糸鋸の使い方
糸鋸の使い方
糸鋸は、柄(持ち手)、フレーム、ノコ刃から成る手動のノコギリです。文字通り糸のように細いノコ刃を持っており、この細いノコ刃を手作業で動かすことで、木工細工などの繊細な曲線も自在に切り出すことができます。 糸鋸の使い方は決して難しいものではありません。基本的な使い方について、ポイントを絞ってご説明しましょう。
糸鋸は、切りたい素材に合った刃数のノコ刃のものであることが大切です。ノコ刃には、木材に向く荒目、プラスチックなどに向く中目、真鍮や銅に向く細目、貴金属などを切断できる最も細かい極細目など、いくつかの種類があります。 それぞれ、長さ当たりの刃数やピッチのサイズが異なるためよく確認しましょう。
また、ノコ刃はたわみなくピンと張った状態でなくてはなりません。少しでもたわみがある状態だと、切断中にノコ刃が揺れて切断線がゆがんだり、折れやすくなったりします。
できれば安定した作業台の上で、クランプなどで切りたい材料を固定した状態で使用します。切断時は、片手または足で材料をしっかりと押さえましょう。 基本的には材料を平らに置いて糸鋸を上下動させて切断しますが、場合によってはバイスを用いて材料を垂直に固定し、糸鋸を前後動させて引いていくことも可能です。
穴型に切り抜く場合は、きっかけとなる穴をドリルなどで開け、そこにノコ刃を差し入れて切り始めます。
材料に対してノコ刃が垂直に当たるように構え、糸鋸を上下動させて切り進めます。切断方向は押し切り・引き切りの双方とも可能です。切断箇所の都合に応じて、ノコ刃の向きを付け替えて切断方向を適宜変更しましょう。
曲線に切りたい場合は、方向転換を急がず、ゆるやかにノコ刃を回すと美しいカーブを描くことができます。直線状に曲がりたい場合は、曲がりたい角の付近の部分で何度か糸鋸を引くと、穴が広がって方向転換しやすくなるでしょう。
糸鋸を上手に使うコツ
糸鋸の使用において陥りがちなトラブルは、「ノコ刃が折れてしまう・曲がってしまう」「ケガキ線の通りに切り進められない」などです。以下でご紹介するコツを意識すれば、これらのトラブルを避け、最小限の力で綺麗に切断することができます。
糸鋸の使用に慣れない人は、ケガキ線に沿わせようとするあまり、ケガキ線をなぞるように、ノコ刃に角度を付けて材料に当てることがあります。こうするとノコ刃が安定せず、左右にブレてうまく切り進めることができません。 そればかりか、糸鋸のノコ刃は非常に細いため、横にブレる力が加わると簡単に折れたり曲がったりして危険です。ノコ刃が材料に対して垂直に当たるようにし、まっすぐ、小刻みに柄を上下させて切り進めましょう。
早く切り進めようとして、切断の進行方向に対して力を込めてはいけません。糸鋸のノコ刃は非常に細いため、必要以上の力を込めて引くと簡単にゆがみを起こして折れてしまいます。 力を込めずに上下にリズミカルに軽く引くように動かしたほうが、安全に切断できるだけでなく、より美しい切断線を得ることが可能です。
材料がうまく固定できていないと切断時に材料が動き、切断面が荒れるほか、ひどい場合にはノコ刃が折れるなどの事故につながります。材料は作業台にクランプなどで固定し、さらに空いたほうの手や足で固定しながら切り進めるようにしましょう。
糸鋸は、なだらかな曲線や細かい細工など、自由自在なカットを行うことができる優れたツールです。いくつかのコツを押さえれば、非熟練者でも簡単に使いこなせるようになるでしょう。