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照明のことが分かる講座

照明とは人々の生活に役立つ光の仕事のことを言います。 照明の主光源がLEDに変わりつつあるなか、照明を知ることで生活はより豊かに変わります。 そこで本連載では照明の基礎知識から光源や照明器具の種類、照明方式、照明がもたらす心理・ 生理効果を分かりやすくご紹介していきます。
第3章 照明のことが分かる講座

3-14 省エネルギー照明と器具の選定

エネルギー消費効率の高いLEDランプ

LED照明が省エネになり電気代の節約になることは、今では周知のことと思います。そのため住宅や店舗、オフィスなどの施設も従来光源からLEDに買い替える傾向が顕著になっています。例えば一般照明用LED電球は同じ光束(光量)であれば白熱電球や電球形蛍光ランプに比べ少ない消費電力ですみます。

表1は代表的な3種類のランプ100Wもしくは100形のエネルギー消費効率(ランプの全光束÷ランプの消費電力)を比較したものです。(2017年) 明るさの感じは3種類とも同じですが、年間の電気代では差が生じ、演色性など光の質や初期費用の点を別に考えればLED電球がやはり優位にあることが分かります。

主なランプのエネルギー消費効率と電力費

※ Lm/Wはエネルギー消費効率、hはランプ寿命、円は年間の電気代概算



エネルギー消費効率よりも固有エネルギー消費効率を

エネルギー消費効率の高いLED電球でも、照明器具に入れて使うと器具内で光が吸収され、器具から放射される光束は減少します。このように器具から放射される全光束をランプの消費電力で除した値を固有エネルギー消費効率と言います。従って幾らランプのエネルギー消費効率が高くても固有エネルギー消費効率が低かったらあまり意味がなく、同じランプでも使用器具(デザイン)によって固有エネルギー消費効率は変わります。一般にランプが露出に近い器具ほど固有エネルギー消費効率が高いですが、照明の質が問われます。

LED器具には上述のようにLEDランプもしくはモジュールの交換ができるものとLEDモジュール一体型器具(以下一体型)があります。

例えば2000lmの光束を放射している20W一体型器具の固有エネルギー消費効率は「2000lm÷20W」で100lm/Wになります。今日では明るさを優先する器具の中に100lm/Wを超えるものも少なくなく、またペンダントなど装飾用でも高い固有エネルギー消費効率を持った器具があります。(写真1)

写真1 一体型器具の固有エネルギー消費効率例

LEDシーリングライト 固有エネルギー消費効率90,7lm/W
LEDシーリングライト 固有エネルギー消費効率90,7lm/W

LEDペンダント 固有エネルギー消費効率66,3lm/W
LEDペンダント 固有エネルギー消費効率66,3lm/W

参考にグリーン購入法(国や地方公共団体などが再生資源やエネルギー負荷の少ないものなどを積極的に購入していくことを目的にした法律)では2006年の改正でLED器具も対象になっており、その判断基準として固有エネルギー消費効率は40lm/W以上であることが挙げられています。

なお一体型器具は多くの場合、固有エネルギー消費効率がカタログなどに明記されていますが、ランプ交換型器具は固有エネルギー消費効率ではなくLEDランプやモジュールのエネルギー消費効率の掲載が多いので誤解ないようにしなければなりません。

正しい省エネ照明とは

私たちは空間の明るさを照度でイメージします。照度は器具の固有エネルギー消費効率の高いほど少ない電力で得られやすいですが、それだけで決まるわけではありません。そこで例えば平均照度について、少ない電力でより高い照度を得るための要件を整理すると、固有エネルギー消費効率の高い器具を選ぶこと以外に、以下のことを考慮する必要があります。

1、照明率といって器具から放射される光束に対して床面、もしくは作業面レベルに到達する光束(直接到達する光束と天井や壁面などの反射で得られる光束の合算)の割合の高い直接照明形器具を選ぶ。

2、照明率を高めるため天井や壁などの反射率を高める。

3、天井高さに対して間口や奥行きのある部屋で使用する。

4、発光部が汚れにくい器具を埃の少ない部屋で使用する。

以上の要件に基づいた照明はより少ない電力で照度を得ることができます。しかしそのような照明が場にあった雰囲気(楽しさ、美しさ、活気、くつろぎ等)まで創り出しているかは別問題です。効率だけに固執した照明ではなく、雰囲気を考慮した正しい意味での省エネ照明になることを私たちは忘れてはなりません。JISの照明基準総則においても,「諸活動又はその場の雰囲気に対する欲求をより少ない資源とエネルギーで実現することを目指さなければならない」とあります。

執筆: 中島龍興照明デザイン研究所 中島龍興

『照明のことが分かる講座』の目次

第1章 照明の基礎知識

第2章 光源の種類と特徴

第3章 LED照明器具の選び方

第4章 照明方式

第5章 照明の視覚心理・生理

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