ドアクローザーの種類と寿命
ドアクローザーとは
ドアクローザーは、ドアの開閉を油圧によって自動調節する機構で、事務所や工場のドアなどさまざまなドアに活用されています。あまり目立つパーツではありませんが、ゆっくりと自動的に閉扉を行うことでドアやドア枠の劣化を防止や騒音防止に役立つといった効果が期待できます。さらに室温調整にも役立つといった、空間のデザインにおいて重要な役割を果たしています。
ドアクローザーの種類
ドアクローザーは、その機構によってスタンダード型、パラレル型の2種類に大別できます。また、ドアの勝手(左開き、右開き)によって取り付けるべき位置が異なりますので、ドアの設置個所やスペースを考慮して選ぶようにしてください。
ドアを引く側の面に取り付けるタイプのドアクローザーをスタンダード型といいます。スタンダード型のドアクローザーは、閉扉状態でアームの向きがドアに対し垂直となります。ドアクローザー本体が障害となるためドアを180度開扉することはできません。同様の理由で、ドアから90度の位置に壁や障害物がある場合にも使用できないため注意しましょう。
一方、ドアを押す側の面に取り付けるものをパラレル型といいます。パラレル型のドアクローザーは、閉扉状態でのアームの向きはドアと平行となります。一般的に、屋外と通ずるドアの場合はこのタイプを使用するのが適当です。
押す反対側のドア面に取付けるタイプ。ドアを閉めた時のドアクローザーのアームの向きは、ドアに対して垂直の状態となります。 ドアの開閉から見て外角側にドアクローザーが設置されるため、ドアを目一杯開く際はドアクローザー自身が開閉の邪魔で、180度開くことができません。また、ドアから90度の部分に壁が来ているケースでは設置できないため注意しましょう。
押す側のドア面に設置するタイプです。ドアを締めたときにドアクローザーのアームはドアと平行の状態になるので、外開きのドアが多い日本の住居ではパラレル型が主流です。また、ドアを180度開閉したい場合、パラレル型が適しているでしょう。
ドアの勝手(右開きか、左開きか)によって、ドアクローザーを取り付ける位置は変化します。右勝手(右開き)は、ドアの開扉の軌道が右回りになるドアのことです。この場合の蝶番は右側となります。左勝手(左開き)はその反対です。
ドアクローザーの寿命と調整方法
ドアクローザーはめったにメンテナンスを必要としないパーツではありますが、油圧で動くこともあり、劣化が起きるため、不調が現れるのであれば交換しなければいけません。ドアクローザーの寿命を示す不調には下記のようなものがあります。
油漏れはドアクローザーの寿命のサインです。油漏れが進行するとドアクローザーは自動閉扉機能を極端に損ない、思わぬ事故につながるおそれもあります。 ドアクローザーは本体の分解修理や油の継ぎ足しを行うことができないので、油漏れを起こし始めたら早急に新しい製品に取り替える必要があります。
ドアクローザーは油圧でドアの閉扉速度を調節する装置です。そのため、経年劣化によって調整がずれて、閉扉速度が速まってしまうことがあります。もし、この際に油漏れを併発している場合は、すでに本体の寿命を迎えているので交換が必要です。
油漏れがない場合は、本体側面についている速度調整弁をねじで締めて速度調整を行います。ただし、ドアクローザーが閉まる直前の部分からのみ特に閉まるスピードが速い場合には、ドアクローザーの取り付け角度が誤っているかもしれません。 再取り付けを検討しましょう。また、調整弁で調整を試みても改善できず、極端にバタンと大きな音を立てて閉まるのであれば、故障が考えられますので交換が必要です。
ドアの開閉時にドアクローザーから音が発生するという不具合も起きるケースがあります。この場合、まずはアームやリンクの接続部分に油をさして様子を見ましょう。 油をさしても音が消えず、本体からの油漏れを併発していたり、速度調整弁での速度調整機能がすでに損なわれていたりするのであれば、調整は困難ですから交換が必要となります。
ドアクローザーは、ドアや間取りに合った適切な製品を選んで適切に取り付けましょう。油漏れなどの寿命のサインを生じていないかどうか定期的に気を配り、適宜メンテナンスを行えば、より長く使用することができます。作業場では、荷物の出し入れや空気の入れ替えにも役に立つことが多いですから、不調には気を配るようにしましょう。