工具の通販モノタロウ ツーリング マシニングセンタの基礎講座 回転テーブルのしくみ(ロータリー,インデックス,ダイレクトドライブ)

マシニングセンタの基礎講座

モノタロウの本連載では、マシニングセンタの種類や仕組み、使い方について、実践的で役立つ知識をご紹介していきます。
第2章 マシニングセンタの装備

2-4 回転テーブルのしくみ

回転テーブルは電子レンジや中華料理のテーブルのように円形で1軸の回転機能を持つテーブルです。回転テーブルはロータリテーブル、ターンテーブル、旋回テーブルと言われる場合もあります。また、2つの回転軸を持つ回転テーブルを「傾斜回転テーブル」といいます。

回転テーブル、傾斜回転テーブルの仕組みには【1】ロータリ式、【2】インデックス式、【3】ダイレクトドライブの3種類があります。

 

【1】ロータリ式は(1)テーブル内のウォームギアがウォームホイルと噛み合うことによりテーブルを回転させる形式と(2)平歯車列を組み合わせてテーブルを回転させる形式の2種類があり、両者とも0.001°~0.0001°単位で任意の位置決めを行うことができます。ロータリ式は切削中も回転運動できますが、大きな切削抵抗が発生する重切削には適しません。ロータリ式は歯車の組み合わせによりテーブルを回転させるため、回転速度が遅く、バックラッシが回転精度に影響しやすことが欠点です。

ロータリテーブル

ロータリテーブル
0.001°または0.0001°の単位で任意角度の割出しが可能な回転テーブルです。

ウォームギアとウォームホイル

ウォームギアとウォームホイル

平歯車列

平歯車列
平歯車を組み合わせてモーターの回転を減速してテーブルを駆動させます。

 

【2】インデックス式は「カービックカップリング」と呼ばれる円周上に歯形を持った一対の円盤がテーブルに内蔵されており、上下の歯が噛み合うことによって位置決めを行います。たとえば、カービックカップリングの上下の歯数が360枚であれば1°ごと、72枚であれば5°ごとの位置決めが可能です。通常、カービックカップリングの駆動源は油圧で使用され、上下の全ての歯が強固に噛み合うため、高い剛性を有します。このため、大きな切削抵抗が作用する重切削にも耐えられますが、切削中に回転させることはできません。

インデックステーブル

インデックステーブル
5°または1°の割出しを行う回転テーブルです。

カービックカップリング

カービックカップリング

カービックカップリング

 

ロータリ式およびインデックス式ともに歯の噛み合いで位置決めを行っているため、切りくずや塵、切削油剤の進入は厳禁で防塵・防錆対策が必須です。

 

【3】ダイレクトドライブは歯車を使用せず、テーブルがACサーボモータと直結する方式です。モータ直結のため回転させるためのトルクが必要になりますが、歯車を使用しないので回転速度が速く、機械部品の摩耗やバックラッシが回転精度に影響しないことが利点です。マシニングセンタで同時4軸加工、同時5軸加工を行う際、ロータリ方式では直線運動に比べて回転運動の速度と精度が悪く、加工時間と精度が回転テーブルの性能に引っ張られ、ボトルネックになっていましたが、ダイレクトドライブは直線運動と同等の運動速度と精度が実現できます。ダイレクトドライブモータ(Direct Drive Motor)の頭文字を取ってDDモータと呼ばれることもあります。

 

執筆: 芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科 澤 武一 教授

『マシニングセンタの基礎講座』の目次

第1章 マシニングセンタの基礎知識

第2章 マシニングセンタの装備

第3章 マシニングセンタを動かすソフトウエア

第4章 マシニングセンタの要素技術

第5章 マシニングセンタの特性と関連知識

第6章 マシニングセンタを使用する際の基礎知識

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