徴的な切削工具

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