マシニングセンタの基礎講座

モノタロウの本連載では、マシニングセンタの種類や仕組み、使い方について、実践的で役立つ知識をご紹介していきます。
第2章 マシニングセンタの装備

2-5 ツーリングとは?

ツーリングは「工作機械の主軸または刃物台に取り付け、加工工具(切削工具、研削工具、転造工具)や測定具、センサなどを保持するもの」、つまり、ツーリングは「切削工具を取り付けるための部品(接続するためのインタフェイス)」です。ツーリングは日本工作機器工業会規格TES4004に定義されおり、以下に代表的なツーリングの用語と定義について紹介します。

ツーリング

 


ホルダ

加工工具またはツールアダプタを保持する部分が凹形状のもの。

ホルダ


アーバ

加工工具またはツールアダプタを保持する部分が凸形状のもの。

アーバ


ツールアダプタ

加工工具とツールホルダを介するインタフェイス。一般に工作機械の主軸端に直接取り付けず、ツールホルダに取り付けて使用するもの。

ツールアダプタ


ツールホルダ

ホルダとアーバの総称です。ツールホルダに求められる基本特性には保持力、取り付け精度、剛性があります。保持機構や形状により差があるため適正に選択することが大切です。

 


チャック

直径方向に収縮して加工工具やツールアダプタなどを保持する構造のもの。「チャッキング」は加工工具やツールアダプタを保持する作業を示します。

チャック


シャンク

加工工具やツールホルダの柄の部分。保持される部分の総称。シャンクがまっすぐなものを「ストレートシャンク」、テーパ状のものを「テーパシャンク」といいます。テーパシャンクにはテーパの規格により、「モールステーパ、メトリックテーパ、ブラウンテーパ、ナショナルテーパ」があります。

 


コレット

すりわりを利用してストレートシャンクの加工工具を保持するツールアダプタ。外径がまっすぐなものを「ストレートコレット」、テーパ状のものを「テーパコレット」といいます。

 


スリーブ

加工工具とツールホルダを繋ぐインタフェイスの一種。加工工具を保持する部分と加工工具の挿入部がテーパで接触するツールアダプタ。

スリーブ


ソケット

加工工具とツールホルダを繋ぐインタフェイスの一種。ソケットを保持部する部分より前方に加工工具が挿入される保持部があるツールアダプタ。

ソケット


ヘッド

ツールホルダと加工工具を繋ぐインタフェイスの一種。加工工具を保持する部分がアンバランス形状(非円形、偏心)のもの。可動できるものもある。アンギュラヘッド(アングルヘッドともいう、角度を可変できるインタフェイス)など。

 


プルスタッド

ツールホルダを機械主軸穴に引き込み固定するために、シャンク部後部に植込むボルト。

スリーブ


 

執筆: 芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科 澤 武一 教授

『マシニングセンタの基礎講座』の目次

第1章 マシニングセンタの基礎知識

第2章 マシニングセンタの装備

第3章 マシニングセンタを動かすソフトウエア

第4章 マシニングセンタの要素技術

第5章 マシニングセンタの特性と関連知識

第6章 マシニングセンタを使用する際の基礎知識

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