快適空間へ導くLED照明実践講座
2-1 卓上ライトの形状と照明効果
1.ベース式(卓上ライト)
ベースとは床面やサイドテーブル、机上面などに安定して置けるよう、卓上ライト全体(灯具と支柱)を支える台のことを言います。ベースは、例えばシェードなどの灯具が軽量であれば支柱自体がベースになることも少なくありません。伝統的なデザインのシェード付き器具は灯具が軽い布を多用しているため、もともと置物であった陶器や花瓶、彫像を加工して卓上ライトのベースに利用している場合が多いです。また灯具が少し重かったり、支柱が可動式のアームだったりするとベースが軽いと不安定なため、重量と大きさのある金属板や石などがベースに使われます。
ベース式卓上ライト(スタンドライト)は床面や台の上に置くだけですむので使い勝手が良いです。しかしコードの長さが一般に1.5~2.0mほどあるため、設置位置によってはコードに足を引っかけて器具が倒れたり、器具ごと台から落下したりすることも考えられます。
スタンドライトを選ぶ際、器具の寸法で灯具の大きさや灯体の高さを気にされますが、ベースが意外と大きいタイプがあるので、場合によってはバランスの悪い置き方になったりするので注意しなければなりません。例えばベッドのヘッドボードに卓上ライトを置く場合、ヘッドボードの奥行が20cmほどしかないと、灯具の大きさによって、灯具が壁にぶつかってベースがボードからはみ出ることもあるので注意しなければなりません。
写真1 シェードが大きいと壁に当たってテーブル中央にベースが置けないこともある。(この場合は良好)
写真2 ベースの大きさ例
2.クリップ式(クリップライト)
クリップ付きの器具で、棚板やパイプなどに挟んで取りつけます。クリップによっては挟める板厚(約20~40㎜が多い)が若干異なりますが、特に丸パイプは水平方向に取り付けると、器具の重さで灯具が垂れてしまう恐れがあるため、垂直方向のみ設置可能となります。
3.クランプ式(クランプタイプ)
クランプはねじで締めて固定する工具のことです。クリップに比べ頑強に挟め、水平にも垂直にも取り付け可能です。ベース式に比べ作業面のスペースが有効に利用できますが、一方でクランプ自体大きさを持っているので、例えば勉強机の天板に挟んで使用する場合、勉強机をコーナーの壁にぴったりつけることはできず、少し隙間をとらないと設置できなかったりします。そのため隙間のある方に付ければよいのですが、机に対して右側に付けると、右利きの人は右からくる光で手暗がりが生じ、長時間の作業にとって目に良くないので奨められません。また、挟みたい側に引き出しがあると、引き出しが邪魔して設置できないこともあるので注意しなければなりません。このことはクリップ式も同様です。
写真3 クランプ式器具を作業台に取り付け
写真4 クランプ式の水平取り付け例
4.マグネット式
ベースがマグネットになっているため、磁石が付く機器のあるところに取り付けますが。おもに検査や組み立て作業に使用されます。
・点滅スイッチの位置
卓上ライトは点滅スイッチの位置が器具によって様々です。フロアスタンドライトは足元にあるフットスイッチが多く、操作は足で軽く踏むことで点滅します。クランプやクリップ式の器具は灯具(ヘッド)についている場合、もしくはコードの中間に付くことが多いです。ベース式器具のスイッチはベースや支柱、灯具などいろいろなところにあります。以上から点滅スイッチは器具の設置場所によって操作の行いやすいところにあることが重要になります。
『快適空間へ導くLED照明実践講座』の目次
第1章 ベースライトの選び方
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1-1シーリングライト(大型)の選び方と取り付け大型のシーリングライト器具は一灯で基準の明るさが得られ、給電口があれば電気工事の資格なしで器具の取り付け可能なことから、日本では住宅照明用として普及しています。
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1-2シーリングライト(小型)の選び方シーリングライトとは天井直付け器具のことを言います。
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1-3ダウンライト器具の選び方と配灯LEDダウンライトはLED電球用とLEDモジュール一体型があります。
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1-4壁付け器具の形状と取り付け壁付け器具は以前「照明のことが分かる講座」で紹介しましたが、今回は壁直付け(以下、ブラケットライト)の用途と取り付けにについて紹介します。
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1-5直管LEDベースライトの種類と使い方全般照明とは室内の主要部を一様な明るさにする照明で、それは集光する器具より光の拡散するベースライトによって実現されます。
第2章 スポットライトの選び方
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2-1卓上ライトの形状と照明効果卓上ライトを安定して取り付けるためにはおもに4つの方法があります。
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2-2フロアスタンドライト(意匠照明用スタンド器具)の選び方シーリングライトのLED化が一段落すると、LEDのスタンド器具を購入する人が日本でも増えています。
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2-3シャンデリアの形状と取り付け吊り下げ型器具には一灯用と多灯用があります。一般的には前者をペンダントライト、後者をシャンデリアと言われています。
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2-4スポットライトの配光と照射位置LEDスポットライトは従来光源である白熱電球用スポットライトに比べ様々な利点があり、性能が向上しています。
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2-5ライティングレールの種類2本の電線を配管の中に入れて通電させる装置をライティングレール (ライティングバー、ライティングダクト、配線ダクトなどと呼ばれる。以下、配線ダクト)と言います。
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2-6ライン型LEDモジュールの種類と用途LEDモジュール(module)とはLEDパッケージを基板に取り付け、点灯可能にした最小構成の商品です。
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2-7コーブ照明の効果とランプ位置コーブ照明は天井面を照らす建築化照明です。天井の隅や壁の高い位置にくぼみ(アゴや庇などとも言う)、を設け、その内部に連続した光源を隠して天井面を照明します。
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2-8コーニス照明の効果とランプ位置何故、壁面全体を明るくするのでしょうか?壁面は通常の生活視点で最も目に入りやすいため、その面をどう照らすかによって空間全体の雰囲気や印象に大きな影響を与えるからです。
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2-9ガーデンライト(庭園灯)の選び方と配置庭園とは草花や樹木、石、池などを計画的に配し、整えられた空間を言います。
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2-10投光器と演出効果LED投光器はLEDの光を柱状に集めて、特定の方向や場を効率よく照らす屋外用照明器具のことです。
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2-11キッチンライト(流し元灯)の種類と照明効果LEDの特長の一つに器具の小型化があります。小型である故、今まで器具の設置が難しかった小スペースや狭スペースに取り付けを可能にしています。