工具の通販モノタロウ 素材(切板・プレート・丸棒・パイプ・シート) 工業用断熱材・耐熱材の選び方 | ミオレックス・S4000・カルホンの性能比較

工業用断熱材・耐熱材の選び方 | ミオレックス・S4000・カルホンの性能比較

製造現場での断熱対策は、製品品質の向上と省エネルギー化を実現する重要な要素です。本記事では、工業用断熱材・耐熱材の代表的な製品である「ミオレックス」「S4000」「カルホン」の特性や用途を詳しく解説します。金型、工業炉、成形機などの用途に応じた最適な断熱材の選定にお役立てください。

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断熱材・耐熱材の基礎知識と分類

硬質断熱材と軟質断熱材の違い

断熱材は、主に以下の2種類に分類されます。

1. 硬質断熱材

  • 特徴:強度が高いが断熱効果はやや劣る
  • 用途:金型、工業炉など強度が必要な箇所

2. 軟質断熱材

  • 特徴:断熱効果が高いが強度は低い
  • 用途:配管周り、タンク外装など
硬質断熱材と軟質断熱材

製造業における断熱材の主な使用例

  • 樹脂、ゴム、ダイカスト用の金型や成形期の断熱板
  • ヒーター・工業炉の断熱材
  • アルミ鋳造用耐熱消耗部品
  • 食品機械の耐熱部品
  • ガラス加熱成形用治具
  • 繊維機械の断熱材
  • ヒートシール機用断熱材
  • センサー保護用断熱ケース

その他、医療機器用の耐熱部品や電車用の耐熱部品など、製造業全般において活用されています。

工業用断熱材の種類と特性

工業用断熱材である「ミオレックス」「S4000」「カルホン」について、その特性を解説します。

ミオレックスの特徴と用途

ミオレックスPMX-561 ゴム成形機用断熱板

ミオレックスは、ガラス繊維のシートを積層し、それを無機系の結合剤で固めた断熱材です。アスベストを使用していないため安全性の高い素材でもあります。強度が高いため構造材として使用することが可能です。
PMX-573、PMX-561、PGX-595など複数の種類があり、種類ごとに耐熱温度や曲げ強度など特性が違うため、用途に合わせて使い分けられてます。

ミオレックスに似た素材として、耐熱ガラスエポキシ積層板PGE-6771という素材もあります。こちらもガラス繊維のシートを積層し、それを高耐熱の接着剤で固めた硬質断熱材ですが、ミオレックスよりも高い機械強度が特徴です。

主な用途

  • 樹脂、ゴム、ダイカスト用金型の断熱板
  • 樹脂、ゴム、ダイカスト用成形機の断熱板
  • ヒーター、電気炉の断熱材
  • 食品機械の耐熱部品
  • 繊維機械の断熱材
  • ヒートシール機用断熱材
  • 電車用耐熱部品

材質特性表(PMX-573、PMX-561、PGX-595、PGE-6771)

項目 ミオレックス 耐熱ガラスエポキシ積層板
PMX-573 PMX-561 PGX-595 PGE-6771
耐熱温度(℃) 250 500 400 200
曲げ強度(Mpa) 100~150 45~55 120~130 450~540
圧縮強度(Mpa) 150~200 120~150 420~480 500~600
衝撃強さ (シャルピー)(J/㎠) 1.5 1.1 2.5 >4.5
熱伝導率(W/(m・k)) 0.3 0.3 0.3 0.3
吸水率(%) 2.0~5.0 4.0~6.0 0.1 0.05
比重 2.0~2.2 2.0~2.2 2.0~2.1 1.8~1.9

※記載の数値は測定値であり、保証値ではありません。
※耐熱温度は目安であり、使用条件によって異なります。

熱伝導率:断熱性能を示す指標で、数値が小さいほど断熱効果が高くなります。
曲げ強度:材料が破壊されるまでに耐えられる曲げ応力の限界値を示します。

高断熱断熱板 S4000の特徴と用途

S4000はガラス繊維のシートを積層し、それを高耐熱の接着剤で固めた断熱材です。高強度でありながら、一般的な硬質断熱板に比べ熱伝導率が低く、断熱効果に優れています。樹脂・ゴムの金型や成形機用の断熱板として使用されます。

S4000と一般的な断熱版との断熱効果の差

主な用途

  • 樹脂・ゴム金型用断熱板
  • 樹脂・ゴム成形機用断熱板

材質特性表

項目 S4000
耐熱温度(℃) 長期: 210 短期: 250
曲げ強度(Mpa) 室温: 200 200℃の環境下: 60
圧縮強度(Mpa) 室温: 300 200℃の環境下: 100
熱膨張率(1/K) 28×10-6
熱伝導率(W/(m・k)) 室温: 0.12 200℃の環境下: 0.16
吸水率(%) 0.1
比重 1.35

※記載の数値は測定値であり、保証値ではありません。
※耐熱温度は目安であり、使用条件によって異なります。
データ提供:Brandenburger (ブランデンバーガー)社

カルホンの特徴と用途

カルホン

カルホンは、空気層を含んでいるため硬質の断熱板より断熱効果に優れています。その一方で、硬質断熱材に比べると強度が弱いため、圧力のかかる部分での使用には適していません。強度をあまり必要としない、ゴムや樹脂の成形機側面の保温用断熱材やヒーター用の断熱材として利用されます。

主な用途

  • 樹脂成形金型の側面保温用断熱材
  • 半導体樹脂封止金型の側面保温用断熱材
  • 樹脂成形機の側面保温用断熱材
  • ゴム成形金型の側面保温用断熱材
  • ゴム成形機の側面保温用断熱材
  • ヒーター用断熱材
  • 電気炉用断熱材

材質特性表

項目 カルホン
耐熱温度(℃) 350
曲げ強度(Mpa) 8.8
衝撃強さ (アイゾット)(J/㎝) 1.2
熱伝導率(W/(m・k)) 0.077
吸水率(%) 6.3
比重 0.5

※記載の数値は測定値であり、保証値ではありません。

まとめ

工業用断熱材の選定では、使用温度や仕様場所の環境条件、要求される機械的特性を総合的に判断することが重要です。ここで紹介した以外にもベークライト、高機能断熱材WDS、ソルダーパレットなど工業用断熱材の種類は多岐にわたるため、それぞれの特性を確認しながら実際の用途に合ったものを選定してください。

本記事および掲載画像は、ユタカ産業株式会社のホームページ内の情報を参考に、許可を得て作成したものです。

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