造作材の種類と特長
造作材とは
造作材とは、室内空間の仕上げや取り付けに使われる材料のことです。使用される箇所は多岐にわたっており、床や壁、天井、さらには窓枠なども含まれます。 また造作材の素材は針葉樹(マツやスギなど)が中心となっており、広葉樹(サクラやケヤキ)が使われることはほとんどありません。しかし、使用する箇所によっては広葉樹のひとつであるクワが最高級だとされます。
造作材は基本的に、室内空間をよりきれいに演出する目的で使用されます。たとえば、日本の伝統的な室内空間である「和室」。こちらは全体の完成度を高めるために、高級な造作材を用いるケースが多いです。 一方で建物の西洋化が進んでいる昨今では、化粧板を張った集成材などの造作材を使われることも増えていると言われています。
造作材の種類について
ひと口に造作材といっても、室内空間の造作によっていくつかの種類に細分化されます。よく使われる種類を抜粋してご紹介しましょう。
窓枠
窓枠(まどわく)は、人や物を問わず、出入りの目的で設けられる開口部を収める造作材です。ナチュラル色を使用する際のイメージとしては、空間全体の一体感が出てかつ、空間には広々とした開放感が生まれます。一方で壁の色などと合わない色を用いると、空間の統一感がなくなり不整合なイメージを与えるので注意しましょう。
無目枠
無目枠(むめわく)は、壁の開口部に取り付けて上下の仕切りを作る造作材です。キッチンとリビングをつなぐ通り道などに使用されるケースが多く、基本的に無目枠がある箇所には扉を設置しません。
廻り縁
廻り縁(まわりぶち)は、壁と天井が接する箇所に使われる造作材です。回縁、見切り縁、天井回り縁など表記されることもしばしば。名前の由来は部屋の上部を取り囲むように作られるからだとされます。 窓枠と同様に空間の一体感を演出するために使用しますが、空間を広く演出したいときにはあえて取り付けないケースも多いです。
巾木、玄関巾木
巾木(はばき)、玄関巾木(げんかんはばき)は、壁と床が接する箇所に使われる造作材です。いずれも幅木と表記されることもあります。足元に取り付けられる枠なので目につきにくいですが、空間のデザインを左右する重要な要素です。
框、上がり框
框(かまち)、上り框(あがりかまち)は、床の間や玄関などの端に使われる造作材です。床の高低があるところを渡すために用いられることが多く、とくに玄関や廊下などの段差に使う框のことは上がり框と呼びます。框は上がり框を含んだ総称だと覚えておくとよいでしょう。
見切り
見切り(みきり)は、壁や床などにできるすき間を埋めて、より見た目を美しくするために使われる造作材です。使用箇所によって名前は変化し、たとえば壁であれば壁見切り、床なら床見切りなどと呼ばれます。また框ほどの効果はありませんが、少しの段差を解消するために用いられることも多いです。
木材の材質の種類
造作材の素材について、針葉樹がメインで使われると上記で簡単に触れました。以下ではそれぞれに含まれる種類を抜粋して、より詳しくご紹介します。
本州から四国、九州などと日本の各地で見られるスギ。針葉樹に分類される樹種であり、以前から植林も盛んに進められてきたので、あらゆる木材のなかでもメジャーな種類です。ただスギといっても細分化が可能で、地域によっては秋田杉や屋久杉などと呼ばれています。
福島県東南部以南の本州から四国、九州などとスギと同様に日本各地で見られるヒノキ。こちらも針葉樹に分類され、古くから日本家屋に使用されてきたので国内ではメジャーな種類です。ヒノキならではの香りや光沢などから優れた木材と評されることも少なくありません。
ヨーロッパアルプスをはじめとしたヨーロッパを中心に見られるオウシュウトウヒ。植栽が盛んにおこなわれていることから、輸入木材として近年の注目を浴びている種類です。材質が柔らかいので加工がしやすいなどのメリットがある一方で、腐りやすいなどのデメリットも抱えています
アメリカのカルフォルニア州をはじめとした地域で見られるラジアータマツ。アメリカ以外の国で植栽が行われており、それらの国から国内に大量輸入されはじめている種類です。スギやヒノキに比べて保存性は劣るとされますが、地面に触れなければ高いと言われています。
造作材は、室内空間をより美しく演出するためには欠かせない材料です。しかし、その種類は多岐にわたり用途もさまざまですので、上記を参考にして箇所に合った造作材を使用するようにしましょう。