木工ドリルビットの刃先の種類と研ぎ方
木工ドリルビットとは
ビットとはドリルの先端工具のこと。木工ドリルビットは、木工ドリルに使われる刃の先端の錐部分を指します。鉄工ドリルやコンクリートドリルにはこの円錐状のネジはありません。この円錐状のネジは誘導の役割を果たします。ネジが木材に食いつき、回転することで錐が被削材に自然と引き込まれていくのです。そのため適切なビットを取り付けている木工ドリルでは押す力が必要ありません。そしてビットによって引き込まれたドリルは、回転しながらケガキ刃とスクイ刃によって被削材を削りつつ進んでいきます。
円錐状のネジは、木工ドリルビットの大きな特徴と言えるでしょう。
木工ドリルビットの各部の名称
木工ドリルの刃は、先ネジとケガキ刃・スクイ刃によって構成されています。各部の名称と役割は以下の通りです。

誘導ネジとも呼ばれる、先端の錐になっている部分。回転しながらドリルを被削材に食い込ませる役割を持ち、これによってスムーズな穴あけが可能です。1回転でネジのピッチ分切り込みます。
先ネジの、ねじれの山と山の間隔のことです。
ドリルの回転円周上に位置する刃のこと。役割は、その名の通りケガキ(材料に傷による線をつけ、切り出しの位置を決めること)を行うことです。ドリルの回転円周に沿って被削材をケガキながら進み、穴の輪郭を決めて断面をキレイにします。
ドリルの主刃で、木材を削るのがスクイ刃。ケガキ刃がケガキした輪郭に沿って被削材を削り取っていきます。
ドリルの刃部である、ねじれている部分の長さのことです。ねじれの溝に沿って切りくずを排出する役割があるため、ビットを選ぶ際は開けたい穴の深さよりも長いネジ丈・深さにする必要があります。
木工ドリルビットの刃先の種類
ビットの先端である錐の形状は、大きく分けて3種類あります。それぞれ特徴が異なるので、目的や使用条件に合わせて選定しましょう。

先端がネジ状(誘導ネジ)になっているタイプ。回転によりドリルが引き込まれていくので、押しつけなくてもどんどんドリルが進んでいきます。作業性に優れ、深い貫通穴あけに向いたタイプです。
ボール盤の使用:材料が持ち上がってしまう可能性があり危険なため、推奨されません。

先端が三角状になっているタイプ。ネジ状になっていないのでドリルを引き込む力はなく、押した分だけ錐を進ませて穴を開けるため、容易に好きな深さの穴を開けることが可能です。浅い穴や止め穴に向いています。
ボール盤の使用:ドリルを引っ張らないので安全に使用できます。

先端が鋭角になっているタイプ。そのため竹など湾曲した材料でも簡単に位置決めができます。また先ネジタイプ・三角タイプでは一条だった外周刃が二条になっているため、切削抵抗が軽く、ブレにくいため高精度な穴あけが可能です。ネジ状になっていないので押した分だけ穴を開けられます。
ボール盤の使用:ドリルを引っ張らないので安全に使用できます。
木工ドリルビットの刃の研ぎ方
切れ味の低下を感じたら、刃を研ぐことで再び切れ味が良くなります。ケガキ刃・スクイ刃を以下の手順で研磨しましょう。
用意するもの:金属用のヤスリ
錆びがある場合:錆び取りクリーナーなどを使用して錆びを落としておく
1.刃の裏(内側)にヤスリを当て、面に沿って研磨します。摩耗した部分がなくなり鋭くなるまで研ぎましょう。
2.外側にバリがある場合はヤスリで削り取り、仕上げます。
※ケガキ刃は爪の高さ(スクイ刃との刃の高さの差)が先ネジピッチの1/2必要です。これ以下になる場合は研磨できません。
1.スクイ刃が水平に対して45度になるよう傾けます。
2.刃の裏(内側)にヤスリを平行に当て、摩耗したスクイ面がなくなり新しい刃が出るまで磨きましょう。
木工ドリルの場合、ビットの種類が作業性や扱いやすさに関わってきます。開けたい穴によって選定しましょう。また日頃から研いだりきちんと保管したりすることで、寿命を長くすることができます。