マシニングセンタの基礎講座

モノタロウの本連載では、マシニングセンタの種類や仕組み、使い方について、実践的で役立つ知識をご紹介していきます。
第3章 マシニングセンタを動かすソフトウエア

3-4 NCプログラムの構成

図にNCプログラムの例を示します。NCプログラムの先頭と最後には「%」を入力します。先頭の「%」は「プログラムの始まり」、最後の「%」は「プログラムの終わり」を意味します。すなわち、先頭の「%」から最後の「%」までが1つのプログラムということになります。

次に、「O」に続く4桁の数値を入力します。この数値はプログラムの名前を意味し、「プログラム番号」といいます。ワードやエクセルでいうファイル名と同じです。

プログラム番号の後は一行ずつプログラムを入力しますが、各プログラムの先頭にはNに続く5桁以内の数値を入力します。これはプログラムの行数を管理するもので、編集したいときなど何番目の指令かを把握しやすいように付けるもので「シーケンス番号」と言います。

「シーケンス番号」に続いて具体的な指令を入力します。たとえば、「S2000M03」と入力すると主軸が2000min-1で回転します。また、「G90G00X50.Y50.Z-10.」と入力すると各軸が指令した座標値に早送りで移動します。G90はアブソリュート指令、G00は早送り指令です。なお、X軸、Y軸、Z軸の座標値は通常「μm」単位として認識されます。つまり、小数点を付けずに座標値を入力すると、基準単位が0.001mmと認識されるため、たとえば「X50」と入力した場合には、X軸0.05mmの位置に移動することになります。座標値には小数点を付けることを忘れてはいけません。

各行のプログラムの最後には「;」を入力します。「;」は「1行のプログラムが終わり」という意味を持ち「エンド・オブ・ブロック」と呼ばれます。1行のプログラムを「ブロック」と呼ぶため「エンド・オブ・ブロック」という名称になります。

NCプログラムは特別な指令がない限り上から下に向かって1行(1ブロック)ずつNC装置によって処理されます。しかし、NC装置には3から5ブロック先を先読みする機能が付いているため異常アラームが鳴った場合にはアラームが表示されたブロックから3から5つ先のブロックまで確認する必要があります。

NCプログラムはアルファベットと特殊文字、数値の羅列ですので、NCプログラムを作成する場合にはパソコンの基本機能である「メモ帳」で作成することができますが、現在ではNCプログラムをいちから作成することはせず、従来作成されたプログラムを編集することが多いです。

NCプログラムの一例

プログラムスタート

00001

プログラム番号 1

N1 T01M06

工具1番を呼び出し、交換する

N2 G54 G90 G00 X0.Y0. ;

ワーク座標系 X軸0.Y軸0.に早送りで移動する

N3 S1000 M03 ;

1000min-1で主軸を回転する

N4 M08 ;

切削油剤を吐出する

N5 G43 Z100.0 H01 ;

早送りZ軸100.0まで移動する。その際、工具長補正01を考慮する

N6 G01 Z5. F100. ;

切削送り100m/minでZ軸5.0まで移動する

N7 Z-10.0 ;

切削送り100m/minでZ軸-10.0まで移動する(切込む)

N8 G42 X100. Y100. D01 ;

切削送り100m/minでX軸100.0 Y軸100.0まで移動する(切削する)
その際、工具径補正01を考慮する (切削工具を進行方向右側へオフセットする)

 

執筆: 芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科 澤 武一 教授

『マシニングセンタの基礎講座』の目次

第1章 マシニングセンタの基礎知識

第2章 マシニングセンタの装備

第3章 マシニングセンタを動かすソフトウエア

第4章 マシニングセンタの要素技術

第5章 マシニングセンタの特性と関連知識

第6章 マシニングセンタを使用する際の基礎知識

目次をもっと見る

『切削工具』に関連するカテゴリ

『ツーリング』に関連するカテゴリ