堆肥・土壌改良材の種類と使い方
堆肥・土壌改良材の種類と特徴
耕作に適した土にするために、土壌に施して土の性質を変えるはたらきを持つ資材を「土壌改良材」と言います。肥料と異なる点は、肥料が作物に栄養を与えることを目的としていることに対し、土壌改良材は栄養だけでなく土の通気性や保水性を改善し、微生物を増やして土壌そのものを豊かにすることが目的ということです。
土壌改良材の中でも代表的なものが「堆肥」。堆肥とは落ち葉や枝などの植物由来の有機物や、牛や豚の糞など動物由来の有機物が微生物によって分解・発酵されたもので、有機質肥料として用いられることもあります。 堆肥中の微生物の働きによって土が作物の育成に適した団粒構造になり、植物が病気になりにくい土壌に改善することが可能です。
実は堆肥と一口に言っても、種類は様々。原料によってそれぞれ特徴があるので、目的に合わせて使用しましょう。代表的なものをご紹介します。
肥料分は少ないですが、土をフカフカにして水もち・肥料もちを良くします。
- 腐葉土
- ケヤキやブナなど広葉樹の落ち葉や枝を積み重ね、長時間発酵させて土にしたものです。肥料としての効果はあまりありませんが繊維分が多く、通気性・排水性・肥料もちに優れており土をフカフカにしてくれます。 痩せた土を再生させたい時などにおすすめ。またミネラル分を含んでいるので野菜などの育成にも向いています。
- バーク堆肥
- 針葉樹や広葉樹の樹皮(バーク)を発酵させたものです。多孔質で水分保持力が高いので保水性・肥料もちに優れており、土を柔らかくする効果があります。同時に通気性や水はけも改善してくれ、土壌のバランスを整える効果も。また土壌改良の効果が長持ちするので、多くの場面で活用されています。
- もみ殻堆肥
- もみ殻に鶏糞や米ぬかなどを加えて発酵させたもの。軽くて空気を含みやすいため通気性や水はけの改善が可能です。また、完熟したものは特に保水性が高く、粘土質の土壌をほぐす効果があります。
肥料分が多く、窒素・リン酸・カリウムの三要素を豊富に含んでいることが特徴です。
- 牛糞堆肥
- 牛の糞を発酵させた堆肥を指します。適度な肥料分を含んでおり、比較的穏やかに肥効が現れるでしょう。また牛は草やワラを食べるので糞には繊維質も多く、肥料分だけでなく土をフカフカにする土壌改善効果も期待できます。
- 豚糞堆肥
- 豚の糞を発酵させたものです。豚は雑食で穀物や油粕などの配合飼料を食べているため、肥料分は多めですが繊維分はやや少なめ。肥効は牛糞と鶏糞の中間程度だと考えましょう。
- 発酵鶏糞
- 鶏の糞を発酵させたものです。鶏は濃厚肥料を食べているため、繊維質は少ないのですが肥料分が化成肥料並みに多くなります。そのため、使いすぎると土壌が発酵しすぎて育成障害を起こすので注意が必要です。
堆肥の他、代表的な土壌改良材をご紹介します。
- もみ殻くん炭
- もみ殻を燻して炭にしたものです。アルカリ性なので、酸性の土壌を中和したい時などにも有用。ミネラルやケイ酸、カリウムなどの微量要素を含み、保水性・通気性に優れています。また消臭効果もあるので堆肥の臭いを消したい時に用いるのも良いでしょう。
- 石灰
- 「苦土石灰」「消石灰」「貝化石」などの種類があります。それぞれマグネシウムの補給や酸性土の調整、土の団粒化など、異なる効果を得ることが可能です。
- パーライト
- 真珠岩や黒曜石を高温処理し、粉状にしたものを言います。多孔質で軽く、保水性に優れているのが特徴です。そのため水もちや通気性のバランスを調整したい時に使用します。
堆肥・土壌改良材の使い方
堆肥・土壌改良材はどのようにして使用すれば良いのでしょうか。
土づくりにおいて、土壌改良材は基本的に土に混ぜ込んで使うとされています。植え込みの数週間前に、土の上層と下層を入れ替えるようによく耕して混ぜましょう。土の状態にもよりますが、一平米あたり2~3kgが良いとされています。
ただし、堆肥の場合は「完熟しているかどうか」が問題です。堆肥が熟していく過程では、微生物の働きによって窒素や酵素が奪われ「熱」が発生します。未熟な堆肥を土に混ぜると、熱によって逆に作物を傷めてしまいかねません。
堆肥は完熟したものを選ぶか、混ぜ込まずに土の上に乗せると良いでしょう。土の上に堆肥を乗せる方法は、森で動物の糞によって土がフカフカになる原理と同じなので、自然なサイクルで育てることができます。また土に堆肥を被せることで保温効果も望めるため、冬の土の凍結防止などにも有用です。
通気性や水はけ、肥料もちを良くし、作物が元気に育つ環境を整える堆肥・土壌改良材は、耕作において必要不可欠と言えるでしょう。野菜をより美味しく、花をより美しくするために、各種の特徴を活かして上手に使ってみてください。