冷媒充填の方法
冷媒充填とは
冷媒充填とは、エアコンの室外機から必要な量の「冷媒」を注入(チャージ)し、装置内を満たす作業のことです。そもそも「冷媒」とは、室内機と室外機を繋ぐ配管を循環し、圧力によって液化・気化を繰り返す流体のこと。多くの場合はR410Aなどのフロンガスが使われます。
エアコンから送られる涼しい風(あるいは温かい風)は、「気化熱」が作りだします。汗をかいた時は暑くても、汗が蒸発すると涼しく感じるのはこの気化熱による現象。液体が気体になる際は、周囲の熱を奪ってエネルギーにするのです。 反対に、気体が液体になる際には周囲に熱を放出します。エアコンはこの現象を応用した装置であり、吸熱・発熱のために冷媒が必要となるわけです。冷媒は、室内機と室外機を繋ぐ配管の中をぐるぐると循環するものです。 冷房の場合は室外機で圧力を下げた液体状の冷媒が室内機に送られますが、室内機の熱交換器によって気体に変えられます。この際にエアコンが吸い込んだ空気が熱交換器に触れることによって熱が奪われ、涼しい風となってまた室内へと送られるというわけです。 奪われた熱は気体状の冷媒に乗って室外機に送られ、ファンから屋外へと放出。冷媒は室外機の熱交換器によって再び圧力を下げられ、液体となってまた室内機へと戻っていきます。これが冷媒の役割です。
しかし中古のエアコンを設置する際に配管の長さが変わって冷媒が足りなくなったり、ガス漏れなどのトラブルが起きて冷媒が減少してしまったりすることがあります。 冷媒が少なくなってしまうと、熱の放出・発熱ができなくなるためエアコンの効果が低くなってしまうでしょう。これを解消するために、足りない分の冷媒を追加で補充したり、残った冷媒を抜いて丸ごと入れ替えたりする作業が必要です。この作業を冷媒充填と呼びます。
冷媒充填は、配管の中に空気や不純物がない状態で行うことが重要です。配管の中に空気が残っていると、エアコンを作動させた際に空気中の水分が凍って配管を塞いでしまうでしょう。そのため冷媒充填は多くの場合、配管中の空気を排出するエアパージとセットで行われます。
冷媒充填の方法
具体的な冷媒充填の手順を解説していきます。冷媒充填に必要な道具を用意してください。
- フルオロカーボンガス
- フルオロカーボンガス…エアコン機器の冷媒として使われる温室効果ガス(冷媒)のボンベです。
- デジタルスケール
- デジタルスケール…冷媒の充填量を計測するための道具です。
- チャージホース
- チャージホース…エアコンとゲージマニホールドとチャージングシリンダーを連結する色分けされたホースです。
- ゲージマニホールド
- ゲージマニホールド…圧力計・連成計で冷媒の気化状況をチェックします。※ガスの種類によって使用するマニホールドが変わります。
- 1:接続
- 室外機の低圧側サービスポートとゲージマニホールドの低圧バルブ・高圧側サービスポートと高圧バルブをそれぞれチャージホースで接続し、真空ポンプとゲージマニホールドを接続します。この時バルブは閉じておいてください。
- 2:エアパージ
- 低圧バルブと高圧バルブを開け真空ポンプでゲージマニホールドとチャージホース内をエアパージします。10分から15分ほどポンプを運転しゲージマニホールドの針が負圧(マイナス域)になっているのを確認してください
※エアパージについてはこちら(エアパージについてのページへリンク) - 3:気密試験
- ゲージマニホールドのバルブを閉め真空ポンプを停止します。その状態で10分間放置しゲージ圧力が変化しない(漏れがない)ことを確認します。
- 4:チャージ
- 冷却ボンベをデジタルスケールにセットします。デジタルスケールの目盛りを0にして冷却ボンベとゲージマニホールドを接続し低圧バルブを開けてガスチャージを開始します。デジタルスケールの目盛とゲージマニホールドのゲージ圧を確認しながら規定量を充填します。
- *寒い時、最後まで入らない時は冷房運転をしてエアコン本体に冷媒を吸引させます。ガス漏れなどで冷媒ガスの充填量が不明な場合は追加で充填せず、一度全部抜いてから新たに全量を充填するようにしましょう。
- 5:バルブを閉める
- 規定量の冷媒ガスを充填できたら(1)ゲージマニホールド(2)冷媒ボンベの順にバルブを閉めてチャージホースを(1)室外機サービスポート(2)冷媒ボンベの順に外します。
冷媒充填の方法
冷媒の充填は多くの場面で必要になる作業ですが、同時にシビアな作業でもあり、多すぎず少なすぎず適量を入れる必要があります。デジタルスケールなどを活用し、慎重かつ的確に充填するようにしましょう。