遠心ポンプの実践講座

本連載では、基礎講座に続き遠心ポンプにスポットをあて、ポンプを構成する部品の役割からポンプの点検の仕方、トラブルとその対策まで、 より実践的な知識をご紹介していきます。遠心ポンプの基礎講座はこちら>>
第5章 ポンプの保守点検と省エネルギー

5-2 ポンプの修理、改造および取替え

5-2-1.ポンプの修理と改造

安価な汎用ポンプでない限り、ポンプは何度も修理して使用し続けます。修理する場合に重要なことは、部品を単に新品に交換するのではなく、材料を変更して修理間隔を延ばす工夫をしたり、改造を検討したりすることです。修理する間隔を延ばすことができれば、結果的に労力及び費用を縮減できる可能性があります。

改造に当たってはポンプメーカとともに検討することになるのですが、例えば、「3年間連続して運転できるようにするために改造する」というように、目標を具体的にして検討することも1つの方法です。

5-2-2.ポンプの取替え

数十年前に設置したポンプをまだ使っていることもあるかもしれません。昔のポンプは頑丈に設計し製造されているので、寿命は長いのです。現在は、価格や効率を重視しているので、低価格のポンプは不具合があると、ポンプそのものを新品に取り替える方が安く済むことがあります。

数十年も前から使っているポンプは、修理をすると逆に修理費が高くなるので、新しいポンプに取り替える必要があります。この場合、購入から始まって廃棄するまでのライフサイクルコストを見積もって、新規に購入するポンプを検討していただきたいと思います。 ライフサイクルコストのうち、特にポンプの効率と保守管理はコストの比率が高いので重要です。参考として、図5-2-1にAPI 610を適用したポンプのライフサイクルコストを示します。

図5-2-1 ライフサイクルコスト

3.予備品

ポンプの据付け工事中に、ポンプの外側に露出している油面計や空気抜きなどの部品を破損することがあります。また、据付けが完了して試運転を行っている場合に、ポンプに何らかの異常があれば、分解して調査する必要があります。そのようなときに、あらかじめ対応できるように、予備品を保有しておくと安心です。

これらの予備品として必要になる部品を、参考として表5-2-1に示します。これに加え、試運転終了後、正規の運転に入ってから2年間運転するための推奨する予備品を追加しています。 同表は単位が%ですが、「100」はポンプ1台に使用している部品の相当数を示します。例えば、メカニカルシール「200」とあるのは、ポンプ1台でメカニカルシールが1個付いている場合、2年間の予備品数は2個必要になると理解してください。

表1 予備品リスト

部品名 据付け、試運転用 (%) 2年間用 (%)
主軸 0 100
羽根車 0 100
ライナリング 0 100
インペラリング 0 100
軸受 100 100
メカニカルシール 100 200
グランドパッキン 100 400
ガスケット 100 200
Oリング 100 200
油面計 100 100
空気抜き 100 100
執筆:外山技術士事務所 所長 外山幸雄

『遠心ポンプの実践講座』の目次

第1章 ポンプの仕様

第2章 ポンプの構成部品と役割

第3章 ポンプの据付けと試運転

第4章 ポンプの運転

第5章 ポンプの保守点検と省エネルギー

第6章 ポンプのトラブルと対策

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