工具の通販モノタロウ 空調・電設資材 空調設備の基礎講座 空調機(エアハンドリングユニット)の構造

空調設備の基礎講座

私たちは、室内外の状況変化に応じて温度や湿度などを調節するために、暖房、冷房、換気などの「空調設備」を使用します。本連載では、空調設備の役割・目的から各種設備の特徴まで、快適に過ごすために知っておくべき基本的な事項を紹介していきます。
第3章 熱源と主要機器

3-13 空調機(エアハンドリングユニット)の構造

空調機は文字通り、空気を調和する機械です。つまり空気の清浄度や湿度を整えて、適度な温度の空気をつくって目的の場所に調和された空気を送る機器です。空調機(エアハンドリングユニット)は空調設備にとって心臓部ともいえる重要な機器です。エアハンドリングユニット略してエアハンなどという人もいます。

空調機はケーシングにエアフィルタ、冷却コイル、加熱コイル、加湿器、エリミネータ、送風機(ファン)などの機器を組み込んでパッケージ化して、扱いやすく管理や点検しやすい構造になっています。

図は単一ダクト方式の空調機を簡略化したイメージ図ですが、単一ダクト方式の空調設備において、外気と還気を一緒に取り込む理由はいくつかあります。室内からの還気だけを循環させていては新鮮な空気は不足してしまうので、最低限の換気の意味でも外気と混ぜる必要があります。また、室内と室外との温度差が極端に激しいと、冷暖房の負荷が大きくなるのでエネルギーがロスします。還気と外気を混ぜることでエネルギーロスを軽減する意味もあります。

空調機の内部イメージ

空調機の内部イメージ



エアフィルタ

外気や室内からの還気に含まれている粉じんや埃などを除去して、空気の清浄度を高めるのがエアフィルタの役割です。

空気中の粉じんや埃などを捕集する方法としては、布、ガラス繊維などの「ろ材」で粉じんなどを捕集する「ろ過」による方法、粘着性のあるろ材で粉じんなどを捕集する方法、粉じんなどを帯電させて電気の力で吸引する方法などもあります。

冷却コイル・加熱コイル

冷却コイルや加熱コイルとは熱交換器のことです。一つのコイルで冷却と加熱を兼用するコイルを冷温水コイルといい、冷温水コイルを用いる場合が多いですが、ここでは分かりやすくするため、冷却と加熱コイルを分けて説明します。

一般に夏はジメジメして蒸し暑いので、空調機の役割として冷却と除湿が必要になります。対して、冬は乾燥して寒いので、加熱と加湿が必要です。

夏は冷凍機などから冷却コイルに送られる冷水と空気との間で熱交換して冷風をつくります。暖かく湿った空気は冷却コイルに触れることで、冷たい空気とドレンといわれる結露水に分かれます。このドレンを捨てることで除湿になります。

冬はボイラなどから加熱コイルに送られる温水や蒸気と空気との間で熱交換して温風をつくります。なお、温水によって熱交換するものを温水コイル、蒸気によって熱交換するもの蒸気コイルといいます。加湿はコイルではなく、加湿器で行います。

加湿器・エリミネータ・送風機

加湿器の加湿方法には、ボイラで発生した蒸気を噴霧する方法や、電気ヒーターで加熱して水蒸気を発生させる方法などがあります。

エリミネータとは水滴を分離させる装置です。噴霧水の粒径が大きい場合などは送風機やダクトに水滴が飛び散らないように水滴を取り除く必要があります。

最終的に調和された空気を室内へ送る動力となるのが送風機です。送風機について詳しくは、次の章で触れることにします。

執筆: イラストレーター・ライター 菊地至

『空調設備の基礎講座』の目次

第1章 空調設備を学ぶ前に

第2章 空調方式

第3章 熱源と主要機器

第4章 熱搬送設備

第5章 空調設備と省エネ

第6章 個別暖房と直接暖房

第7章 換気設備

目次をもっと見る

『空調・電設資材/電気材料』に関連するカテゴリ

『空調・電設資材』に関連するカテゴリ