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ステンレスの材質の種類

ステンレスとは、耐食性に優れる点、特有の金属光沢を持つ点などから、建材や機械の部材、食器などに至るまで、さまざまな場面でよく使用されている金属です。しかし、一口にステンレスと言っても、その種類や性能には非常にさまざまなものがあります。ステンレスの材質や特徴について見てみましょう。

ステンレスとは

ステンレスとは、鉄にクロム、ニッケルなどを加えて製造される合金です。これらの添加物の働きにより金属表層に不動態皮膜を生じ、耐摩耗性・耐腐食性・耐熱性・離型性が向上します。 添加物の割合や製法の違いにより、ステンレス金属にはさまざまな種類の製品があり、JISの規格だけでも200種類以上の製品が展開している状況です。ステンレスの鋼種は、以下の4種類に大別することができます。

オーステナイト系ステンレス

カーボン0.15%以下、クロム16%~20%、ニッケル8%以上からなる鋼種です。鋼種の名称は「SUS3**」で表現されます。

加工硬化性が高く、溶液化処理で1000℃から1150℃に加熱急冷を行うと耐食性・強靭性が向上する点が特徴です。耐食性に優れ、家電・建築外装・液化天然ガスタンク・原子力設備などさまざまな用途で活用できます。なお、焼入れによる硬度向上はありません。

マルテンサイト系ステンレス

カーボン0.1%~0.40%、クロム12%~18%を含む鋼種です。鋼種名称は「SUS4**」で表現されます。

大気中や、水・蒸気の曝露を受ける環境下では十分な耐食性を発揮しますが、金属表面に鉄粉が付着している場合はもらいさびが発生するので、定期的に清掃しなければなりません。焼入れによって硬度が向上するので、高い硬度を活かして、刃物やシャフトなどの硬度が求められる用途で活躍することが多いです。

フェライト系ステンレス

カーボン0.12%以下、クロム16%~18%、ニッケル8%以上からなる鋼種です。鋼種名称は「SUS4**」で表現されます。

オーステナイト系と同様に加工硬化性が高い反面、高温加熱急冷を行っても硬度に変化はありません。オーステナイト系に比べて耐食性にやや劣るため、建築の内装や家庭用品など、腐食条件が過酷でない環境下での使用例が多くなります。

オーステナイト・フェライト系ステンレス

二相系ステンレスとも呼ばれますが、オーステナイト系とフェライト系の二相が混在した鋼種です。金属の性質はオーステナイト系とフェライト系の中間にあたります。海水環境に強く、応力腐食割れへの耐性も高いため、海水環境での復水器、熱交換器、化学プラント用装置などに使用できる点が特徴です。

ステンレスの種類・特長・用途

ステンレスは多種多様な種類に展開しており、それぞれ異なった特性を持っています。海水や硫黄などの強力な腐食原因物質の影響を受ける過酷な環境から、住宅の内装などの腐食強度の弱い環境まで、活用される範囲が広いです。 そのため、ステンレス鋼種の特性によって適応できる用途は違います。ここでは、代表的な鋼種の特徴や用途、概要をまとめてご紹介しましょう。

分類 略称 JIS規格 成分 耐食 耐熱 熱伝導(鉄対比) 耐衝撃 磁性 用途や特長
オーステナイト 18-12 SUS316 Cr18% ++++ 1/3 なし※ SUS304より高い耐食性。海洋環境にも好適。
Ni12%
オーステナイト 18-10 SUS305 Cr18% +++ 1/3 なし※ 加工硬化性が低い。へら絞り、引抜き、冷間圧造に好適。
Ni13%
オーステナイト 18-8 SUS304 Cr18% +++ 1/3 なし※ 最も一般的。ボルト/ナット/ワッシャー/割りピンなど。
Ni8%
フェライト 18クロム(18-0) SUS430 Cr18% ++ 1/2 あり 建築内層、オイルバーナー、家電、850℃以下の炉、放熱器など。
マルテンサイト 13クロム(13-0) SUS410 Cr13% + 1/2 あり 耐食性に劣るが焼入れにより硬度強化できる。ドリルネジ、タッピンネジ、Sタイトなど。
  21クロム(21-0)   Cr21% +++ 1/3程度 あり ニッケルやモリブデンを添加しないため、これらの高騰の影響を受けない。SUS430の代替として用いる。耐食性・硬度も良好。

※磁性なし。ただし冷間加工を行った部位については磁性を持つ場合があります。

まとめ

ステンレス鋼は成分によってさまざまな鋼種があり、その物的特質は多種多様です。この記事では、代表的な数種類をご紹介しました。利用するシーンに合わせて鋼種を選ぶようにして下さい。

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