寸胴鍋の材質と特長
寸胴鍋はさまざまな材質の鍋が売られており、はじめて選ぶ場合、どの素材が調理に適しているのか迷うこともあります。これから寸胴鍋を購入する方は、それぞれの材質による長所や短所、用途を比較しながら選んでみましょう。
寸胴鍋の材質 - アルミ
長所 | 短所 | 用途 |
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・大きなサイズでも軽いのが特長で、女性でも使いやすい。 ・熱伝導率が良いため、短時間で調理したい場合や大量の食材を煮込むときにも適している。 ・鍋の上面と下面とで温度差があまり変わらず全体に熱が回るので、調理時間やエネルギーの節約になる。 |
・酸やアルカリ・傷や変形に弱い性質を持っているため、高温調理ではなく弱火で煮込む必要がある。 ・食材によっては焦げ付いてしまうことがある。 |
煮物料理、カレー、シチューなど、弱火でじっくりと煮込む料理 |
アルミの寸胴鍋を使用していると、中が黒くなる黒変化現象が起こってしまうことがあります。これはアルミニウムと水が反応を起こし、水酸化アルミをつくって表面に付着することが主な原因です。黒変化が起こると、石鹸で洗ってもなかなか落とすことができないので、次の方法を試してみましょう。
- 輪切りにしたレモンの切り口で、黒変部を丹念にこする。
- 水を入れ、りんごの皮を入れて沸騰する。
- 黒変化を落とした後は、米のとぎ汁を入れて10~15分沸騰する。
※この3つの工程を踏むと、黒変化が起こりにくくなります。
また、アルミニウム酸化皮膜の代わりに、アルマイト皮膜を付けた加工製品もあります。メッキによる表面加工方法のひとつで、アルミニウムに比べて硬いのが特徴です。しかし、電気を通さないというデメリットもあります。
寸胴鍋の材質 - ステンレス
長所 | 短所 | 用途 |
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・丈夫で傷や変形、腐食に強い性質があるため、煮込み料理のように長時間調理する料理に適している。 ・麺を茹でるときに塩を入れても鍋を傷める心配がないため、ラーメンやパスタを扱った飲食店でも利用されていることが多い。 |
・重くて熱伝導が悪く、調理方法によっては焦げ付きができることがある。 | 持ちが良いため、ラーメンやパスタなどの麺を茹でる用途に向いている |
ステンレスは、ニッケルが多く含まれているほど硬く、高価です。一般的にはクロムとニッケルが含有しており、ほかにもアルミニウムやモリブデンを含有したステンレス寸胴鍋もあります。
またステンレス製の寸胴鍋では、3層構造の商品もあり、ステンレスとアルミニウムを重ね合わせることで、高い熱効率を実現しています。アルミニウムをステンレスでサンドイッチにしたような形となり、両方の素材の良い特長を得られるという優れものです。

寸胴鍋の材質 - モリブデン
長所 | 短所 | 用途 |
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・ソースやしょう油でも錆びにくく、腐食にも強い。 ・磁性も強く、IH調理器にも適している。 ・ステンレスより錆びにくく、鍋の穴開きを防ぐことができ、酸や塩分の強いものを入れておいても腐食しない。 |
・アルミやステンレスと比べて価格が高い。 | ・チャーシュー作りやラーメンのたれ・仕込み |
寸胴鍋の材質 - 銅
長所 | 短所 | 用途 |
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・熱伝導率が良く、料理を均一に仕上げることができる。 |
・変色して黒くなりやすい。 | ・弱火で煮込む料理 |
寸胴鍋にはいくつかの種類が存在し、どのような調理方法に使用するかで、素材選びが変わります。長く使用するならモリブデン、価格の低さや手軽さで選ぶならアルミ、腐食に強い素材が良いならステンレスなど、使い分けてみましょう。銅を選ぶという選択肢もありますから、一番使い勝手が良い寸胴鍋を選ぶようにしてみてください。