工具の通販モノタロウ ポンプ・送風機・電熱機器 遠心ポンプの実践講座 ポンプのラジアル軸受とアキシャル軸受

遠心ポンプの実践講座

本連載では、基礎講座に続き遠心ポンプにスポットをあて、ポンプを構成する部品の役割からポンプの点検の仕方、トラブルとその対策まで、 より実践的な知識をご紹介していきます。遠心ポンプの基礎講座はこちら>>
第2章 ポンプの構成部品と役割

2-11 ポンプのラジアル軸受とアキシャル軸受

軸受はポンプが発生する荷重を支えるために必要になり、主軸及び軸受ハウジングに取り付けられます。ラジアルは主軸方向に対して直角、アキシャルは主軸方向のことをいいます。 軸受が実際に荷重を支えられるかどうかの検討は、転がり軸受の場合では軸受寿命を計算して、軸受寿命が一般には25,000時間以上であれば問題はないとします。すべり軸受の場合は、軸受荷重、諸寸法、潤滑油の性状などから油膜が適正に形成されることを確認します。

軸受の寿命計算において、ポンプが発生する荷重をラジアルとアキシャルに分ける必要があるために、2方向に分けています。主に使用されている軸受と荷重の支持方向を表2-11-1に示します。

表2-11-1 軸受の種類と荷重支持方向

形式 種類 ラジアル荷重 アキシャル荷重
転がり軸受 深溝玉軸受
円筒ころ軸受 ×
組合せアンギュラ玉軸受-背面合せ
すべり軸受 スリーブ ×

深溝玉軸受は、図2-11-1に示すように、外輪が軸方向に両側から押さえられていればラジアル荷重に加え、アキシャル荷重も支持できます。しかし、図2-11-2に示すように、外輪の軸方向にすき間があって外輪が軸方向に自由に動くことができるようにしている場合は、ラジアル荷重だけ支持できます。

図2-11-1 深溝玉軸受

図2-11-1 深溝玉軸受

図2-11-2 深溝玉軸受-ラジアル

図2-11-2 深溝玉軸受-ラジアル

円筒ころ軸受は、図2-11-3に示すように、外輪が軸方向に両側から押さえられているのですが、内輪と円筒ころが相互に軸方向に動くことができるので、アキシャル荷重は支持できず、支持できるのはラジアル荷重だけになります。

図2-11-3 円筒ころ軸受

図2-11-3 円筒ころ軸受

組合せアンギュラ玉軸受は、2つの単列アンギャラ軸受を組み合わせた軸受で、組合せ方法によって、背面組合せ、正面組合せ及び並列組合せに分かれます。図2-11-4に示す軸受は、背面組合せの組合せアンギュラ玉軸受です。内輪は主軸に固定され、外輪は軸方向に動かないように取り付けます。 したがって、ラジアル荷重に加え、アキシャル荷重も支持できます。

図2-11-4 組合せアンギュラ玉軸受-背面組合せ

図2-11-4 組合せアンギュラ玉軸受-背面組合せ

転がり軸受の寿命は、軸受メーカが出しているカタログから計算します。同じ軸受であれば寿命は同じになるのですが、発熱量は軸受の潤滑方式によって変わります。また、許容回転速度も潤滑方式によって変わります。転がり軸受には、玉やころの位置を均等に保持するために保持器が付いています。 保持器にはプレス製のものと機械加工したものの2つがあります。プレス製の保持器よりも機械加工した保持器のほうが、温度上昇を低く抑えることができます。

図2-11-5にすべり軸受を示します。ホワイトメタルなどの材料で製作するすべり軸受は、鋳鉄などの丈夫な台金で支えられています。すべり軸受と主軸は相互に軸方向に動くことができるので、アキシャル荷重は支持できず、支持できるのはラジアル荷重だけになります。主軸のすべり軸受部表面には通常、硬質クロムメッキが施工されています。

図2-11-5 すべり軸受

図2-11-5 すべり軸受

執筆:外山技術士事務所 所長 外山幸雄

『遠心ポンプの実践講座』の目次

第1章 ポンプの仕様

第2章 ポンプの構成部品と役割

第3章 ポンプの据付けと試運転

第4章 ポンプの運転

第5章 ポンプの保守点検と省エネルギー

第6章 ポンプのトラブルと対策

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