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ダイヤモンドカッターの種類と選び方

ダイヤモンドカッターは硬い素材の研磨や切断に有効な刃物として、主に外構工事や道路工事などで使用されます。ダイヤモンドの固着方法や刃の形状にはそれぞれ種類があるため、切断対象や目的に合わせて選定しなくてはなりません。こちらではダイヤモンドカッターの種類ごとの特長と選定方法についてご紹介します。

ダイヤモンドカッターとは

ダイヤモンドカッターは地球上で最も硬い鉱物であるダイヤモンドを研粒に採用した、円盤状の刃物です。ディスクグラインダーや電気丸のこなどに装着して使用するもので、ダイヤモンドディスクやダイヤモンドホイールと呼ばれることもあります。

コンクリートやブロック、タイルやレンガ、瓦など、硬い素材でも容易に研磨・切断することができる点が最大の特徴です。工事現場においてレジノイド砥石やチップソーでは切断できないような場面に用いられます。

ただし、熱に弱いというダイヤモンドの特性上、摩擦熱が高くなる金属の切断には向いていません。また刃先を研ぐことができないため、寿命を迎えたら交換が必要です。

砥粒であるダイヤモンドの含有比率や粒の突出率、また埋め込まれた層の焼結温度や刃部の形状などによって切断力や耐久性、切断面の仕上がりが変わってきます。目的に応じて最適な刃を選定しましょう。

ダイヤモンドカッターの種類と選び方

ダイヤモンドカッターはその種類によって性能や特徴が異なります。切れ味、仕上げ面、切断するワークなど、重視する要素と用途に合わせて選定しましょう。以下、選定時のポイントをご紹介します。

【1】形状で選ぶ

カッターの形状は大きく分けて2種類。それぞれ切れ味と仕上がりが異なるため、どちらを重視するかによって適したタイプが変わります。

●セグメント

セグメント

刃先に大きく切れ込み(スリット)が入っているタイプ。切れ味の良さが特長です。

切れ込みがあることで切り粉がスムーズに排出され、またダイヤモンドの冷却効果も高くなります。力強くワークに接するため切削力が高く、すばやくカットできる点が利点です。

ただ反対に切れ込みがあることで仕上がり面は粗くなります。切断面をキレイに仕上げたいタイルや大理石にはあまり向きません。欠けが気になりづらいコンクリートやブロックの切断におすすめです。

●ターボ(リム・ウェーブ)

ターボ(リム・ウェーブ)

刃先に切れ込みが入っておらず、繋がっているタイプ。切り口のキレイさが特長です。

スリットがないので振動が少なく、切断面がなめらかに仕上がります。そのため仕上がり重視の瓦やタイルなどの切断に最適です。

刃先に溝がなくつるりとした「リムタイプ」は特に仕上がりが良いですが、切り粉の排出とスピードは劣ります。また冷却効果が低いため、乾式ではあまり使用されません。水をかけながら使用する湿式に用いられます。

刃先に溝の入った「ウェーブタイプ」は、切れ味と切り口のキレイさのバランスが良いタイプです。溝から切り粉を排出し、ある程度の冷却効果も望めます。



【2】適合材から選ぶ

ダイヤモンド(砥粒)の固着方法ごとに向いている素材が異なります。切断したい素材に合わせてダイヤモンドカッターの種類を選定しましょう。

●コンクリート、石材を切断する

メタルボンド

砥粒固着方法は「メタルボンド」が向いています。ダイヤモンド砥粒に2種以上の金属・合金の粉末を混ぜ、焼結させる製造方法です。ダイヤモンドの保持力が高く砥粒層が重層となるため、堅固な被削材に向いており長寿命。安定した切れ味となります。生産性が良く最も一般的な固着方法です。

メタルボンドは、金属がベースになっているボンドのことです。ダイヤモンド砥粒と複数の金属・合金の粉末を混ぜ固めて焼結することで砥粒を固着し、砥石として構成します。 一般的なゴムやPVAなどを主成分としたボンドに比べて粘りがあり、ダイヤモンド砥粒の保持力が強固である点が大きな特長。砥粒そのものが層となり重層できるため、砥石としての形状の維持性が高く、超寿命です。耐摩耗性・耐熱性に優れ、摩耗変化を嫌う作業や、堅固な被削材を研削したい場合などに向いています。 研削中は適度にボンドが摩減していくため、常に砥粒が突出している状態になり、安定した切れ味を望めるのも特長です。

メタルボンドの使用は生産性が最も良いため、ダイヤモンドディスクの砥粒固着では一般的な方法です。ただ原料となる金属材質は、コバルト、鉄、スチール、タングステン、ブロンズ、ニッケルなど様々で、複数の金属・合金が使用されています。その配合・製法はメーカーによって異なるため、呼び名(コバルトボンドなど)をはじめ使用感や性能も製品によって異なるでしょう。


●大理石、タイル、ガラス、軟質化粧板を切断する

電着

砥粒固着方法は「電着」が向いています。電解メッキ法でダイヤモンド砥粒を基板表面に固着させる製造方法です。細かな砥粒を高密度にぎっしりと均一に付着させられるため、高精度の切削を実現できます。砥粒層は表面の一層だけなので保持力は低くなりますが、繊細な作業を要する場面に重宝するでしょう。

電解メッキ法によって、ダイヤモンド砥粒を基板の表面に電着させるという製造方法。基板はステンレスなど、メッキ層はニッケルをベースにしたものが一般的です。

電着の特長は、パウダー状の細かい砥粒を均一に、しかも高密度に付着できるという点でしょう。砥粒がぎっしりと詰まっているため耐摩耗性に優れ、切れ味が鋭くなめらかで高精度の加工が実現可能です。目詰まりを起こしやすい加工物や、摩耗変化を避けたい繊細な研削作業にも向いています。また、電着はメッキを施すことが可能であれば、複雑な形状の基板にも固着が可能です。さらに、電着層は基本的に一層なので厚さをコントロールすることが可能で、砥粒が突出している高さを揃えることもできます。

ただ、メタルボンドや溶着に比べて砥粒の保持力は劣るという難点もあります。砥粒が含まれる層は表面の一層のみなので基板との密着力が低い上、電着層が摩減してきたら使用できなくなります。再電着して再利用すると良いでしょう。


●アルミ、樹脂を切断する

溶着

砥粒固着方法は「溶着」が向いています。ダイヤモンド砥粒の根元を基板に直接ロー付けし、固着させる製造方法です。電着に比べて砥粒の保持力が高く、また突出量が大きいため切れ味が鋭くなります。砥粒間の目詰まりが起こりにくく長寿命。臭いや火花も少なくなります。

ダイヤモンド砥粒の表面に金属メッキを施し、その根元を基板にロウ付けするという製造方法です。レーザブレージングを行うため「ブレージング」と呼ばれることもあります。

ダイヤモンドは他の物質と科学的な結合ができないため、これまでダイヤモンドを使った砥石は砥粒の保持力が命題でした。そんな電着の保持力の低さを補うことができる製造方法が、直接基板に固着する溶着です。その特長は、砥粒の保持力が非常に高いだけでなく、砥粒の突出量が大きいため、切れ味が鋭く切断能力に優れているという点にあります。これまでは難しかったゴムや繊維強化プラスチックの切断も可能になりました。

また砥粒がそれぞれ独立し、突き出た状態で溶着されるということは、砥粒間の目詰まりが起こりにくいということでもあります。そのため長寿命でコストダウンにも効果的です。さらに臭いや火花も少なく、エコロジーだとされています。

溶着タイプは切れ味が鋭いため、アルミや鋳物、樹脂系材料、ゴムなどの材料の切断におすすめです。



【3】適合機械から選ぶ

ダイヤモンドカッターを装着する機械によって、新品時の切り込み深さも変わってきます。使用予定の機械に合わせて、以下を目安に選定しましょう。(被削材や作業条件によって切り込み深さは変わります)

  • ●ディスクグラインダカッタ
  • 4型(105mm)、最高回転速度14,500min-1…最大切り込み深さ25mm
    5型(125mm)、最高回転速度12,200min-1…最大切り込み深さ35mm

  • ●丸のこ(カッタ)
  • 6型(150mm)、最高回転速度10,100min-1…最大切り込み深さ50mm
    7型(180mm)、最高回転速度8,400min-1…最大切り込み深さ60mm
    8型(203mm)、最高回転速度7,500min-1…最大切り込み深さ70mm

  • ●エンジンカッター
  • 9型(230mm)、最高回転速度6,600min-1…最大切り込み深さ70mm
    10型(250mm)、最高回転速度7,600min-1…最大切り込み深さ95mm
    12型(305mm)、最高回転速度6,300min-1…最大切り込み深さ100mm
    14型(355mm)、最高回転速度5,300min-1…最大切り込み深さ125mm

  • ●電動カッター
  • 9型(230mm)、最高回転速度6,600min-1…最大切り込み深さ70mm
    10型(250mm)、最高回転速度5,900min-1…最大切り込み深さ95mm
    12型(305mm)、最高回転速度4,900min-1…最大切り込み深さ100mm
    14型(355mm)、最高回転速度4,300min-1…最大切り込み深さ125mm

まとめ

ダイヤモンド砥粒は単純に多ければ良いというものではありません。切断したい素材、使用する取り付け工具、そして切れ味や仕上げ面の美しさなど重視したい要素を踏まえ、総合的にダイヤモンドカッターを選定しましょう。

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