バルブの種類と選び方
バルブとは
電気が電線を通って伝わっていくように、気体や液体は配管の中を通って流れていきます。この配管の流れをコントロールするのがバルブとよばれるもので、配管におけるスイッチのような役目をします。バルブは、目的や用途によってさまざまな種類があり、必要に応じて使い分ける必要があるのです。
バルブの種類と選び方
バルブは制御方法によって多くの種類が存在します。
バルブの種類で選ぶ
一般的に、バルブは配管内の物質(流体)をどのように制御するかといった仕組みによって分類されています。
ボールバルブ
バルブの取手には、穴の空いたボールが直結しており、バルブを回すことで中のボールも回転する仕組みになっています。穴の開いた面が配管の方を向くと流体が通過し、横にすると遮断されます。
ボアの違い | |||
---|---|---|---|
- | フルボア | スタンダードボア | レデューストボア |
呼び径(管)とボール | 同一 | 呼び径よりボール内径が1サイズ小さい | 呼び径よりボール内径が1サイズ以上小さい |
流量損失 | ほとんどなし | 増える | かなり増える |
構造の大きさ | 大 | 中 | 小(省スペース) |
グローブバルブ
バルブ内部が2層構造になっており、その通過点を円すい状の弁が上下することで流体をコントロールします。構造上、抵抗は大きいですが流量の調節が可能で開閉トルクが大きいことが特徴です。
ゲートバルブ
配管に対して垂直にスライドすることで流体をコントロールします。流量調節には不向きで、流す・遮断するの二択の操作に用いられます。
バタフライバルブ
ボールバルブのようにバルブ内部で弁が回転することで流体をコントロールします。違いは弁の形状にあり、バタフライバルブは穴が開いておらず弁と配管の間に開いた隙間を調節することで流量を調節します。
ニードルバルブ
バルブのハンドルを回すことで弁が垂直方向に上下し、流体をコントロールします。ゲートバルブと同じ遮断方法ですが、ニードルバルブは流量の調節が可能です。
チェックバルブ(逆止弁)
逆流を防止するためのバルブです。人間の血管内の弁と同じで一方向に向かって開きますが逆方向には開きません。一方通行で利用する配管などに用いられています。
ダイヤフラムバルブ
ダイヤフラムと呼ばれる弁を作動させることによって流体をコントロールします。ダイヤフラムとは隔膜という意味でフッ素樹脂やゴムなどが用いられます。非常に気密性が高くデリケートな流体にも使用できますが、高圧力下での使用には向いていません。
電磁弁・電動弁
電磁石の力で弁を動かすもので非常に早い応答速度が特徴です。反面、水量調節にはあまり向いておらず、流す・止めるの二択で利用されることが多いバルブです。
呼び径で選ぶ
配管のサイズを表す方法としてA呼称、B呼称が用いられます。A呼称はメートル換算、B呼称はインチ換算ですが日本独自の表記方法で世界基準では通用しません。非常にわかりにくいのですが、1インチ=25ミリメートルを基準と考えます。ヤード法では1インチより小さな単位がないため、1インチ以下の数字は分母を8とした分数で表記されているのです。
つまり8/8=1インチ=25ミリメートルということです。1インチ以下のB呼称とミリとの関連性は全く無く、たとえば6A(ミリ)は厳密にいえば0.234インチで23/100、およそ2/10になりますが、B呼称では1/8となります。B呼称については決まりごとと割り切り暗記する必要があるのです。なお、呼び径というのはあくまで配管を差別化するための基準で、かぎりなく内径に近いものの同一ではありません。
A呼称 | B呼称 | 読み方(ぶ) | 外径(JIS) |
---|---|---|---|
6 | 1/8 | 1分 | 10.5mm |
8 | 1/8(2/8) | 2分 | 13.8mm |
10 | 3/8 | 3分 | 17.3mm |
15 | 1/2(4/8) | 4分 | 21.7mm |
20 | 3/4 | 6分 | 27.2mm |
25 | 1(8/8) | インチ | 34mm |
32 | 1-1/4 | インチ2分 | 42.2mm |
また、1/4を2分、1/2を4分(ぶ)と呼ぶのは分母を8に通分したさいの分子の数になるからです。
素材で選ぶ
バルブは用途別に応じてさまざまな素材が用いられています。
高温高圧用炭素鋼鋳鋼品(SCPH2)
硬さ、引張強度、衝撃などに高い耐性があり高温、高圧下のプラントなどに利用されています。
ダグタイル鉄鋳造品(FCD-S)
銅と同程度の硬度を持ち、コストパフォーマンスに優れた素材で、近年急速に需要が高まっています。
青銅(CAC13A)
もっとも歴史の古い材質で、銅にすず、鉛、亜鉛を加えて作ります。
黄銅(C3771)
加工性、耐食性に優れており、一般的には真鍮の名前で知られています。
ステンレス鋼鋳鋼品
耐食性、耐熱性に優れた素材ですが高価なため使う場所を選ぶ素材です。
使用流体で選ぶ
バルブは、配管内の物質の動きを制御するためのアイテムです。配管内を通過する液体や気体のことを流体とよび、流体によりバルブを選択する必要があります。
液体
お湯や水が通る水道管などに使用されるバルブです。ゲート弁やバタフライ弁などが用いられることが多く流量調整ができるものが適しています。
気体
ガスや空気をコントロールするためのバルブで汎用性の高いバタフライ弁やグローブ弁が適しています。
接続方法で選ぶ
バルブを選ぶ時は接続方法にも注意する必要があります。
フランジ形
バルブの接続面にガスケットを挟みボルトで固定します。もっとも汎用性の高い接続方法で圧力や径に関係なく使われています。

ねじ込み形
50A以下の水道管で使用されている接続方法です。接続面をねじ加工するだけで済むのでコスト的に安く上がることが最大の特徴です。低圧力、低サイズで運用されることが多い接続方法です。

溶接型
パイプとバルブを溶接して固定する方法です。一般的にバルブの径が2インチ以下の時に用いられるソケットウェルド(差し込み型)と幅広いサイズに適合するバットウェル(突き合わせ型)の2種類の接続方法があります。
差し込み型
突き合わせ型
バルブを選定する時のポイント
下記項目を確認して選定するようにしてください。
- 使用圧力(Mpa)
- バルブ本体の材質(使用する流体に合わせる)
- 配管の呼び寸法
バルブは、使用する目的や流体によって選ぶ必要があります。バルブには多くの種類があり、得意な流体や適応する圧力によって得手不得手があるのです。バルブの特性を把握し、使用目的に合った製品を選ぶことが重要なのです。