遠心ポンプの実践講座

本連載では、基礎講座に続き遠心ポンプにスポットをあて、ポンプを構成する部品の役割からポンプの点検の仕方、トラブルとその対策まで、 より実践的な知識をご紹介していきます。遠心ポンプの基礎講座はこちら>>
第4章 ポンプの運転

4-6 ポンプ吸込側のレジューサ

ポンプや配管内に空気が外部から侵入しない対策、及び液そのものに空気が混入している場合の対策は必要なのですが、これらに加え、吸込配管内の上部に空気が溜まらない対策をすれば、ポンプの空気対策は万全です。

ポンプの吸込側の液面が、ポンプの軸中心より低い「吸上げ」で、吸込配管がポンプの吸込口と同じサイズの鋼管のときは、図4-6-1に示すように、ポンプの吸込口に向かって上り勾配にして、液に空気が混入していたとしても、瞬時のうちにポンプへ入って吐き出されるようにします。 この上り勾配は図4-6-2に示すように、一般にはフランジ内径と鋼管外径のすき間を利用して、傾けて溶接することによって形成されます。

図4-6-1 吸上げのときの吸込配管

図4-6-1 吸上げのときの吸込配管

図4-6-2 鋼管の溶接

図4-6-2 鋼管の溶接

ところが、できるだけ圧力損失を小さくしてNPSHAを大きくしたいなどの理由によって、ポンプの吸込口の手前にレジューサを入れることがあります。レジューサには、同心と偏心のものがあります。 例えば、同心のレジューサを使って、図4-6-3に示すように配管したとすると、空気は液体より軽いので、配管の上部に空気溜りができる恐れがあります。レジューサを入れる場合には、図4-6-4に示すように、必ず偏心のものを使います。また、配管はポンプの吸込口に向かって上り勾配にします。

図4-6-3 同心のレジューサ

図4-6-3 同心のレジューサ

図4-6-4 偏心のレジューサ

図4-6-4 偏心のレジューサ

それでは、ポンプの吸込側の液面がポンプの軸中心より高い「押込み」の場合はどうでしょうか。「吸上げ」のときのようなことは不要です。しかし、配管途中で図4-6-5に示すような盛り上がりがあると、空気溜りができる恐れがあります。そのため、このような配管は避ける必要があります。

また、ポンプの吸込側に、振動低減のためにフレキシブルチューブを入れる場合、高温液などを扱うときの熱膨張を回避するためにU字管を入れる場合も、同様に空気溜りができないように設置します。

図4-6-5 押込みのときの吸込配管

図4-6-5 押込みのときの吸込配管

執筆:外山技術士事務所 所長 外山幸雄

『遠心ポンプの実践講座』の目次

第1章 ポンプの仕様

第2章 ポンプの構成部品と役割

第3章 ポンプの据付けと試運転

第4章 ポンプの運転

第5章 ポンプの保守点検と省エネルギー

第6章 ポンプのトラブルと対策

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