吊クランプの使い方
吊クランプの用途
レッカーやクレーンのフックに吊クランプを取り付けることで、鉄板などを直接つかみ、運搬することができます。鉄板やコンクリートなどの重量物を吊り上げる際には、ワイヤーロープで巻いて上げることがありますが、この際にぐらつきなどが発生し危険です。 そこで吊クランプを使用すると、カムという歯を吊荷に噛み込ませることができ安全性が増します。カムの力は縦吊クランプで1.6倍、横吊クランプで1.0倍の吊荷荷重で支えることが可能。外観は単純に見えますが、幅広い知識を駆使して作られた倍力装置なのです。
吊クランプの種類
基本的な吊クランプは3種類です。縦吊クランプ、横吊クランプ、吊り用および万能型です。また、それぞれで手動ロック式と自動ロック式クランプに分かれます。玉掛け用吊クランプで使用する縦吊クランプ、横吊クランプは、1937年に米国のR社により開発されました。 その後日本でも輸入が開始され、国内製造は1962年からとなります。
鉄板などをくわえて、縦に吊り上げるものです。容量は0.5~10トンまでで、それぞれの容量に合わせたサイズがあります。
鋼板などを水平に吊り上げるものです。鉄骨や橋梁など構造建造物に使用されます。容量は0.5~5トンです。
ねじの先端や半球状のカムでより強力にクランプができます。縦吊や横吊、横引きにも対応。鉄鋼材料等に使用されます。容量は0.5~5トンです。
コンクリート製品に使うクランプで、用途により種類があります。U字溝、マンホールなどにも使用可能です。
平鉄板の4ヶ所に取り付けることで、水平に吊り上げられます。ハッカーはさまざまなタイプがあり、容量は1~5トンです。
構造物に傷をつけず吊り上げることができるクランプです。縦吊、横吊、カム付きハッカーなどで展開されています。
吊クランプの使い方
作業内容に合わせて適切な吊クランプを選んでください。クランプを使用する前に、取扱説明書等を熟読し理解しておきましょう。また、複数のクランプを使う場合は同じタイプのものを使ってください。確実に取り付け、不安定にならないよう使用しましょう。
使用上の注意点
吊クランプの使用時には以下のような点にご注意ください。
- 2枚以上重ね吊りや、横つかみはしないでください。
- 偏荷重にならないよう注意し、長尺物は1点吊りしてはいけません。
- 玉掛け作業の法定資格がなければ使用できません。また、玉掛け作業以外での使用も禁止です。
- 吊り下げ物が落下または転倒する範囲内には、立ち入らないようにしましょう。
- つかみ部の勾配が10度以上のもの、つかみ部が滑りやすい場合は使用禁止です。
- 吊荷の温度は150度以上または-20度以下にならないよう注意してください。
- 加熱したり、改造したりしてはいけません。
- バックホーでの使用、引きずり作業は禁止です。
- クランプは使用前に点検し、異常があるものは使用しないでください。
吊クランプは、使い方が間違っている場合や、点検不良により事故に結びついてしまう可能性もあります。正しい使い方を理解し、注意事項を確認して、安全に使用しましょう。