電気のおはなし
4-2 日本工業規格(JIS)とは
今回は、電気回路に関係している電気設備、電気用品、電気部品、電気材料や機械部品などの標準化を定めている日本工業規格(JIS:Japan Industrial Standards)(以下JIS)について調べていきましょう。
多くの工業製品の品質や安全性を確保したり、製造される製品や部品、材料等に互換性を持たせたりするために標準化を図ることが必要となります。 そこで、工業標準化法を国が昭和24年に制定され、この法律に基づいて日本工業標準調査会(JISC)が設けられました。日本工業標準調査会(JISC)に設けられた分野別専門委員会で分野、製品別に形状、寸法、構造、性能、試験等について検討、審議し、作成されてきたのがJISです。
分野別専門委員会では従来からある規格の改正や廃止、国際規格と整合をとるための改正、新しい製品規格の提案の受け付けや原案作成と審議等がおこなわれています。現在のJISは19の分野に分けられており、規格の件数は一万件を越えています。
表1に2012年と2016年の19の分野別規格件数と電気回路に関係の深い認証機関、一般財団法人 日本品質保証機構(JQA)、一般財団法人 安全環境研究所(JET)、一般社団法人 電線総合技術センター(JECTEC)の認証対応となる製品規格数をしめします。認証対応している規格名など詳細については各認証機関のサイトでご確認ください。
JISの規格数と認証機関別規格数例
規格数 | 認証対応規格数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
分野 | 2012 | 2016 | JQA | JET | JECTEC | |
A | 土木及び建築 | 571 | 583 | 102 | ||
B | 一般機械 | 1651 | 1697 | 131 | 7 | |
C | 電子機器及び電気機械 | 1601 | 1707 | 83 | 93 | 22 |
D | 自動車 | 372 | 371 | 7 | ||
E | 鉄道 | 148 | 153 | 10 | ||
F | 船舶 | 395 | 393 | |||
G | 鉄鋼 | 440 | 452 | 121 | 3 | |
H | 非鉄金属 | 410 | 414 | 45 | ||
K | 化学 | 1740 | 1761 | 498 | 20 | |
L | 繊維 | 218 | 228 | |||
M | 鉱山 | 162 | 169 | 1 | ||
P | パルプ及び紙 | 77 | 77 | 3 | ||
Q | 管理システム | 80 | 91 | |||
R | 窯業 | 371 | 378 | 41 | ||
S | 日用品 | 190 | 192 | 30 | ||
T | 医療安全用品 | 525 | 548 | 24 | 5 | |
W | 航空 | 97 | 8 | |||
X | 情報処理 | 515 | 456 | |||
Z | その他 | 836 | 864 | 43 | ||
合計 | 10399 | 10542 |
工業標準化法が平成16年6月9日に改正されたのを受けて新しいJISマーク表示制度の運用が平成17年10月1日より開始されています。
新しいJISマーク表示制度の主な改正点は、次の3点です。
- 国が指定する6つの法人から工場ごとに認定を受けなければならなかったが、主務大臣の登録を受けた民間第三者認証機関(登録認証機関)がメーカーや販売業者・輸入業者の申請を受けて認証を行うことができるようになった。
- 認証機関の登録基準は、主務大臣が省令で定める基準からISO/IECガイド65の国際基準となった。
- JISマークの表示は、国が指定する鉱工業品等に限定されていたが、JIS製品規格で定めているすべての鉱工業品等であって認証を受けた製品なら新しいJISマークを表示することができるようになった。

JISマークの表示例
図1に現行のJISマークと旧JISマークを示します。現行の各JISマークの寸法等は、次のURLのpdfをご覧ください。
基本形JISマークの寸法 | 加工技術JISマークの寸法 | 特定側面JISマークの寸法 |
出典:「JISマーク」日本工業標準調査会ウェブサイト (https://www.jisc.go.jp/newjis/newjismknews.html)

図1 現行JISマークと旧JISマーク
鉛筆などJISマークを表示していない製品が最近増えています。日本鉛筆工業協同組合では技術的に成熟したJISを守っている産業なので「JISマークを表示しない」との約束を組合で交わし、平成10年4月からJISマークを表示していません。
一方、電気工事、建築工事等の資材、材料等では認証を受けてJISマークを表示した製品が増えています。認証の詳しい動向は日本工業標準調査会より毎年発行されている「基本認証政策の歩み」をご覧ください。
「基本認証政策の歩み2016」(経済産業省ウェブサイト)
『電気のおはなし』の目次
第1章 電気回路
-
1-1回路とは漢字が示す通り、回って戻って来る路が回路です。回路を循環しているものが電気なら電気回路、電子なら電子回路になります。
-
1-2回路の種類電気回路には大電流、大電力の発電系、送電系からの大工場、大型ショッピングモールなどの受電系、一般家庭の受電系、パソコン、スマホなどのプリント基板のパターンを流れる小電流回路、ICやLSI内部の微小電流まで扱う電流の大小により多くの種類があります。
-
1-3交流回路とは交流波形をした電圧や電流が電源から負荷に流れているのが交流回路です。
-
1-4直流回路とは直流電源を使用している回路や部品、機器、設備の内部には直流回路が形成されています。直流電源には直流発電機、電池、交流から直流に変換する電源アダプターなど多くの種類があります。
-
1-5並列回路とは工場の電動機や照明等の負荷への配線、オフィスの複写機、パソコン等の負荷への配線、住宅内のエアコン、家電品等の負荷への配線など電力会社から受電した電気を負荷へ供給している配線回路のほとんどが並列回路を形成しています。
-
1-6直列回路とはスマホ、ノートパソコンなどの携帯電子機器ケースの内部には充電できる二次電池のホルダーが収納されています。 中
-
1-7分岐回路とは退避線のある駅に各駅停車の電車が近づくと本線から分岐された線路を通って目的のプラットホームへと向かい停車します。
-
1-8遮断回路とは地震や火災、風水害が発生した時や保守点検、工事安全確保が必要な場合や目的に達した時に電路と切り離し動作を行う回路に遮断回路があります。
-
1-9プリント配線板とは電子回路や電気回路の配線の一部を印刷して展開した板をプリント配線板とよんでいます。
第2章 電気の測定
-
2-1電気回路測定の心得電気回路の測定に入る前に測定する周囲の電場環境や磁場環境など周囲環境が電気回路や電子回路にどのような影響を与えているのかを調べておきたいと思います。
-
2-2電圧の測定電圧の測定器はメーターの針で測定値を示す指針型のアナログ計器とLEDや液晶の表示器に測定値を数字で示すデジタル計器とにわけられます。
-
2-3電流の測定電圧の測定で紹介した回路計(マルチメータ)の電流測定機能と測定範囲は機種によって異なっています。
-
2-4抵抗の測定抵抗測定というと、Ωレンジへ切り替えて測定するテスタ、マルチメータをイメージしてしまいがちです。
第3章 回路計
-
3-1テスター(回路計)とはテスターは、機種により装備している機能が異なりますが電気回路、電子回路の電圧や電流、電子部品の抵抗、容量などが手軽に測定できる便利な測定器です。
-
3-2アナログテスターの使い方アナログテスターの電圧や電流の測定では測定部位にテストリードのテストピンをあてがいます。テストピンで取り出された電圧や電流は、切り替えつまみ
-
3-3デジタルテスターの使い方デジタルテスターでも電圧や電流の測定ではアナログテスターと同じく測定部位にテストリードのテストピンをあてがいます。テストピンで取り出された電圧や電流は、切り替えつまみで切り替えられたスイッチ回路を通してAD変換器を中心とするLSIと周辺回路へ送られます。
-
3-4自動車用テスターとスキャンツール現在の自動車は電気回路や電子回路やマイコン、センサーにより電子制御されています。今後、自動運転化が進むにつれてこの電子制御化傾向はさらに加速していくものと思われます。
第4章 電気用品
-
4-1電気回路と関係のある法律とマーク電気回路と関係がある国内と海外の安全に関する法律や安全マークに数回にわたって解説していきます。
-
4-2JIS日本工業規格とは今回は、電気回路に関係している電気設備、電気用品、電気部品、電気材料や機械部品などの標準化を定めている日本工業規格(JIS:Japan Industrial Standards)(以下JIS)について調べていきましょう。
-
4-3電波法と技適マークについて電波を公平かつ能率的な利用を確保することによって、公共の福祉を増進することを目的として定められたのが電波法です。多くの政令や省令に詳細が定められています。
-
4-4人工知能(AI)とは準備中
-
4-5CEマーク準備中
-
4-6ULマーク準備中
-
4-7CSAマーク準備中
-
4-8FCCマーク準備中
-
4-9VCCIマーク準備中
第5章 発電
-
5-1発電の種類準備中
-
5-2水力発電準備中
-
5-3風力発電準備中
-
5-4火力発電準備中
-
5-5地熱発電準備中
-
5-6バイオマス発電準備中
-
5-7原子力発電準備中
-
5-8内燃機関発電準備中