pHの測定方法

pHは水素イオン指数といい、化学反応を取り扱う現場においては、必ず管理する必要のあるものです。目的とする反応だけを目指し、不必要な反応が起こらないようにするためには、水溶液などのpHを常に適切に保っていることが重要となってきます。 幅広い現場で行われるpH測定について、測定が必要な場所と測定方法を解説していきましょう。

pHとは

pHは水素イオンの濃度を表す指標であり、具体的には物質の酸性・アルカリ性の度合いを数値化して表すために生まれた指標です。 pHが7のときは中性を表し、それ以下のときは数値が小さいほど強い酸性、それ以上のときは数値が大きいほど強いアルカリ性を表すことになります。なお、pHが1変化するとき、水素イオン濃度は10倍、あるいは10分の1に変化することはおさえておきましょう。

pHを測定するとき

化学を取り扱う現場では、さまざまな化学反応が利用されています。化学反応を利用するとき、対象物や副資材のpHが仕上がりに大きく影響するケースは多いです。以下では、pH管理を行うべき加工現場やその用途をまとめていますので、ぜひ測定の参考にしてみてください。

金属加工

金属加工で行われるのは溶解液のpH調整です。必要な金属だけを取り出し、不必要な金属を溶かさないようにするため、溶解液を適切なpHに保ちます。

プラスチック加工

プラスチック加工では、重合、縮合など、いわゆる高分子化の工程でpH管理が行われています。

メッキ

メッキ加工では、美しい色や光沢を出すために、メッキ液のpH管理が行われます。特に酸性メッキ液においては、pH管理が適切でない場合、製品の美観を損なうばかりかメッキが剥がれやすいなどの欠陥を引き起こしやすいです。

塗装

塗装では、仕上げの品質を高めるために、表面処理液のpHを適切に保つ管理が行われます。

切削・研磨加工

切削・研磨加工では、金属加工油剤(水溶性切削・研削油剤)の状態が適切でなかったり劣化していたりすると、サビや表面塗膜ムラなどの原因となります。そのため、日常的な管理で濃度管理・pH管理を組み込むことが理想です。

建設現場

建設現場では、素地面の確認のためにpHをチェックします。素地面のpHが適当でない場合、塗装に変色や色ムラ、はがれ、ふくれなどの欠陥が起こりがちです。含水状態は、モルタル水分計含水率が5~6%となるように保ち、pHはpHメーター又はpH試験紙で-9以下となるようにします。

pHの測定方法

pHの測定方法にはいくつかの種類があります。現場に応じた使いやすい方法で測定してください。

リトマス紙

リトマスとは、植物から発見された紫色の染料のことで、これを紙に染み込ませたものをリトマス紙といいます。リトマス紙は、酸性・アルカリ性を単純に判別できることから、簡易的な酸性・アルカリ性の識別において広く用いられている測定法です。 測定したい水溶液などにリトマス紙を浸した場合、pH 8.3では青色を示します。リトマス紙は中性状態(出荷状態)が赤色のものと青色のものの2種類あり、2種類を用いて変色を確かめるのが一般的です。

リトマス紙

pH指示薬

無色透明の液体のpHを簡単に測定できるのがpH指示薬です。代表的なものとして、BTB溶液と赤キャベツ色素があります。 BTB溶液は、中性の緑色を中心として酸性では黄色、アルカリ性では青色を示す指示薬であり、単純に酸性化アルカリ性かの判別を行いたいときに最適です。赤キャベツ色素は赤キャベツ由来の天然色素で、BTB溶液に比べて判定有効範囲が広く、どのくらいのpHかを判別できる点が魅力だとされます。

pH指示薬

水素電極

水素ガスを吸着させた白金電極(水素電極)を用いた測定法です。水素電極を測定したい水溶液に浸すと、液中の水素イオン濃度に応じて電位が発生し、この電位の値からpH値を求めるという仕組みになっています。ただし水素ガスの爆発の危険性には十分に留意しましょう。

pH計

pH計は内部にガラス電極を有する電気式の機械です。二種類の溶液をガラス膜で隔てると、それぞれの溶液のpH差に応じた電位差が発生する仕組みを利用しています。pH計のガラス電極の内側の基準水溶液と、測定したい水溶液とのあいだに電位を発生させ、これを測定することで水溶液のpHを正確に測定可能です。

pH計

まとめ

pH値の管理は、化学反応を利用するさまざまな現場において、欠かすことができない作業です。仕上がりの美観や耐久性を維持するため、pHを適切な状態に保つことを心がけましょう。