バイク用ヘルメットの種類と選び方
バイク用ヘルメットとは
バイク用ヘルメットとは、頭部を保護するために装着する装備品のひとつです。バイクの場合、自立機能そのものが自動車に比べて劣るため、常に転倒のリスクが高い状態にあります。また、事故時に深刻な状況が発生する多くの原因が、頭部の外傷によるものであるという統計も出ているのです。日本では、道路交通法により排気量に関係なくバイクを運転する際にはヘルメットの着用が義務付けられています。
バイク用ヘルメットの種類と選び方
バイクは四輪車と比べ、渋滞の影響を受けづらく、駐車スペースも小さくて済むため都市部の移動にはとても適しています。企業の中には、バイク便を日常的に利用しているところも多く需要は高くなっているのです。小回りが利き、便利に使い回せるバイクですが、安定性が悪いといった欠点もあります。転倒時の被害を最小限に抑えるためにも安全性の高いヘルメットを用意することは重要です。
サイズから選ぶ
バイク用ヘルメットには3S、SS、S、M、L、LL、3Lサイズなどが用意されていますが、一部メーカーではさらに大きな特大サイズの4Lもあります。そのほかにも、子供用、女性用、フリーサイズなどもありますが、メーカーによって微妙にサイズが異なることがあるので注意が必要です。バイクヘルメットのサイズは、頭の外周を耳の上の部分で測ったものに合わせます。一般的にSSサイズで53~54cm、Sサイズで55~56cm、Mサイズで57~58cm、Lサイズで59~60cm、LLサイズで61~62cmとなっています。
ヘルメット形状から選ぶ
ヘルメットは形状から選ぶこともできます。バイクヘルメットには、フルフェイス、ジェットヘルメット、オフロードヘルメット、ハーフヘルメットといったものがあります。

フルフェイス
頭部だけでなく顔全体をカバーできるヘルメットです。バイクレーサーなどがレース時に着用していることからも高い安全性を持っていることが分かります。欠点としては、夏場など熱がこもりやすい、重量的にやや重いといった点があげられます。

オープンフェイス・ジェットタイプ
頭部から後頭部にかけてしっかりとガードしてくれます。あごから顔全面が開いているため視認性が高く、夏でも熱がこもりづらいという利点があります。顔全面に関してはシールドが取り付けられているヘルメットもあり、より高い安全性を得ることができます。

オフロード
形状的にはフルフェイスに似ていますが、バイザーが付いており構造上ゴーグルを着用することが可能です。非常に高い安全性を持つヘルメットですが熱がこもりやすい、シールドが装着できないものが多いといった欠点もあります。

ハーフキャップ/ゴーグル付ハーフキャップ
頭頂部を中心に防護するヘルメットです。軽量で開放感があり比較的安価に購入できます。反面、防護する面積が低く、ほかのヘルメットに比べると安全性は下がってしまいます。また使用できるバイクが125ccまでといった規制もあります。
バイク用ヘルメットの規格
バイクヘルメットの安全規格とは?
道路交通法により、バイクに乗る時にはヘルメットの着用が義務付けられています。ヘルメットには、様々なマークが表示されています。これは、ヘルメットの安全性がどんな基準を満たしているかを表すマークです。製品安全協会や一般財団法人など、各団体が定めた規格をクリアしたヘルメットに表示されています。
また、安全規格には「強制規格」と「任意規格」があり、強制規格である「PSC」「SG」マークがないヘルメットは日本の小売店で販売を許されていません。任意規格は、更に安全性が高い製品であることを示しています。ヘルメットを選ぶ際には、安全規格も考慮して選びましょう。
規格の種類
日本の販売店には様々な規格に認定されたヘルメットが並んでいますが、代表的なものをご紹介します。
PSC
消費生活用製品安全法に基づき、製品安全協会が定めたJIS相当の安全基準を満たしていることを示すマークです。このマークがないと、日本国内の販売店で「乗車用」として販売することはできません。逆に言えば、このマークがないヘルメットは鑑賞用や装飾用ということです。乗車用として購入する際は、必ずこのマークがあることを確認しましょう。
SG
PSCとセットで表示されることが多い、製品安全協会が定める認定基準に適合していることを示すマークです。このマークがついていると、製品の欠陥によって人身事故が起こった場合、最高で1億円の保険金が支払われます。
また、125cc以下用と排気量無制限の自動二輪車用では基準が異なるため、使用するバイクに応じた方のマークを選ぶ必要があります。
JIS
日本工業規格が定めた安全基準に適合していることを示すマークです。
落下試験では、1回目7m/s、2回目5m/sを発生させる高さから落とします。貫通性能試験では、3kgのストライカを2mの高さから落とします。あご紐試験では、あご紐に10kgの重さを吊り下げて0.75m落下させてあご紐の伸びを計測し、ロールオフ試験では10kgの重りを0.5m落とし、ヘルメットが人頭模型から外れないことを確認します。
SNELL
非営利機関「スネル財団」が認定する規格で、約5年毎に規格が見直され、しかも、その度に厳しくなっています。安全性を測る基準としては、世界一厳しいことで有名です。
落下試験(平面アンビル試験)では、1回目7.75m/s、2回目6.78m/sを発生させる高さから落とし、ヒビが入らないかをテストします。貫通性能試験では、3kgのストライカ(ヘルメットに垂直落下して打撃を与える鋼鉄の槍)を3mの高さから落とします。あご紐試験では、あご紐に38kgの重さを吊り下げて0.12m落下させ、あご紐の伸びを計測。ロールオフ試験では、4kgの重りを0.6m落下させて人の頭を模した人形からヘルメットが脱げないことを確認します。(2017年時点)
これらのテストをくぐりぬけたSNELL規格のヘルメットは、非常に安全性が高いと言えるでしょう。
ECE
ヨーロッパを中心に使用されている安全規格です。SNELL規格が「衝撃を受けても壊れないこと」を重視しているのに対し、ECE規格は「ヘルメットが壊れることで衝撃を吸収すること」を重視しています。SNELLとは考え方の違う規格であり、硬さと衝撃吸収性のどちらを選ぶかは、個人の判断によると言えるでしょう。
Arai
日本のヘルメットメーカー「アライヘルメット」が独自に設けた自社規格です。SNELL規格よりも更に厳しい審査基準が定められており、アライヘルメットがSNELL規格として販売しているすべての自社製品に、一般・レース用問わず適用されている規格です。
MFJ
日本モーターサイクル協会が定めた競技用ヘルメットの規格。JIS準拠の安全性能に適合したヘルメットが認定され、MFJ公式のレースに出る際には必ず必要です。認定されると「MFJ公認シール」が貼られます。
駐車スペースを取らず、都市部でも時間に余裕を持って行動できるバイクは、時間を有効利用したい企業にとってはとても魅力的な移動・配送手段です。しかし、便利な半面自動車に比べると安全性が高いとはいえません。適切なバイク用ヘルメットを用意することは、運転者の安全性を高めるだけでなく、企業の営業損失を未然に防いでくれるのです。