ベアリングとは

ベアリングは、私たちにとって身近な機械のさまざまな部分で使用されています。回転を伴う機械の運動を滑らかにするために欠かせないパーツがベアリングなのです。ここでは、機械を円滑に稼働させるために欠かせない、ベアリングについての知っておくべき基本的なポイントと、その仕組みについて解説します。

ベアリングについて

ベアリングは、機械の回転している部分に生じる摩擦を減らし、運動をなめらかにするパーツです。また、一般的にベアリングは、軸受とも呼ばれています。

機械を稼働させる時には、回転などの動きを伴います。ベアリングは、軸が壊れてしまわないよう、荷重を引き受ける役割を持っています。

ベアリングの種類は大きく分けて、「転がり軸受」と「滑り軸受」の2種類あります。また、ベアリングの素材としては、耐久度を高めるために、高炭素クロム鋼などが用いられます。

その使い方は、軸に挿して取り付けるタイプが一般的です。使用されるシーンは、工場などの現場をはじめ、家庭用のポンプやバイクなどに使われています。他にも、家電製品や自動車など、身近な製品はもちろんのこと、半導体や産業機械、情報通信や交通など、さまざまな分野で活用されています。

ベアリングの原点は、紀元前650年頃の古代アッシリア時代にまで遡ります。現代では、機械装置の稼働を支え、摩擦を減らし、円滑な機械の回転運動を支える重要なパーツとして活用されているのです。

ベアリングの仕組み

軸を正しく滑らかに回転させるために用いられるベアリングは、摩擦によるエネルギー損失や発熱を減少させ、部品の焼きつきを防ぐ役割があります。

ベアリングは主に「転がり軸受」と「滑り軸受」の2種類からなり、「転がり軸受」は一般的に内輪、外輪、転動体(ころ、またはボール)、保持器(転動体の位置を決めるもの)によって構成されています。内輪と外輪との間に複数の転動体が配置されており、それらは一定の間隔を保っていることが特徴です。

また転がり軸受は、次に紹介する滑り軸受に比べより小さな力で回転運動を発生させることができます。さらに円滑・高速回転での使用が可能で、取り扱いが比較的簡単なのも特徴です。転がり軸受に用いられる素材は、セラミックス・カーボン・プラスチック・完全焼入れ軸受鋼などです。

図1

次に「滑り軸受」について説明します。滑り軸受は、外輪と内輪の間に油や空気を入れ、軸と軸受の接触で滑り運動をする軸受のことを言います。転がり軸受のような転動体を利用することなく、軸を支える構造になっています。 滑り軸受はステンレス鋼、鋼鉄、青銅合金、焼結合金、砲金などの金属をはじめ、プラスチックやカーボンなどの素材が用いられます。耐衝撃性、耐水性、揺動運動に優れている点が特長です。

図2

ベアリングに使われる記号一覧

ベアリングはメーカーによって記号が異なります。ここでは、ベアリングの記号と構造をご紹介します。

両側鋼板シールド形(両側鋼板シールド付)
  • 片側
  • 両側鋼板シールド形は、金属のシールド板を輪に固定し、内輪シール面のV溝とのすきまを形成しています。
  • 末尾記号
  • 大阪魂:ZZ
  • NTN:ZZ
  • NSK(日本精工):ZZ
  • ナチ(NACHI):ZZEもしくはZZ

片側鋼板シールド形(片側鋼板シールド付)
  • 片側
  • 片側鋼板シールド形も、両側鋼板シールド形と同様に、金属のシールド板を輪に固定し、内輪シール面のV溝とのすきまを形成しています。
  • 末尾記号
  • 大阪魂:なし
  • NTN:Z
  • NSK(日本精工):Z
  • ナチ(NACHI):ZEもしくはZ

開放形・オープン形
  • 片側
  • 鋼板やゴムによるシールドがされてなく、中のボールが両側から見えている構造になっています。
  • 末尾記号
  • なし

両側接触ゴムシール形(合成ゴムシール付)
  • 片側
  • 鋼板に合成ゴムを固着したシール板を外輪に固定し、シール先端部は内輪シール面のV溝に沿ってすきまを形成しています。
  • 末尾記号
  • 大阪魂:2RS
  • NTN:LLU
  • NSK(日本精工):DDU
  • ナチ(NACHI):2NSE

両側非接触ゴムシール形(合成ゴムシール付)
  • 片側
  • 鋼板に合成ゴムを固着したシール板を外輪に固定し、シール先端部は内輪シール面のV溝側面に接触しています。
  • 末尾記号
  • 大阪魂:2RZ
  • NTN:Z
  • NSK(日本精工):VV
  • ナチ(NACHI):2NKE

※鋼板シールド形のシール部分には、片側ずつに6204Zと刻印されています。(片側鋼板シールド形は、シールされている片側のみ刻印があります。)

※画像は一例です。メーカーによってはゴム色が異なる場合があります。