不織布・寒冷紗の使い方
不織布・寒冷紗を使う理由
不織布・寒冷紗はどちらも種まき後の作物の管理に使います。土が乾燥すると発芽が促進されにくいため、種を植えたら不織布・寒冷紗を被せて土の乾燥を防ぎ、発芽を促がすのが主な使用目的です。
また、発芽してからも不織布・寒冷紗は役立ちます。通気性が良く保温効果があり、鳥や害虫から作物を守るのに重宝するためです。上から水を撒くことができ、光も通し生育を妨げることはありません。
不織布と寒冷紗の違い
一見同じものように思える両者ですが、不織布はベタ掛けに用いるもので、寒冷紗はトンネル掛けに使うのが違いの一つです。ベタ掛けとは、畑にうねを作ったらその上に直接かけて、周りに土を置く方法です。トンネル掛けは、うねを作ってから使うのは同じですが、支柱をアーチ状に立てて、その上に掛ける方法を指します。
また、見た目でも違いがあります。不織布は織目が無い紙のような布で網目はありません。一方で寒冷紗は編みこまれた網目が見られます。
その他にも用途にも違いがあります。ベタ掛けに用いる不織布は主に保温・凍霜防止・昇温抑制(遮光)の目的で使用されることが多いです。薄手が最適で、播種直後にベタ掛けするほかにも、苗を植付直後にこれらの効果を狙ってベタ掛けする使い方などがあります。
一方、トンネル掛けに用いる寒冷紗は、食害防止(虫・鳥)の目的で使われるケースが多いです。不織布と同じように遮光・水分蒸発抑制・防寒や防温・凍霜防止・防風目的あります。 しかし、保温性は高くないため、寒冷地での使用はあまり適していません。逆にそういった地域ではトンネル掛けにも不織布を使う場合もあります。
ちなみに寒冷紗には白色と黒色のものがありそれぞれで特徴が異なる点には注意しましょう。白色は保温と凍霜防止を目的に使い、黒色では遮光目的に用います。白色の遮光率は70~80%、黒色は50~90%となっており、栽培する品目や使用時期に合わせて使い分けが必要です。 気温が低くなる12~3月までは白色、気温が高く日光が強くなる7~9月は黒色など、時期も併せて考えましょう。
使い方
不織布は種まき直後に掛けて使用するのが一般的です。盛り土をして種を植え付ける場所を整地したら種を撒いて土を被せず、そのまま不織布のみを掛ける方法を用いる作物も少なくありません。たとえば、レタス・セロリ・しそ科の植物などは、土を被せないほうが発芽率を上げられます。
また、苗を植えつける際に保温性を高める場合は不織布を用いましょう。不織布を上に被せたら、うねの周りに土を置き風で飛ばされないようにします。
寒冷紗を利用する場合は、支柱を使いトンネルを作るのが基本です。トンネルの高さ(H)は、うね幅(W)の半分以下にします。トンネル支柱は地面に対して斜めに差し込んでください。寒冷紗は支柱の上に張るようにします。さらに苗床にはマルチを張って地温を上げたり雑草防止効果を高めたりすることも可能です。
トンネル用の支柱は40~50cm間隔でうねの周りに差し込み、両端に隙間ができないよう多少余裕を持たせて寒冷紗を切り取ります。寒冷紗はうねの前に広げてサイズを確認してから切ると、サイズ間違いを防げるためチェックを怠らないようにしましょう。 切り取った寒冷紗は支柱の上に被せ、両端をクリップで留めてください。次に小口側をねじってから束ね、風で飛ばされないよう重石を乗せておきましょう。また、うねの周りにも土を乗せて風で飛ばされないようにします。
不織布・寒冷紗どちらも農業資材として一般的に使われているものです。いずれも種や苗の植え付け時に使用したり、苗が生長してからも温度管理や鳥や虫から作物を守ったりする役割があります。 ただし、使用方法は異なり掛け方や、温度管理のしやすさなどで使い分けなければなりません。保温効果を高めるなら不織布、防虫効果を高めるなら寒冷紗と柔軟に対応しましょう。また、寒冷紗にも色の違いがありますから、使用する時期により比較してみてください。