タップ加工の種類と適合材料
「タップ」とは、金属の下穴にねじ跡(めねじ)をつけるための工具です。
タップ各部の名称

タップの種類 下穴形状(止まり穴・通り穴)により種類別される。
切削タイプ(切り屑が出る)

切り屑を後方に排出するタップで、主に「止まり穴」に使用されます。
※加工状態によっては「通り穴」に使用することもあります。

切り屑を前方に排出するタップで、「通り穴」に使用されます。

ハンドタップ(先・中・上げタイプ有り)
切り屑をタップ本体自体に抱え込めるため、「止まり穴・通り穴」両方に使用する兼用タイプです。
盛上げタイプ(切り屑が出ない)

切り屑が出ないため、後の処理が楽です。止まり穴用・通り穴用ともあります。
※ただし、止まり穴用と通り穴用の兼用はできません。
・切り屑が出ないロールタップは環境問題にはもってこいのタップです。
材料別タップ選定の目安
ハンドタップ | スパイラルタップ | ポイントタップ | ロールタップ | |
---|---|---|---|---|
通り穴 | ○ | ○ | ◎ | ○ |
止まり穴 | ○ | ◎ | × | ○ |
構造用鋼 | ○ | ◎ | ◎ | ○ |
調質鋼 | ◎ | △ | ○ | × |
鋳鉄 | ◎ | △ | △ | × |
アルミニウム圧延材 | △ | ○ | ○ | ◎ |
プラスチック | △ | ◎ | △ | × |
- ◎:最適
- ○:使用可能
- △:やや問題あり
- ×:不適
ねじ跡ができるまで
<止まり穴の場合>

- 金属面(断面図)
- ドリルで穴(大穴)を空ける
- ②で空けた穴にタップを回転させながら入れる
- ねじ跡のできあがり(めねじ)

金属板を突き抜けた穴を「通り穴」、突き抜けない穴を「止まり穴」と呼びます。
加工事例

切削条件
- タップ:ハンドタップ M10×1.5
- 被削材:鋳鉄
- 下穴径:8.5mm
- 回転数:250rpm
- 切削速度:7m/min
- 送り量:375mm/min
- 下穴径状:通り穴
※上記は一例です。使用条件により異なります。
【ねじ下穴径の簡易算出式】
切削タップ
下穴径=呼び-ピッチ
例)M6×1の場合 6-1=5
ロールタップ
下穴径=呼び-ピッチ/2
例)M6×1の場合 6-1/2=5.5
※あくまで簡易算出式に基づく一例です。
ココミテvol.2より転載