溶接作業者の健康障害防止対策を強化するため、
2021/04/01から溶接ヒュームが新たに規制対象となりました。
取り組むポイント、製品の選び方を分かりやすくご紹介します。
法改正の概要「溶接ヒューム」が新たに特定化学物質に!
「溶接ヒューム」が新たに特定化学物質として規制されます。
溶接ヒュームはグループ 1(ヒトに対して発がん性がある)に分類されました。(国際がん研究機構 2017 年)
- 溶接ヒュームには塩基性酸化マンガンが含まれており、ばく露による神経機能障害が多数報告されています。
- 塩基性酸化マンガンも新たに特定化学物質に位置付けられます。
-
特定化学物質に位置付けられることで、新たに実施しなければならないことがあります。
- 「全体換気」もしくは同等以上の措置(プッシュプル型換気装置、局所排気装置を含む)を実施。
- 特殊健康診断の実施。 (6ヶ月以内ごとに1回。)
- 特定化学物質作業主任者の選任。(技能講習の修了が必要。)
その他にも安全衛生教育・立ち入り禁止措置など必要な措置があります。
溶接ヒューム濃度の測定が必要になります。
金属アーク溶接等作業 (アークを用いる溶接・溶断・ガウジング作業)を継続して行う屋内作業場では、「個人サンプリング法(個人ばく露測定)」で溶接ヒューム濃度の測定を実施します。
作業環境測定機関等の十分な知識・経験を有する者により実施されるべき、と通達で示されています。
年に一度のフィットテストが義務化されます。
面体形の呼吸用保護具(防じんマスク、面体形PAPR など)を選択する場合、フィットテストが必要になります。(密着性の確認)
- 年に一度の実施が義務化され、結果は記録し、3年間保管します。
- 合格基準に満たない場合は、直体のサイズ/種類を変更したり、他の呼吸用保護具を選択します。
フィットテスト
とは?
面体形の呼吸用保護具を選択した場合、どんなに高性能のマスクを選んでも、そのマスクが顔に合っていなかったり、正しく装着されていなければ、その効果を発揮できません。マスクがきちんとフィット(密着)しているかを確認し、正しい装着方法を習得するための方法が「フィットテスト」となります。
現状お使いのマスク(半面形面体)を使用してフィットテストが可能です。
有効な呼吸用保護具の選び方~測定結果に応じ、使用します。
-
①溶接ヒューム濃度測定では、溶接ヒューム中のマンガン濃度が測定されます。その結果から、「要求防護係数」を算出します。
(溶接ヒュームには様々な成分が含まれています。) -
② 「要求防護係数」を上回る「指定防護係数」を有する呼吸用保護具を選定して、使用します。
- ※防護係数
-
呼吸用保護具の防護性能を表す数値(= 実測される値)
漏れ率の逆数であり、高ければ高いほど、その呼吸用保護具の防護性能が高いこととなります。 - ※要求防護係数
- その作業環境で要求される防護係数(= 必要とされる防護性能)
- ※指定防護係数
- 呼吸用保護具ごとに与えられている数値(= 期待される防護性能)


規制開始スケジュール(金属アーク溶接作業等を屋内作業場で継続して行う場合)

呼吸用保護具の選び方
対応チェック
溶接作業に従事される皆さまにおかれまして、どのような対策が必要になるのかを示したチャートです。
こちらを参考に、必要とされる措置をご確認ください。

呼吸用保護具の種類と指定防護係数
粉じん則の規定により、金属アーク溶接等作業に従事する労働者は有効な呼吸用保護具を使用しなければなりません。
令和4年4月1日以降は、特化則に基づき、溶接ヒューム濃度測定結果に基づいて呼吸用保護具を使用して下さい。
呼吸用保護具の種類 | 指定防護係数 | |||
---|---|---|---|---|
防じんマスク (↓1) |
取替え式(半面形) | RS3又はRL3 | 10 | |
RS2又はRL2 | 10 | |||
RS1又はRL1 | 4 | |||
使い捨て式 | DS3又はDL3 | 10 | ||
DS2又はDL2 | 10 | |||
DS1又はDL1 | 4 | |||
電動ファン付き呼吸用保護具 (↓2) |
全面形面体 | S級 | PS3又はPL3 | 1000 |
A級 | PS2又はPL2 | 90 | ||
S級又はA級 | PS1又はPL1 | 19 | ||
フード形又はフェイスシールド形フィットテスト不要 | S級 | PS3又はPL3 | 25 | |
A級 | PS3又はPL3 | 20 | ||
S級又はA級 | PS2又はPL2 | 20 | ||
S級、A級又はB級 | PS1又はPL1 | 11 |
- →1 防じんマスクはRS2以上が主流となっていますが、対象の商品の規格を確認しましょう。
-
→2 電動ファン付き呼吸用保護具に関してはフィルターの性能とファンの性能の掛け合わせで防護係数が決まります。
本体だけでなくフィルターも適しているか、注意しましょう。
- 電動ファン付き呼吸用保護具とエアラインマスクのうち、実際の作業時の測定等により得られた防護係数がこの表に掲げる指定防護係数を上回ることを製造者が証明する特定の形式については、別に定める指定防護係数を使用することができます。
- 2022年4月以前においても、粉じん則の規定により、金属アーク溶接等作業に従事する労働者に、有効な呼吸用保護具を使用させなければなりません。
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