鎌の選び方
地域で選ぶ
日本で古くから農耕や園芸に用いられてきた鎌は、同じ草刈鎌でも地域ごとにそれぞれ進化を遂げてきました。そのため全国には各地の特徴を活かした「地域鎌」が存在しています。 使用する地域に合った種類を選ぶことで、各地の草に適した鎌やスタッフが扱いに慣れている鎌を支給することができるでしょう。今回は、地域鎌の代表的な種類を3つご紹介します。
- 三日月鎌(薄鎌)
その名の通り、三日月のように細く長い刃を持った鎌です。全国的に広く普及しています。主な用途は草刈りや稲刈りなどで、一般的な草刈鎌と同じく「薄刃」「中厚刃」「厚刃」と刃の厚みが3タイプに分かれています。 いずれも刃の幅が狭く薄めなので切れ味は抜群です。また、刃が柄に対して平行についているので、刈った草はその場にストンと落ちるという特徴があります。
- 信州型(厚鎌)
関東・甲信越を中心に分布している鎌です。刃の幅が広く、また柄に対して角度がついています。そのため、膨らんでいるように見える点が特徴です。 使用すると、刈った草が刃の上に乗り、そのまま一緒に運ばれて手元まで寄ってきます。効率よく草刈りをすることができるでしょう。見た目には重量感がありますが、持ってみると意外と軽い使い心地となっています。
- 両刃鎌
主に関西地方や中国・四国、九州や沖縄などで使用されています。耐久性に優れており、茎の太い草や硬い草を刈ることも可能です。特に刃が厚い「厚鎌」になると、小枝や雑木、小竹も払うことができます。
用途で選ぶ
柔らかい草を刈りたいのか、細い木を刈りたいのか、また、座って作業したいのか、立ったまま作業したいのかなど、用途や目的に合わせて鎌を選ぶことで効率よく作業がはかどります。こちらでは用途に合わせた鎌の種類をご紹介しましょう。

- 柔らかい雑草を刈りたい…薄鎌(草刈鎌)
- 刃が薄くてシャープなので、春や夏の柔らかい草に適しています。柄は長くても40cm程度です。軽くて片手でも扱いやすく、長時間の作業にも向いています。野菜の収穫にもオススメです。
- やや太い草を刈りたい…中厚鎌(草刈鎌)
- 刃が厚く、硬い下草を刈るために作られています。ヨシやススキなど、夏の土手に群生する太い草を刈ることに適した鎌です。柄が長いタイプもあります。

- 小枝を払いたい…木鎌
- 丈夫で刃の厚い鎌で、小枝や雑木、小竹、硬い草を刈る際に用いられます。柄が太く、力を入れやすいのが特徴です。

- 根っこから草を取りたい…草取・草削鎌
- 草を土ごと削り取れるように形状を加工した鎌です。根元から草を取れるため、キレイな状態が長持ちします。ただ、鎌の地金が摩耗するスピードも他と比べると早めです。

- 稲刈りに使用したい…鋸鎌
- ノコギリのようなギザギザの刃がついた鎌です。機械ではできない部分の稲刈りや麦刈りや、太い草を刈る際に使用されます。

- 立ったまま作業したい…長柄刈払鎌、造林鎌
- いずれも柄の部分が長いタイプです。長柄刈払鎌は通常の草刈りに、造林鎌は雑木の混じった造林地などの草刈りに使用されます。立ったまま作業できるので疲れにくいでしょう。

- 草刈り以外にも使用したい…縄切鎌
- 刃がノコギリ状になっている鎌です。草刈り以外にも、荷物の縄やロープ、PPバンドの切断や、野菜の収穫など、様々な用途で使用できます。
草の刈り方
鎌を使った正しい草刈りの方法についてご紹介しましょう。ポイントは、「横に振る」のではなく「手前に引く」ことです。
石などはあらかじめ取り除いておくと安心です。複数のスタッフで作業する場合は、互いの鎌が届かないように互い違いになった上で、5m以上離れるよう配置してください。また、鎌の状態は忘れずにチェックしておきましょう。
柄の下の方を持ち、鎌の刃先が自分から見て左側に来るように構えます。草を刈る際には、刃先が右前方から左後方に来るように動かし、引く力で刈り取りましょう。 左側に向かって刈っていくことになるため、円形のスペースなら反時計回りに、四角形のスペースなら右から左に向かって刈ってください。
太い茎の草や小枝など硬いものを刈る際は、刃の中心部ではなく柄に近い部分を使います。柄側に茎(なるべく根元)を当て、そのまま刃先に向かって滑らせるように斜め後ろ・上方に引きましょう。比較的軽い力でカットすることができます。
鎌を購入する際には、刃の厚さや形状に注目して選ぶようにしましょう。基本的には薄い刃は柔らかい草用、厚い刃になるほど硬い草木用です。鎌の種類が違うだけで作業効率に大きな違いが出ることもあるので、ぜひ慎重に選んでください。