光学部品の洗浄

レンズやプリズムといった光学部品は、カメラやデジタル家電などの製品の寿命に直結するため高い清浄度を要求されます。産業洗浄においてどのように光学部品を洗浄したら良いのかについて、より手軽にできるメンテナンス方法とあわせてご紹介しましょう。

光学部品の洗浄

光学部品には、レンズやプリズム、ガラス基板やミラー、絞りなどがあります。特にカメラやメガネなどに使用されるレンズには、光を正常に透過させるためにコート膜が施されているので、表面の状態が非常に重要です。

光学部品は、レンズや金属、プラスチック(樹脂製部品)など複数の素材で構成されています。そのため、光学部品を洗浄する際は、各素材に影響がないような方法を選択しなくてはなりません。

主に使われるのは、水系洗浄剤です。レンズの研磨加工後は、水系の中でもアルカリ性洗浄剤が用いられることが多いでしょう。レンズに付着したピッチは溶剤系洗浄剤で落とした後、弱アルカリ性洗浄剤の超音波洗浄で仕上げ、純水ですすぎます。純水が用いられるのは、不純物を完全に取り除くためです。

乾燥工程にIPA(アルコール)を使用するか否かは、洗浄するものの材質によって変わります。ガラスレンズの場合、材質が安定していて単純な形状であれば、水系洗浄剤による洗浄でも充分な効果が得られるでしょう。しかし、バリウムや鉛を大量に含むような不安定な材質の場合、IPAによる洗浄が適しています。

一方、プラスチック部品の洗浄にあたっては、IPAだと溶解する可能性があるため、使われるのは基本的には水系洗浄剤のみです。とは言え、IPAに強いプラスチック素材であればIPAによる洗浄ができる場合もあります。部品の形状や素材など、総合的に判断して洗浄方法を決定しましょう。

光学部品の一般的なメンテナンス方法

カメラやデジタル家電が消費者の手に渡った後も、定期的に光学部品をお手入れすることで製品寿命を伸ばすことができます。一般的な光学部品のメンテナンス方法についても、あわせて理解しておきましょう。

光学部品は非常にデリケートです。そのため、部品を逆に傷つけてしまわないよう、洗浄剤や洗浄方法には十分注意を払う必要があります。洗浄作業を、埃の多い場所や硬いテーブルなどで行うのは危険です。息を吹きかけて埃を払うのも避けてください。

なお、洗浄に必要なアイテムは以下の通りです。

  • ピンセットやピックアップツール…清潔に部品を保持することができます
  • ゴム手袋…自分の手の脂が部品に付着することを防ぎます。
  • 綿棒、レンズティッシュ…優しく汚れを拭き取ります。
  • ゴム手袋…自分の手の脂が部品に付着することを防ぎます。
  • 綿棒、レンズティッシュ…優しく汚れを拭き取ります。
  • 圧縮エア…部品表面の埃を飛ばします。
  • 洗浄液…レンズクリーナー、試薬用イソプロピルアルコール、アセトン液、純水など。

ただし樹脂製部品にはアセトン液は使用しないでください。

光学部品は、その部品によってメンテナンスの方法が異なります。部品ごとに以下の方法を参考にしてお手入れを行ってください。

【レンズ、フィルター】

1.圧縮エアで表面の汚染物質を取り除きます。軽度の汚れならこれだけでも十分でしょう。

2.綿棒やレンズティッシュにアセトン液かイソプロピルアルコールを数滴垂らし、レンズの中心から外側にかけて回すように優しく拭いていきます。綿棒が通りすぎた後に洗浄液がすぐ蒸発するくらいの速さで動かすことで、拭きムラが残りません。

【ミラー】

1.圧縮エアで表面の埃や汚れを吹き飛ばします。軽度の汚れならこれだけでも除去できます。

2.ドラッグ法という洗浄方法を使います。これは難しい方法のため、保護膜が施されていない部品には適しません。

まず、ミラーにレンズティッシュを被せてアセトン液もしくはイソプロピルアルコールをまんべんなくスポイトなどで垂らすか、液に浸したレンズティッシュをミラーに被せます。そのままレンズティッシュを持ちあげずにゆっくりとドラッグするように引きましょう。汚れが落ち、同時に液が均等に蒸発していきます。

【グレーティング】

圧縮エアやエアブロワーで表面上の汚れを吹き飛ばしてください。それ以外の洗浄方法はおすすめできません。

まとめ

レンズを中心とした光学部品は、表面をいかに清浄に保つかが重要なポイントです。洗浄方法や洗浄剤はもちろん、触れる時には必ず手袋をはめる、個々を包装して湿度の低い場所に保管するなど、普段から気を遣って取り扱いましょう。