防振材の種類と特長

防振材とは、機器の振動が床や壁などに伝わらないようにするため、あるいは機器に外部の振動が伝わらないようにするために挟んだり敷いたりして使う、振動の吸収・緩和材です。防振材には種類があるので、使用する機械や目的に合わせて最適なものを選びましょう。

防振ゴム

防振材には様々な素材が使われますが、基本的にはゴム製です。防振を目的としたゴム製部品のことを「防振ゴム」と言います。その種類と特長を見ていきましょう。

防振ゴムとは

振動・衝撃の伝達を防ぎ、防振だけでなく緩衝・防音効果も望める加硫ゴム製品です。主に振動する機械の部品などに取り付けることで衝撃を緩和するもので、「クッションゴム」と呼ばれることもあります。 機器の振動を基礎に伝わることを防いだり、反対に基礎の振動が機械に伝わらないように防いだりすることが可能です。エンジンや発電機、油圧プレスや精密機械、鉄道車両の台車から洗濯機まで様々な製品に利用されています。

ゴムは内部摩擦が大きいためやわらかくて動きやすく、支えている対象の振動エネルギーを吸収・消耗させることができます。振動系の固有振動数は荷重とゴムのバネ定数によるので、適切な防振ゴムを選びましょう。防振ゴムにはいくつか種類があり、その形状によってバネ定数や役割も変わってきます。

防振ゴムの種類
  • 【丸型】

小型でバネ定数が大きく、汎用性の広い防振ゴムです。シンプルな構造なのでポンプ、エンジン、モーターなど様々な機器に接続できます。 円柱状になっている両端に金具が付いているタイプが多く、振動発生箇所と主体部の間に挟み込むように設置することで絶縁して、振動を緩衝させる仕組みです。両ボルトタイプや片ボルトタイプ、片座金タイプなどがあります。


  • 【V型】

ゴムを傾斜配置することで左右方向へのバネ定数を大きくしたタイプです。横方向に加振力のある機械や、複雑な振動をする機械に適しています。遠心分離機や空気圧縮機、拘束ディーゼル機関などに用いられることが多いです。


  • 【マウント型】

「上に機器を乗せる」タイプです。荷重範囲が広く、全方向に等しいバネ定数を持っているため、比較的重い機器や複雑な振動の機器に適しています。


  • 【吊り型】

ダクトや吊り下げタイプの空調機器、システム天井などの防振に使用します。ハンガーと防振ゴムが一体になっているタイプや、小型機器に適した小さなタイプなど、用途に合わせて種類を選びましょう。また壁に設置し、壁面に吊り下げる配電盤に適したタイプの防振ゴムもあります。

防振パットの特長

敷物状の防振材で、機械の下に敷くだけで簡単に施工が完了します。機械の据え付け・移動が簡単にできる点が特長で、工作機械やエアコンの室外機、冷蔵庫や洗濯機、ポンプやモーターなど様々なシーンで活用可能です。ゴム製をはじめ、ゲル製やシリコン製の製品もあります。

パット表面にスリットが入っているタイプが多く、この溝が衝撃を吸収して防振を実現します。使いやすい大きさに既にカットされているタイプ以外に、カッターなどを使って自分でカットすることができるタイプもあり、必要に応じて使いやすい大きさ・形状に合わせることが可能です。耐久性にも優れており、経済的と言えるでしょう。

使用時は機械の荷重に合わせて使用必要面積を求める必要があります。機械などの重量と振動数を調べ、必要なたわみ量を求めましょう。たわみ量と面圧から使用面積を算出します。

ゴムストッパーの特長

壁面などに取り付けるタイプで、主に天井クレーンなど移動する機械のストッパーとして使用します。コンパクトながらも大きな衝撃力の吸収・緩和に優れており、衝突時の当たりがソフトな点が特長です。そのため防振だけでなく防音効果にも期待ができます。近隣への配慮が必要な工場などには欠かせないアイテムです。

選定の際は、クレーンなどの衝突エネルギーを計算し、衝突エネルギーが許容エネルギーの範囲内になるストッパーを選びましょう。

まとめ

防振材は多くの機械工作や工事現場で必要なアイテムです。簡単に取り付けができる製品が多い点も特長のひとつ。効率的かつ安全に使用するためにも、選定の際は使用する機械の振動数や荷重、取り付け形状などを調べ、適した防振材を使いましょう。