工具の通販モノタロウ 照明器具 照明のことが分かる講座 全般照明と局部照明方式

照明のことが分かる講座

照明とは人々の生活に役立つ光の仕事のことを言います。 照明の主光源がLEDに変わりつつあるなか、照明を知ることで生活はより豊かに変わります。 そこで本連載では照明の基礎知識から光源や照明器具の種類、照明方式、照明がもたらす心理・ 生理効果を分かりやすくご紹介していきます。
第4章 照明のことが分かる講座

4-1 全般照明と局部照明方式

全般照明と局部照明は照明方式の一部で、どちらの方式をとるかで空間の雰囲気は大きく変わります。特に全般照明と局部照明は全く正反対の照明効果をもたらすため、極端な効果を避ける意味で全般・局部併用とか局部的全般照明などの方式がとられることも多いです。

明るく安心感のあるイメージの全般照明方式

全般照明は自然界で例えると青空光や曇天光のように地表が満遍なく照らされているイメージです。人工照明では配光角度の広い天井灯を等間隔に配灯することで実現できます。

図1 全般照明のイメージ   

図1 全般照明のイメージ   



全般照明は部屋の主要部(コーナーを除く)であれば比較的均等な明るさが作業面や床面で得られるため、多くの人たちが同時に生産活動を行う事務室や工場などの照明に適しています。このような全般照明におけるおもな作業面エリアの照度均斉度(最小照度/平均照度)は0.7未満としてはならないことがJISの照明基準総則で求められています。

また作業空間における全般照明はできるだけ不快なグレアや視覚低下グレアが生じないようグレアレス配光を持った器具(ダウンライトや直管LED、またはLEDモジュール一体型の天井埋め込み器具など)を選ぶことが奨められます。

照度均斉度の高いオフィスはどこでも同じような明るさが得られていることから照明のことをあまり気にしないで机や棚の配置換えが比較的容易にできるメリットがあります。

また玄関ロビーのように人の出入りの多い空間では歩行を妨げる段差や置物の発見のため暗がりのない明るさが求められます。特に視力の弱まっている高齢者やロービジョン者のためにもグレアレスで明るい全般照明は欠かせません。

明るい全般照明は空間に安心感を与えます。しかし一方で長時間在室していると退屈するような雰囲気になってしまう恐れもあるので、インテリアに美しさ与えるなどの工夫が必要です。

ドラマチックな印象をもたらす局部照明

局部照明は特定の狭い範囲を明るく強調する照明です。(図2)

図2 局部照明のイメージ  

図2 局部照明のイメージ  



局部照明によって対象が明るく引き立つことでアイキャッチ効果やハイライト効果を高めることができます。局部照明に使われる器具の多くは狭い配光を持ったスポットライトやダウンライト器具をイメージしますが、例えばダイニングルームで食卓面をドラマチックに浮かび上がらせるペンダント器具やソファーの一部を明るく照らすフロアスタンドでも局部照明になります。

局部照明が多用されている空間に美術館や博物館があります。ここでは空間全般を暗くして、絵画や彫像などの展示作品を明るくすることで人々の目が作品に集中できるようにします。展示作品はおもに指向性の高いスポットライト器具を適切な角度から照明して作品の色艶や形を強調します。空間は明暗コントラストを高めるほど空間にドラマチックな印象を与えます。

しかし対比が強すぎると目に過度のストレスを与える恐れがあります。明暗のメリハリは目がどちらの明るさに順応してよいか迷うため、特に長時間滞在する空間では目が疲れやすくなります。そのような問題が生じそうな空間では局部照明の明るさの1/3~1/10程度の明るさが得られる全般照明との併用が勧められます。

温かな光によるスポットライトは演出次第でリラックスやプライベートの雰囲気効果が期待できます。表1は全般照明と局部照明で照明の状態による主観的な印象になります。

表1 照明状態と主観的印象

表1 照明状態と主観的印象


写真1のイメージ

写真1のイメージ



写真2のイメージ 

写真2のイメージ 



写真3のイメージ  

写真3のイメージ  



執筆: 執筆: 中島龍興照明デザイン研究所 中島龍興

『照明のことが分かる講座』の目次

第1章 照明の基礎知識

第2章 光源の種類と特徴

第3章 LED照明器具の選び方

第4章 照明方式

第5章 照明の視覚心理・生理

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