金属やすりの種類と選び方
金属やすりの種類と特長
鉄やダイカストなど非焼入れ金属の切削や研磨、彫金・金工などに使用される貴金属の研磨や加工などの作業として、主に金属を手作業で仕上げる時に使用します。断面形状としては、平形、半丸形、丸形、角形、三角形の5種類があり、特殊品として楕円形もあります。
木材の粗削りから仕上げまで、目詰りしやすい軟らかい素材、木材や石膏ボードなどの切削や成形ができ、表面と裏面の目立て方が異なります。
表面の鬼目で木材や石膏ボードを研削や加工して、裏面のシャリ目で仕上げます。表面と裏面の目の形状が異なることで、1本のやすりで2つの作業が出来ます。
特殊金属のニッケルなどを用いたメッキ法(ニッケル電着法ともいう)により、人工ダイヤモンドの粒がやすりの表面に結合されているやすりです。結合力が非常に強いことから、やすり面に結合するダイヤモンド粒の突出量を大きくすることができ、表面のダイヤモンド粒の密度が高いことで研削力が強くなります。ガラスやセラミックなど、一般的なやすりでは研削が困難な材質に使用します。
少量のオイルなどを付けると使いやすくなります。包丁などを研ぐダイヤモンドシャープナーは軽く当てるだけで十分に研磨が出来ます。あまり強い力で研削すると剥がれやすいので、力をあまり入れずに使ってください。
金属やすりの目の形状
◎:最適 ○:削られる △:削られるが目詰まりしやすい ×:削られない
- 単目
- <やすりの種類>
- 単目やすり
- <特徴>
- やすり面の刃の配列が平行になっています。金属面の仕上げの際に使用します。硬い材質から出来ている両刃、刈払、製材やすりなどは鋼を削る作業に適しています。
- <適合>
- 鉄系(熱処理前):○
- ステンレスSUS304等:△
- アルミ・真鍮:○
- プラスチック・FRP:○
- 木材・石膏:△
- ゴム・樹脂:△
- 硬鉄(熱処理済):×
- 複目
- <やすりの種類>
- 一般的な鉄工やすり、組やすり、精密やすり等
- <特徴>
- やすり面の刃が交差しています。従来から広く使われています。
- <適合>
- 鉄系(熱処理前):◎
- ステンレスSUS304等:△
- アルミ・真鍮:△
- プラスチック・FRP:△
- 木材・石膏:△
- ゴム・樹脂:△
- 硬鉄(熱処理済):×
- 並目
- <やすりの種類>
- 並目やすり
- <特徴>
- やすり面の刃が洗濯板のように曲線となっています。
- <適合>
- 鉄系(熱処理前):×
- ステンレスSUS304等:×
- アルミ・真鍮:◎
- プラスチック・FRP:○
- 木材・石膏:○
- ゴム・樹脂:○
- 硬鉄(熱処理済):×
- 鬼目
- <やすりの種類>
- 鬼目やすり
- <特徴>
- やすり面が溝ではなく突起がいくつも付いています。木工、鉛工、合板やすりがあり、木材、鉛、塩ビ、石膏などの軟質材の加工作業に適しています。木工用と合板用は表面が鬼目、裏面がシャリ目となっています。
- <適合>
- 鉄系(熱処理前):×
- ステンレスSUS304等:×
- アルミ・真鍮:○
- プラスチック・FRP:○
- 木材・石膏:◎
- ゴム・樹脂:○
- 硬鉄(熱処理済):×
- トリカット
- <やすりの種類>
- ステンレスやすり
- <特徴>
- 斜刃の働きにより、難削材に切り込みが入り、平行刃でなめらかな仕上がりになります。
- <適合>
- 鉄系(熱処理前):○
- ステンレスSUS304等:◎
- アルミ・真鍮:△
- プラスチック・FRP:△
- 木材・石膏:△
- ゴム・樹脂:△
- 硬鉄(熱処理済):×
- DIA
- <やすりの種類>
- ダイヤモンドやすり
- <特徴>
- 表面の密度が高いため、細部の加工作業に適しています。
- <適合>
- 鉄系(熱処理前):○
- ステンレスSUS304等:○
- アルミ・真鍮:△
- プラスチック・FRP:△
- 木材・石膏:△
- ゴム・樹脂:△
- 硬鉄(熱処理済):◎
注)目の形状を用途別に示した簡易表です。使用方法、ワークの種類によって差異が生じることがあります。
注)この表はやすり目の粗さではありません。仕上がり精度は目の粗さ等によって変わります。
やすりの選び方
やすりは、鉄工用、木工用、ダイヤモンドやすりなど様々あり、種類を多く持つほど作業がしやすくなりますが、木工用でも金属用でも、最後の仕上げはサンドペーパーにすることで仕上げ用のやすりは必要なくなります。
木材用やすりとしては、木工用の平形やすりがあれば十分です。表面の鬼目で荒削りをした後に、裏面のシャリ目で整えることができます。金属用としては、平形、半丸型、丸形の鉄工やすりがあれば基本的な作業には十分です。
また、目詰まりした時はワイヤーブラシを使いましょう。やすりの目に沿ってブラッシングすることで、詰まったゴミを取り除くことができます。