快適空間へ導くLED照明実践講座
1-1 シーリングライト(大型)の選び方と取り付け方
大型のシーリングライト器具は一灯で基準の明るさが得られ、給電口があれば電気工事の資格なしで器具の取り付け可能なことから、日本では住宅照明用として普及しています。
そこで器具を選ぶポイントを、順を追って紹介します。
1.取り付ける天井の状態の確認
一般的に器具は天井の形状によって取り付けが不可能な場合があります。ただし傾斜天井や竿ぶち天井は専用のアダプタをつければ取り付け可能な器種もあります。
天井には引っ掛けシーリング(ローゼット)など電力を供給したり、照明器具を支持したりするものが必要ですが、これらの耐荷重が5kgまでです。器具は3kg前後の重量が多いため、一般的な取り付けには問題ありません。しかし脚立や椅子に上って、大型の器具を片手に持って取り付ける作業は危ないこともあるので、特に高齢の方は注意を要します。
傾斜天井
竿ぶち天井
2.器具デザインを検討
器具は乳白カバー付きで円盤形のプレーンなデザインが普及タイプで、比較的どのようなインテリアでも調和しやすいです。この種の器具には枠なしと枠ありがあります。枠ありの中には、木目調に人気あり、和室などにも使われています。最近は同じ木目調でも、器種によっては天然目にこだわっているメーカもあり、例えば。オークとかメープル、ウォールナッツなどが用意されています。同じ木でも、その種類によって色合いが異なるため、選ぶ人の感性で適正に選ばれることが望まれます。
円盤形プレーン以外には爪飾り付き、立ちフレーム(木枠あり)、角形のアール曲面、金モール付き、和風角形などの種類があります。
器具の大きさもデザインの一部です。光源がLEDになってから器具の厚みは薄く、ひところに比べ部屋が広く感じるようになっています。大きさは大体500φ前後が多いのですが700φを超える器具もあり、部屋の広さに対してのバランスを確認する必要があります。また、発光面はできるだけ光ムラのない器具が美しいです。
3.明るさを選ぶ
部屋の広さに対して平均100lx求めるために必要な光束(lm)の目安が日本照明工業会から発表されています。(3-3を参照)
この数値はLEDモジュール(光源)の経年変化や器具の汚れなどによる照度低下を見込んでいるため、実際にメーカが表示している通りに、例えば8畳用の器具を8畳に使用した場合、点灯初期は100lx以上出ているはずです。
4.省エネタイプを選ぶ
大型のLEDシーリングライトはほとんどが器具とモジュール(光源)が一体化されています。従って光源の寿命が器具の寿命になります。LEDモジュール一体化器具は器具から出る光量を消費電力で割った値が固有エネルギー消費効率になります。
現在、器種にもよりますが円盤形で効率の低い商品でも約90(lm/w)はあり、高いものは170(lm/w)を超えています。もちろん効率の高いほど省エネになります。
しかし、器具 (発光部) の大きさに対して、光束が多いと器具自体が明るく見え、人によっては眩しく感じることもあるので、効率だけで器具を決めるのは問題です。
5.部屋に必要な機能を選ぶ
器具は安価なタイプとハイグレードがあります。安価なタイプの多くは調光(段調光)のみか、調色ができたとしても昼白色と電球色の切り替えだけです。
後者の多くは連続で調光調色が可能なため、好きな明るさと光色が選べます。例えば居間で日中、本や新聞など細かい字を読む生活では色温度の高い方が、文字がはっきり見えて目の負担が少なくなります。また、就寝前に色温度を低くして照度を下げることで快適な睡眠を可能にするため、きめ細かな調光調色機能が欠かせません。
最近のシーリングライトは調光調色以外にタイマーや自動点滅の機能などが付いており、生活場面に応じてより使い勝手が良くなっています。
しかし器具一灯で全ての生活行為を満足させることはできないため、生活場面によってはスタンド器具など局部照明との併用が望まれます。
爪飾り付きシーリングライトとスタンド器具の併用 (CG)
『快適空間へ導くLED照明実践講座』の目次
第1章 ベースライトの選び方
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1-1シーリングライト(大型)の選び方と取り付け大型のシーリングライト器具は一灯で基準の明るさが得られ、給電口があれば電気工事の資格なしで器具の取り付け可能なことから、日本では住宅照明用として普及しています。
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1-2シーリングライト(小型)の選び方シーリングライトとは天井直付け器具のことを言います。
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1-3ダウンライト器具の選び方と配灯LEDダウンライトはLED電球用とLEDモジュール一体型があります。
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1-4壁付け器具の形状と取り付け壁付け器具は以前「照明のことが分かる講座」で紹介しましたが、今回は壁直付け(以下、ブラケットライト)の用途と取り付けにについて紹介します。
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1-5直管LEDベースライトの種類と使い方全般照明とは室内の主要部を一様な明るさにする照明で、それは集光する器具より光の拡散するベースライトによって実現されます。
第2章 スポットライトの選び方
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2-1卓上ライトの形状と照明効果卓上ライトを安定して取り付けるためにはおもに4つの方法があります。
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2-2フロアスタンドライト(意匠照明用スタンド器具)の選び方シーリングライトのLED化が一段落すると、LEDのスタンド器具を購入する人が日本でも増えています。
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2-3シャンデリアの形状と取り付け吊り下げ型器具には一灯用と多灯用があります。一般的には前者をペンダントライト、後者をシャンデリアと言われています。
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2-4スポットライトの配光と照射位置LEDスポットライトは従来光源である白熱電球用スポットライトに比べ様々な利点があり、性能が向上しています。
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2-5ライティングレールの種類2本の電線を配管の中に入れて通電させる装置をライティングレール (ライティングバー、ライティングダクト、配線ダクトなどと呼ばれる。以下、配線ダクト)と言います。
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2-6ライン型LEDモジュールの種類と用途LEDモジュール(module)とはLEDパッケージを基板に取り付け、点灯可能にした最小構成の商品です。
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2-7コーブ照明の効果とランプ位置コーブ照明は天井面を照らす建築化照明です。天井の隅や壁の高い位置にくぼみ(アゴや庇などとも言う)、を設け、その内部に連続した光源を隠して天井面を照明します。
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2-8コーニス照明の効果とランプ位置何故、壁面全体を明るくするのでしょうか?壁面は通常の生活視点で最も目に入りやすいため、その面をどう照らすかによって空間全体の雰囲気や印象に大きな影響を与えるからです。
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2-9ガーデンライト(庭園灯)の選び方と配置庭園とは草花や樹木、石、池などを計画的に配し、整えられた空間を言います。
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2-10投光器と演出効果LED投光器はLEDの光を柱状に集めて、特定の方向や場を効率よく照らす屋外用照明器具のことです。
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2-11キッチンライト(流し元灯)の種類と照明効果LEDの特長の一つに器具の小型化があります。小型である故、今まで器具の設置が難しかった小スペースや狭スペースに取り付けを可能にしています。