スパークプラグの構造と端子形状
スパークプラグの構造
スパークプラグは、エンジンのプラグホールと呼ばれる穴に栓をするように固定され、シリンダーの外部から内部へ電流を送り込み、放電させることで火花を発生させ、着火するという仕組みです。 その基本構造は、ターミナル(端子)、碍子(がいし)、ハウジング、中心電極で生成されています。
ターミナル(端子)
イグニッションコイルでつくられた電圧を受ける部分です。ターミナルはピストンが往復するシリンダーの外に突き出し、高圧電流を受けるためのプラグコードが接続されます。 ターミナルはネジ式とはめ込み式があり、アダプターナットを取り付けることではめ込み式にも対応できるものもあります。
ターミナルの形状
ターミナルには以下のような形状があります。
- 【一体型】
- ナットはなく、はめ込み式のみに対応
- 【ネジ型】
- ナットはなく、ネジ式のみに対応
- 【分離型】
- ナットを取り付けているとはめ込み式に、取り外すとネジ式に対応
碍子はターミナルから中軸・中心電極を支持し、漏電を防ぐ磁器製の絶縁体です。一般的なスパークプラグでは、碍子部分に「コルゲーション」と呼ばれるくびれが複数あり、ターミナルからハウジング間の表面距離を取ることでフラッシュオーバーを防いでいます。
碍子脚部とは、ハウジングの中から突き出した中心電極を覆っている碍子の下部分です。エンジンの燃焼室内に入り込む碍子脚部は、強度や耐熱性、絶縁力、高い熱伝導率を必要とするため、アルミナなどが使用されています。また碍子脚部の長さによって、熱価の度合いが変わってきます。 熱価とはスパークプラグが受けた熱をどの程度発散させるかの度合いで、碍子脚部が長いとその度合いは小さく(低熱価)、焼け型プラグと言い、反対に碍子脚部が短いプラグは熱価の度合いが大きく(高熱価)、冷え型プラグと呼ばれています。
ターミナルと中心電極を接続している中軸は、高圧電流を無駄なく確実に中心電極に繋ぐため、鉄鋼材でつくられています。
高圧電流はターミナルから中軸を通り、中心電極へ伝わります。耐熱性、耐久性に優れているニッケル合金が使用され、芯部には熱伝導を高めるために銅を使用しています。
中心電極は細いほど大きな火災核が飛びやすいと言えますが、消耗が激しいため融点の高いプラチナ、さらに高いイリジウムを使用したプラグも販売されるようになりました。特にイリジウムは、低い飛火電圧による点火の確実性と高い着火性能を持つ優れたプラグ電極です。
碍子と中心電極を覆う円筒状の主体金具です。先端部分に接地電極(外部電極)が溶接され、ハウジングから突き出た中心電極との間にアースさせるための火花ギャップが形成されています。また、シリンダーヘッドに取り付けるためのネジ山が刻まれています。 ネジ部分のネジリーチ(長さ)とネジ径には複数のサイズがあり、適したサイズを使用しなかった場合、プラグが正常に機能しない可能性や、破損の恐れもあるので注意が必要です。
スパークプラグの締め付けには適切なトルクと回転角が重要で、プラグのネジ径により推奨値が設定されていますが、多くのプラグにはガスケットが備えられています。
ガスケットとはハウジングのネジ上部にある中空円環で、スパークプラグをシリンダーヘッドに取り付ける際、ネジを締めると同時に変形し、ハウジングとプラグホールの隙間を密着させます。気密性が高まり燃焼ガスの漏れを防ぐ役目をしています。
接地電極はハウジングから突起した鈎状の部位で、中心電極との間で放電現象を起こし飛火と着火をする役目があります。
その形状には種類があり、U溝タイプは混合気に触れる面積が広いことや、エッジが多いので飛火しやすく大きな火災核になり、着火エネルギーが強くなるメリットがあります。テーパ形状にカットされたテーパカット接地電極は、消炎作用が小さいため着火性能が高い接地電極です。 またギャップの広さ(高さ)によっても着火性能は変わってきます。ギャップが広いと火災核が大きくなることで消炎作用が小さくなり着火性能も高くなりますが、広すぎるとコイルの電圧が足りずに放電できなくなってしまいます。
スパークプラグの仕組みや構造はお分かりいただけましたか?それぞれの働きが分かると、適したプラグを選びやすくなりますね。ターミナルの形状や種類、接地電極の形状、熱価の度合いなどを参考にしてください。