機械要素の基礎講座

多くの産業を支える機械の基礎として重要な「機械要素」。 歯車やベルト・チェーン、ばねなど多岐にわたります。本連載では、 それらの機械要素について、知っておくべき基本的な事項をご紹介していきます。
第2章 

2-4 チェーンの種類

代表的な伝動用チェーンにローラチェーンがあり、チェーンを巻き掛ける円弧形の歯溝をもった円板状の部品であるスプロケットとともに用いられます。 ベルト伝動に用いられるベルトの材質は主にゴム製でしたが、チェーンの材質は鋼材であるため、ベルトよりも大きな動力を伝達できます。耐久性などにも優れますが、金属製の部品が接触するため、ベルトより騒音が大きくなります。また、金属部品が接触して回転するため、潤滑油が必要になります。

ローラチェーンは自転車で多く用いられている形状のチェーンです。その構造は内リンクと外リンクから構成されます。内リンクは2枚の内プレートと2個のブシュを圧入、外リンクは2枚の外プレートと2個のピンを圧入して結合したものです。 ここでローラはブシュにはまり自由に回転することができ、内リンクは外リンクのピンを軸に自由に回転するすることができます。 スプロケットの歯の溝とかみ合うのがこのローラです。プレートとピンはチェーンに荷重がかかったときに、これを受け止めるはたらきがあります。一つのリンクには二つのローラがあり、ローラ間の長さをピッチといいます。また、一つのリンクをコマともいい、ローラチェーンは2コマ単位で長さの調整を行います。

  • 割りピン形
  • クリップ型

ゴム製のベルトは長さを選定したら環状で販売されているため、後から長さの変更ができませんでしたが、ローラチェーンは複数のリンクを組み合わせて一定の長さで販売されており、割りピンや継手プレートなどを用いて、適当な長さで接続して使用することができます。 ローラチェーンは一列が基本形であり、より大きな動力を伝達したい場合には、これを2列や3列に並べた多列ローラチェーンとして用いられます。

  • ローラチェーン
  • 多列ローラチェーン

リーフチェーンは何枚かのリンクを交互に重ね合わせてピンで連結したチェーンです。その構造は多列チェーンとは異なり、全体が結合しています。ローラチェーンより強度が大きく、フォークリフトなど低速度での吊り下げ用のチェーンとして用いられます。 サイレントチェーンはチェーンを構成するリンクの形状を密着してかみ合うように工夫したものです。チェーンが密着して伝動するため、ローラチェーンより騒音をおさえることができるため、ゴム製の歯付きベルトの代替として、自動車やオートバイの伝動部品として多く使用されています。

リーフチェーン

執筆:神奈川工科大学 門田和雄 教授

『機械要素の基礎講座』の目次

第1章 歯車

第2章 ベルトとチェーン

第3章 ばね

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