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さびの分析による腐食原因解明

構造物のさびは、建造物の健全度や腐食原因を教えてくれる重要な指標です。さびの種類にはさまざまなものがあり、その量や内容を分析することがよりよい防食につながります。ここでは、さびにはどのような種類があり、それらの分析からどのようなことが判明するのかを併せてご紹介いたします。

さびの種類

さびとは、水や酸素など環境中の物質が、対象物である金属の表層部分の原子と酸化還元反応を起こすことによって生成される物質です。一般的には以下の4種類に大別できます。

黒さび

四酸化三鉄と呼ばれる、見た目が黒いさびです。赤さびと同じく鉄の酸化物ですが、赤さびとは対照的に対象物との密着性が高く成分も安定しているので、むしろ対象物を覆う保護膜の役割も果たします。美観上の問題から除去を必要とする場合が多いです。

赤さび

ごく一般的に見られる、鉄の酸化物のさびです。空気中の酸素との酸化還元反応により、金属の表面に赤茶色の酸化水酸化鉄が生成されたものを指します。赤さびは非常にもろいさびで、風雨などにさらされることで崩れることも多いです。腐食進行が早く構造物の深刻な損壊にもつながる危険なさびなので、特に注意を必要とします。

青さび

一般に「緑青(ろくしょう)」とも呼ばれるさびで、銅の酸化物です。青さびは青色がかった緑色をしており、大仏や青銅などの銅製構造物がこの色に見えるのも青さびの色のため。緑青も黒さびと同じく、対象物を覆う膜となって対象物の腐食を遅らせる働きがあります。

白さび

白さびは、亜鉛めっきの表面に生成される亜鉛酸化物です。白さびは腐食度合いに比べてさびの発生量が嵩高であるのが特長であり、それほど腐食はされていなくともさびが大量につくので、構造物の機能や美観を損なう場合があります。白さびは亜鉛めっきに雨水など水分が付着する環境で発生するのがメインです。

さびの分析から分かること

さびの調査では、さびの成分の内容や付着度合いをチェックします。では、このようにさびを分析することで、いったいどのような事実が推測できるのでしょうか。

さびの成分分析においては、まず構成元素の調査を行います。鉄が6割から7割程度で、残りの3割程度が酸素と吸着水で構成されていれば、ごく一般的なさびです。しかしながら、成分中に塩素や硫黄などが多く含まれている場合は、対象物の置かれていた環境中に塩分や硫黄化合物が存在し、これらの物質が腐食物の生成に影響したことがわかります。

たとえば、海洋上や海岸の環境で生成されたさびには塩素分が含まれていたり、高濃度のSO2を含む環境で出来たさびには硫黄成分が含まれていたりするのです。ちなみに海岸・海洋上の環境で生成されたさびにはFe3O4が多く、工業地帯で生成されたさびには少ないなど、結晶成分と対象物の置かれた環境には関連性があります。基本的なさびではα-FeOOH、β-FeOOH、Fe3O4が検出されます。

さび層の状況の診断は、分析と併せて行うのが一般的です。安定したさびは、ネストが少なく、連続性があるのが特徴のひとつ。さびの色合い、密着性、緻密さ、連続性、ネストの状況などを目視で診断します。ただし、このときは診断の定量性・客観性の維持に留意しなければなりません。

このような診断に際しては、フェロキシル試験を行うのもひとつの手段です。フェロキシル試験では、フェロシアン化およびフェリシアン化カリウム、塩化ナトリウムの溶液を含ませたろ紙をさびに付着させ、ネスト部で生成されたさびがろ紙上で青い点となって現れることでネストの分布を知ることができます。

これらのさびの分析で得られる情報は、腐食原因を直接解明するという性質のものではありません。ただし、原因を推測するにあたっての重要な情報となりますので、対象物の性質や置かれている環境を総合的に判断し、診断を行っていきましょう。

まとめ

さびにはいくつかの種類があり、その成分や付着状況を分析することで腐食の原因が解明できます。対象物の置かれている環境や素材の耐久性、さびの密着状況などから総合的に判断し、腐食の原因を的確につかむことが、より効果の高い防食につながるでしょう。

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