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掃除機の吸込仕事率とダストピックアップ率

現場作業でも必要とされる掃除機ですが、皆さんは何を基準に選んでいますか? 現在、掃除機の性能を表す方法は、吸込仕事率とダストピックアップ率があります。 ただし作業に適した掃除機を選ぶ際に、どちらの吸引評価を信じればよいのか迷うところです。それぞれの測定方法とその意味を分かりやすく解説します。

吸込仕事率とは

吸込仕事率とは、掃除機の吸引力をW(ワット)の単位で表すスペックのことです。吸込仕事率を割り出すにあたっては、日本電機工業会の規格である『JEM 1454』により測定方法が決まっており、 風量と真空度を測定し、その結果を2007年に改正された新JIS規格である『JIS C 9108』に基づき計算されています。

<吸込仕事率計測方法>

はじめに新しい集塵袋やフィルターを装着し、付属の延長管とホースをまっすぐに取り付けます。そして風量と真空度を、延長管の先端に取り付けた専用の測定器で測るのが、一般的な計測方法です。 風量とは、浮き上がったゴミを運ぶ力で、1分あたりに掃除機が吸い込む空気の体積のことで、単位は「立方m/min」と表されます。一方の真空度は、ゴミを浮き上がらせる力のことで、ゴミや空気を吸い込む圧力の単位は「Pa」です。

<吸込仕事率計算方法>

掃除機を使用する実際の環境は様々であり、一概に吸い込む風量だけで掃除機の性能を決めるのは適切ではありません。たとえば掃除機のノズルを浮かせることで吸い込む風量は多くなるものの、必ずしもゴミを吸い取るとは言えず、またノズルを床に押し付ければ真空度は上がるものの風量は下がることになります。

その掃除機の能力を図るにあたって、きちんと見ておきたいのは風量と真空度のバランスが取れた状態です。こうした理由から掃除機の性能は、風量と真空度を掛け合わせた数値を吸込仕事率として表すようになっています。 ちなみに計算式は以下の通りで、計測した風量と真空度と定められた係数を掛け合わせて行うのが基本です。

⇒吸込仕事率=0.01666×風量(立方メートル/min)×真空度(Pa)

ダストピックアップ率とは

近年、外国の掃除機メーカーが製品に表示しているのが「ダストピックアップ率」です。これは、国際電気標準会議(IEC)において定められている測定方法であり、実際に床にゴミを撒いて、掃除機で吸い取れなかったゴミがどれぐらい残ったかを計測するもの。 風量や真空度の力量を計測し計算する吸込仕事率と異なり、ゴミを吸引した検査結果が直接数値として表されるために、より信憑性があるスペックだとされます。

日本工業規格(JIS)においても、塵埃除去能力として「家庭用電気掃除機の性能測定方法(JIS C9802)」が定められていますが、国際規格(IEC)を翻訳しただけのものに近いので、まだ確立されてはいないようです。また日本では屋内で靴を脱ぐ文化があるので、欧米と比較すると掃除機に吸わせるゴミの種類も異なってきます。 日本のゴミが「ホコリ」であるとすれば、欧米では「砂」や「土」が多いと考えられ、現在行われているダストピックアップ率の計測方法は、欧米諸国の住宅環境をもとにした方法であると言えるでしょう。

そのため、国内ではダストピックアップ率で評価しているメーカーがまだ少ないのが現状です。ダストピックアップ率に付随した独自の検査を行っている国内メーカーもあるものの、いまのところダストピックアップ率で評価しているのは、外国メーカーの掃除機が多い傾向にあります。

<ダストピックアップ率の計測方法>

ダストピックアップ率の計測は、基本的に「けい砂」を用いて計測します。絨毯上では糸くずや繊維ゴミも別項目として計測されますが、フローリング上では「けい砂」のみの計測です。たとえば床に一定の量のゴミを撒き、規定の条件下において掃除機で吸い取り、吸い取ることができたゴミの量をパーセンテージで表していきます。

まとめ

掃除機の性能を表すための、二つの評価方法を紹介しました。掃除機の吸引力は、利用する場所や環境の違いに影響しますが、風量と真空度を元にして力学的に計算された吸込仕事率では、それらをあまり考慮していないという欠点があります。 一方でダストピックアップ率では、実際の吸い残りのゴミの量を数値にする評価として信憑性はありますが、「けい砂」をメインに検査していることを認識しておきましょう。そしてモノタロウでは各商品に評価が記載されているので、掃除機を選ぶ際にはぜひ参考にしてみてください。