工具の通販モノタロウ 乾燥剤/脱酸素剤 脱酸素剤の選び方とトラブル対応

脱酸素剤の選び方とトラブル対応

脱酸素剤は、ケーキや饅頭、煎餅、海苔、ハムやナッツ類など、酸素に触れることで品質が落ちてしまう食品に使用するものです。対象となる食品や包装の大きさによって、最適なサイズ・種類を選ぶ必要があります。こちらでは脱酸素剤の選び方と、脱酸素剤で起こり得るトラブル時の対応について解説しましょう。

脱酸素剤の選び方

脱酸素剤は、密閉された容器内の酸素を取り除き、食品を酸素に触れさせないための鮮度保持剤です。鉄が酸化する(錆びる)際、周りの酸素を吸収するという性質を利用しています。

シリカゲルなどの乾燥剤とよく混同されますが、乾燥剤が空気中の「水分」を吸収することに対し、脱酸素剤はその名の通り「酸素」を吸収除去するという違いがあります。

煎餅や海苔などの乾燥した食感が持ち味の食品はもちろん、バウムクーヘンや饅頭、ピザや切り餅、生パン粉、ハムなどの加工肉、ドライフルーツやナッツ類など、多くの食品にとって、酸素は劣化の大敵。酸化による品質の劣化・変色、カビや害虫の発生などの原因になるためです。

ここに脱酸素剤を入れて酸素を奪うことで、品質の劣化を防止できます。また、油脂の酸化を防ぎ、作りたての美味しさをそのままキープすることも可能です。

脱酸素剤のサイズは、使用する容器内の酸素の量によって決まります。大きな容器に小さい脱酸素剤を入れても、酸素が取り除き切れず十分な効果を発揮できません。容器に合わせて、適切な吸収量の脱酸素剤を選定しましょう。

必要な吸収量は以下の計算式によって導くことができます

【必要な吸収量の算出方法】

(容器(袋)の体積(cc)-中身の重さ(g))×0.21(空気中の酸素の割合)

適切な容器全体の体積(縦×横×高さ)から中身の重さを引きましょう。食品の場合一般的に1g=1ccで算出されるので、重さがそのまま中身の体積となります。出た答えが容器内の空気量です。空気中の酸素割合が21%なので、空気量に0.21をかけることで酸素の量が算出されます。

脱酸素剤を選ぶ際は、算出された酸素量を少し上回る吸収量のサイズにすると良いでしょう。多くの脱酸素剤は、商品名に吸収量を表す数字(ml)が記載されています。

また、脱酸素剤にはいくつかタイプがあります。

原材料が同じ鉄系でも反応の起点が異なったり反応時間に差があったりするため、食材などに合わせて選定しましょう。

自己反応型

反応に必要な水分を既に持っており、空気に触れた瞬間から酸素の吸収が始まります。包装形態にはあまり制約がありませんが、水分や油分の多い食品にはあまり向きません。充分に効果が得られないことがあるため、使用する場合は食品に触れないようトレーなどで隔離しましょう。

さらに反応時間の速さによって、「速効タイプ」と「一般タイプ」に分けられます。

  • 速効タイプ
  • 短時間で素早く脱酸素するため、傷みの早い食品向きです。(饅頭、ケーキ、半生菓子等)
  • 一般タイプ
  • 汎用性の高いタイプ。低~中水分の食品向きです。(米菓、海苔、香辛料、医薬品等)
水分依存型

湿度の高い空気、つまり食品から蒸発してくる水分に触れることで酸素の吸収が始まるタイプです。そのため、水分量の多い食品(切り餅、パン粉、サラミ、チキンナゲット等)に向いています。反対に乾燥食品にはあまり向きません。装填する際は、隔離せずに水分の届きやすい位置に設置しましょう。

食品ごとの適用範囲(Aw/水分活性)は以下の通りです。

  • 海苔・米菓類…0.1~0.5
  • 生薬…0.4~0.75
  • 穀類…0.65~0.85
  • 干肉類…0.7~0.85
  • 製菓類…0.85~1.0
  • 生切餅…1.0以上

脱酸素剤を加熱してしまったら

脱酸素剤は、加熱対応している一部の製品以外は加熱前に取り除くことが必須とされています。加熱条件や包装の形態などにより、小袋が破裂して内容物が出てきたり、発火したりする恐れがあるためです。

しかし、気が付かずにうっかり電子レンジで加熱してしまったり、鍋で食品と一緒に茹でてしまったりすることもあるでしょう。そんな時はどうしたら良いのでしょうか。

基本的には、脱酸素剤と一緒に電子レンジや鍋で加熱した食品を食べても人体には問題ありません。脱酸素剤の小袋は厚生労働省が定めた「食品に接触しても良い」とされる基準に沿っており、また内容物の鉄分も安全性が認められています。小袋が破損していなければ、そのまま食品を食べることは可能です。

ただし小袋が破損して中身が出てしまっている場合は、速やかに廃棄した方が良いでしょう。

脱酸素剤を誤って食べてしまったら

脱酸素剤は、もちろん食用ではありません。しかし子供やペットが誤飲してしまう可能性もあります。その場合の対処法を覚えておきましょう。

脱酸素剤の主成分は、黒い鉄粉、無機塩類、ビタミンC、色素など。いずれも毒性はなく、公的機関の急性毒性試験によって安全性が確認されている成分です。粉末を誤って食べても中毒の心配はなく、基本的に健康に害はありません。消化されることなく、自然と排泄によって体外に出てくるでしょう。

まずはうがいをして、水やお茶、牛乳を飲んで様子を見てください。万が一異常があれば、病院に医師の診察を受けましょう。

ただし袋ごと飲みこんでしまった場合は、喉や胃腸を傷つけてしまう恐れがあるためすぐに医師に相談してください。

まとめ

脱酸素剤は食品の美味しさ・鮮度を守るための重要なアイテムです。サイズやタイプで効果やコストも変わってくるため、上記を参考に適切な脱酸素剤を選定してください。またトラブル時の対処法もしっかり身に付けておきましょう。

『ラップ・消耗品・食品包材』に関連するカテゴリ