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静電靴の規格について

静電靴は、作業者に帯電する静電気による事故や障害発生を防ぐ靴です。その規格はJIS規格で定められており、性能によっていくつかの種別があります。この記事では、静電靴の種別をご紹介するとともに、わかりづらい静電靴の電気抵抗や環境区分についてもまとめました。

静電靴とは

静電気は現場の作業者の身体に帯電していますが、作業中に引火し、火災・爆発・感電といった重大事故につながります。また、機械設備の停止や製品への損傷などさまざまな損害を巻き起こしたりするかもしれません。 このようなトラブルを防止するために使用する靴を静電靴といいます。その適応範囲に応じて、静電安全靴、静電保護靴、静電作業靴などいくつかの分類が可能です。

静電靴は、さまざまな場面で活躍しています。代表的な使用例は、溶剤や引火性のある物質を取り扱う作業現場、電子部品製造ライン、電子素子取り扱い現場、塗装現場、ガス取り扱い作業、消防団作業、船上作業などの現場です。

種別の説明(一般静電安全、特種静電安全)

静電靴にはどのような種別があるのでしょうか。区分ごとに紹介します。

電気抵抗の区分

静電靴の種別を定めるJIS規格では、その電気抵抗の性能から、「一般静電」と、より静電性能の高い「特種静電」の2つに大別しています。一般静電の製品は「ED」、特殊静電の製品は「EDX」を頭にもつ記号で表現しています。

一般静電の製品は、爆発危険区域、および生産障害(電子デバイスの破壊など)を起こす恐れのある場所での使用に適した静電靴です。危険性が高い場所では使用しません。 特殊静電の製品は、一般静電の静電靴が使用できる現場の他、より危険度の高い爆発高危険区域にも使用することができます。より安全性を求めるなら特殊静電の静電靴が有効です。

仕様の区分

静電靴は、特殊静電/一般静電の区分の他、靴自体の仕様によって3つに区分することができます。革や総ゴム製の中皮を持ち、先芯のあるものは「静電安全靴(P)」、革・ゴム以外の人工皮革などの中皮で先芯のあるものは「静電保護靴(O)」、 人工皮革などの中皮で先芯も付属しないものは「静電作業靴(W)」です。

静電靴の種別は、上記の電気抵抗についての規格(EDX/ED)と、仕様についての規格(P/O/W)の組み合わせによって区分されています。それぞれの種別の詳細は以下の通りです。

  仕様 種別 爆発危険区域 爆発高危険区域 生産障害
(電子デバイスの破壊など)のおそれのある場所
EDX-P 先芯有 静電安全靴甲被:皮/総ゴム製 特殊静電安全靴
ED-P 一般静電安全靴 ×
EDX-O 静電保護靴甲被:人工皮革(皮/ゴム以外)  特殊静電保護靴
ED-O 一般静電保護靴 ×
EDX-W 先芯無 静電作業靴甲被:人工皮革など 特殊静電作業靴
ED-W 一般静電作業靴 ×

静電靴の電気抵抗について

一般静電と特殊静電に区分される静電靴の電気抵抗は、具体的にはどれほどの性能なのでしょうか。

一般静電靴とは、電気抵抗値Rが23℃±2℃の環境下においては1.0×10 ^5≦R≦1.0×10^8を示し、0℃の環境下においては1.0×10^5≦R≦1.0×10^9を示すものを言います。

また、特殊静電靴とは、23℃±2℃の環境下においては1.0×10 ^5≦R≦1.0×10^7を示し、0℃の環境下においては1.0×10^5≦R≦1.0×10^8を示します。このため、一般静電靴に比べて特殊静電靴の方がより確実な静電性能を発揮できるのです。

更に、電気抵抗値がR

  温度 101 102 103 104 105 106 107 108 109 Ω
特殊静電気靴(EDX) 23℃         ←性能発揮範囲→      
0度           ←性能発揮範囲→    
一般静電気靴(ED) 23℃           ←性能発揮範囲→    
0度           ←性能発揮範囲→  

※特殊静電気靴の方が電気抵抗の上限が1桁小さいのは、より確実に静電気を防ぐため

静電靴の環境区分について

静電靴の規格を決めるポイントは、静電性能の検査内容時の湿度環境です。検査規格に応じてC1、C2、C3の3つの環境区分に分類されます。

環境区分C1は最も厳格な検査規格であり、湿度12%±3%の環境下で検査に合格する性能を持つものです。順に、環境区分C2は湿度25%±3%にて合格するもの、環境区分C3は湿度50%±3%にて合格と判定します。

湿度管理を行うことがない一般的な工場において、火災防止などの目的で使用する際には、基本的にどの区分の静電靴を選択しても問題ありません。 一方、半導体工場のように現場の湿度が厳格に管理されている環境下で使用する場合、現場の湿度環境に適合する環境区分の製品を選択する必要が出てきます。

環境区分C1  湿度12%±3%の環境で検査合格 半導体工場のように厳格な湿度管理がある場所
→環境区分のクラスが重要
 
環境区分C2 湿度25%±3%の環境で検査合格 湿度管理を行っていない一般工場の爆発・火災の防止に使用する場合。
→どのクラスの静電靴も使用可能
環境区分C3 湿度50%±3%の環境で検査合格  
 
まとめ

静電靴の規格は、「静電区分(一般静電/特殊静電)」、「仕様区分(安全靴/保護靴/作業靴)」、「環境区分(C1/C2/C3)」の3要素によって規定されます。それぞれの区分をよく理解し、現場が必要とする性能に過不足ないスペックの静電靴を適切に選択できるようにしておきましょう。

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