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食品機械用潤滑剤の規格について

食への高い安全性が求められる昨今、人の体の中に入るものだけに、一般的な製品とは違い、さらなる製品への高い配慮が必要となります。一度でも不信感を与えてしまうと、それを取り戻すことは難しく、製品を提供する側も、細心の注意を払って、食品の安全性への取り組みを続けなければなりません。 ここでは、食品機械用の潤滑剤がどのような規格を持ち、どんな注意の元、保全に使用されているかのポイントについて解説します。

食品機械用潤滑剤とは

食品の加工にも、当然のように機械は用いられます。また、一般的な機械と同様、たくさんの用品を使って機械の保全を行わなければなりません。食品への安全性への配慮から、食品機械の保全には、特別な考え方を持ちながら、保全を行っていきます。保全に欠かせない潤滑剤についても同じです。

食品加工用の機械も一般的な機械と同じく、軸受部をはじめ、摺動部に対する潤滑や保全は欠かせません。そのためには、潤滑剤を使用する必要があります。食品への配慮が必要だからといって、機械保全への性能の低い潤滑剤を使用することはできません。そのため、食品機械用潤滑剤では、米国食品医薬局(FDA)規格の原料が使用された潤滑剤が用いられます。 また、食品機械に使用される潤滑剤では、体への影響がしっかりと考えられた安全性の高いものが使用され、食品に触れることが許諾された潤滑剤として、NSFと呼ばれる米国の非営利第三者機関に登録されたものが使用されます。

NSFとは

NSFは、公衆衛生や安全をはじめ、環境に関する事業を行っている機関です。食品の製造や加工では、それぞれの工程で発生する可能性のある危害をあらかじめ分析することが求められます。 それを重点的に管理する手法がHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)と呼ばれていますが、NSFでは、HACCPの登録審査も行っています。 その他、食品加工の現場で使われる化合物の登録業務も行っています。NSFに登録されている潤滑剤には、それぞれに規格が設けられています。食品への接触の可能性や使用用途に対して規格が設けられています。NSF登録潤滑剤の規格を見てみましょう。

規格 解説
3H 食品に直接的な接触が許諾される離型剤。
食品の離型やカッターなどの歯面に使用される。
食品機械用潤滑剤としての添加剤などは入っていない。
H1 食品との偶発的接触が許諾される。
チェーンや軸受に使用される。
H2 食品と接触する可能性のない箇所で使用が許諾される。
H3 食肉などを吊す、フックやレールに引っ掛けるトロリーに塗布する防錆用オイル限定の規格。

ちなみに日本国内ではまだ、食品機械用の潤滑剤の認証・規格というものはありません。そのため、食品機械に潤滑剤を使用する場合は、国際的に認証されている、NSF H1規格のものを使用することが推奨されています。

食品製造機械に潤滑油を使う時の注意点

食品の製造・加工の安全を確保する衛生管理のための手法HACCPでは、潤滑剤の使用について、以下のような優先順位で考えられています。

  • 潤滑剤を使わない
  • 潤滑剤が漏れないよう・触れないよう対策する
  • 食品に対し偶発的な接触が許容された潤滑材を使用する

「潤滑剤を使わない」については、オイルを使用しない装置の開発が進んでいるものの、装置が大型化してしまう問題やメンテナンスの観点からも、まだまだ課題を多いと言われています。 「食品に対し偶発的な接触が許容された潤滑材を使用する」については、NSF H1認証の潤滑材を選ぶことで、HACCPの考え方に準拠できるといえるでしょう。

「潤滑剤が漏れないよう・触れないよう対策する」についても、実際の機械のオペレーションを考えると、なかなか難しいのが現実ですが、以下のようなポイントを押さえて機械の運用を心がけることによって、HACCPの安全性に準拠できるといえます。

  • 機械への日常管理を徹底する
  • 潤滑油は適切なものを選んで使用する
  • 潤滑剤を使用する箇所ごとの対策を徹底する
まとめ

機械を取扱説明書に書かれた通り、正しく使用するのはもちろんのこと、機械の保全を定期的に行うことで、潤滑油が思わぬ食品に接触してしまう可能性を低減できます。 また、機械によって適切な潤滑油がありますので、使用する部分に適したものを選ぶのは当然ですが、時には機械メーカーと相談した上で、潤滑剤を使用するようにしましょう。 また、搬送チェーンなど食品の上方で使用する潤滑剤には、落下による混入の対策を心がけ、スライサーやカッターなど、食品の近くで使用する潤滑剤では、食品につかないよう徹底的に対策するなど、潤滑剤を使用する箇所ごとに対策方法を考え、それを常に徹底するようにしましょう。

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