機械要素の基礎講座

多くの産業を支える機械の基礎として重要な「機械要素」。 歯車やベルト・チェーン、ばねなど多岐にわたります。本連載では、 それらの機械要素について、知っておくべき基本的な事項をご紹介していきます。
第1章 歯車

1-1 歯車のはたらき

歯車は機械の運動に関係する代表的な機械要素です。何か動くものを作ろうとするときには、必ずと言ってよいほど歯車が使用されます。歯車の運動はぐるぐると回る回転運動であり、 さまざまな大きさや形状、材質のものがあります。そして、この歯車は子どものおもちゃから高性能の工業製品などまで、実に幅広い分野で活躍しているのです。

ここであらためて「歯車とは何か?」というと、円筒や円錐などの周縁に歯を刻んだものであり、歯と歯を対にしてかみ合わせることにより、回転運動を確実に伝えることができる機械要素のことです。 日本工業規格(JIS)では、「歯を順次かみ合わせることによって運動を他に伝え、又は他から受け取るように設計された歯を設けた部品」と定義されています。

歯車で伝えているのはいったい何かというと回転速度や回転力です。同じ大きさの歯車を2枚かみ合わせるだけならば、歯車は回転方向が逆になるだけですが、歯車の大きさを変えることで、回転速度や回転力を変換することができるようになります。 歯車が私たちの生活に身近であることは、「組織の歯車がかみ合わない」とか「人生の歯車が狂う」などという言い方を日常表現でも使うことからもわかります。 なお、英語では歯車のことをgearといい、ギヤやギアなどとカタカナで表記することも多いです。また、歯車は工業を表すシンボルとして、五円玉の穴のまわりにもデザインされているほどです。

図1

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ところで、上手くかみ合う歯車を作るためには、幾何学的な側面や加工技術の側面などからさまざまな変遷がありますが、その起源となるのは車輪の表面の摩擦を利用して回転運動を伝える摩擦車でした。 ただし、摩擦力だけでは大きな力を伝えようとしたときに滑りが避けられなくなり、そこから回転を確実に伝えるために歯車の歯形の研究が進められたのです。

機械要素とは機械を構成する代表的な部品のことであり、具体的にはここで述べた歯車を代表として、ベルトやチェーン、軸、軸受、軸継手、ばね、そしてねじなどがあります。これらの機械要素は古くから、機械を設計しようとする人々が多く使ってきたものです。 そのため、機械要素は多くのものが共通部品として規格化されるようになり、何かの機械を作ろうとしたときには、特殊なものでなければ歯車やねじから作る必要はなく、規格化されたものを適切に選定できる能力が求められるのです。

歯車で伝えているのはいったい何かというと回転速度や回転力です。同じ大きさの歯車を2枚かみ合わせるだけならば、歯車は回転方向が逆になるだけですが、歯車の大きさを変えることで、回転速度や回転力を変換することができるようになります。 歯車が私たちの生活に身近であることは、「組織の歯車がかみ合わない」とか「人生の歯車が狂う」などという言い方を日常表現でも使うことからもわかります。 なお、英語では歯車のことをgearといい、ギヤやギアなどとカタカナで表記することも多いです。また、歯車は工業を表すシンボルとして、五円玉の穴のまわりにもデザインされているほどです。

【なお、同じく代表的な機械要素である「ねじ」については、本サイト「ねじの基礎講座」を参照してください】

図2

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執筆:神奈川工科大学 門田和雄 教授

『機械要素の基礎講座』の目次

第1章 歯車

第2章 ベルトとチェーン

第3章 ばね

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